鮮やかな花で庭を彩るマリーゴールド。その育てやすさから、ほったらかしで育つと思われがちですが、冬の管理に悩む方も多いのではないでしょうか。マリーゴールドの冬越しは、品種ごとの耐寒温度を知ることが重要です。多くは一年草のため寒さで枯れるのが一般的ですが、来年も咲きますか?という疑問にお答えします。適切な切り戻しの位置や、一年草でも種取りで翌年につなげる方法、枯れた後の土壌改良への活用法まで解説。正しい種まき時期や管理で、長い開花時期を楽しみましょう。
- マリーゴールドが冬に枯れる理由と耐寒性
- 冬越しできる多年草の種類と特徴
- 来年も花を楽しむための具体的な手入れ方法
- 種取りや切り戻しなど、冬越し準備のコツ
マリーゴールドの冬越しは可能?基本を知ろう
- そもそもマリーゴールドは来年も咲きますか?
- 一年草が寒さで枯れる理由
- 冬越しの目安となる耐寒温度
- ほったらかしで育つ品種もある?
- 枯れた後の処理方法と再利用
そもそもマリーゴールドは来年も咲きますか?

マリーゴールド・イメージ
「マリーゴールドは来年も咲きますか?」という疑問を持つ方は多いですが、その答えは「品種によります」。マリーゴールドには、大きく分けて「一年草」と「多年草」の2つのタイプが存在します。
一般的に園芸店やホームセンターでよく見かけるフレンチ・マリーゴールドやアフリカン・マリーゴールドは「一年草」です。これらは春に種をまき、夏から秋に開花し、冬の寒さが来ると残念ながら枯れてしまい、一生を終えます。そのため、同じ株が翌年も咲くことは基本的にはありません。
一方で、「多年草」の性質を持つマリーゴールドもあります。代表的なのはレモンマリーゴールドやミントマリーゴールドといった品種です。これらは適切な環境で管理すれば冬を越し、翌年も再び芽吹いて花を咲かせることができます。
このように、育てているマリーゴールドがどちらのタイプなのかを把握することが、冬越しの計画を立てる上で最初の重要なステップになります。
ポイントのまとめ
マリーゴールドが来年も咲くかどうかは、一年草か多年草かで決まります。一般的なフレンチ種やアフリカン種は一年草のため冬越しはできませんが、レモンマリーゴールドなどの多年草タイプは冬越しが可能です。
一年草が寒さで枯れる理由

マリーゴールド・イメージ
多くの一年草のマリーゴールドが冬に枯れてしまう主な理由は、その低い耐寒性にあります。マリーゴールドの原産地はメキシコなど、年間を通して温暖な気候の地域です。このため、日本の冬のような低温、特に霜に耐える能力を持っていません。
具体的には、気温が5℃以下になると生育が止まり始め、0℃を下回り霜が降りると、植物の細胞内の水分が凍ってしまいます。水分が凍ると体積が膨張し、細胞壁が破壊されてしまうのです。一度破壊された細胞は元に戻ることができず、結果として葉や茎が黒ずんでしおれ、株全体が枯死に至ります。
たとえ霜が降りない地域であっても、冬の低い気温が続く環境はマリーゴールドにとって大きなストレスです。生育に必要な活動ができなくなり、徐々に弱って枯れてしまうことがほとんどです。これが、一年草のマリーゴールドが冬を越せない根本的な理由です。

冬越しの目安となる耐寒温度


マリーゴールド・イメージ
マリーゴールドの冬越しを考える上で、具体的な耐寒温度を知っておくことは非常に重要です。この温度を基準に、屋外での管理が可能か、室内に取り込むべきかを判断できます。
前述の通り、マリーゴールドは品種によって耐寒性が大きく異なります。それぞれの目安となる温度を把握しておきましょう。
品種タイプ | 代表的な種類 | 耐寒温度の目安 | 備考 |
---|---|---|---|
一年草 | フレンチ・マリーゴールド アフリカン・マリーゴールド |
5℃~10℃ | 生育が止まり始める温度。霜に当たるとほぼ確実に枯れてしまいます。 |
多年草 | レモンマリーゴールド ミントマリーゴールド |
-5℃程度 | 地上部が枯れても、根が生き残り春に再び芽吹くことがあります。ただし、株の体力や寒風の当たり具合に左右されます。 |
この表から分かるように、一般的な一年草のマリーゴールドは日本の多くの地域で屋外での冬越しは困難です。一方、多年草タイプは関東以西の比較的温暖な地域であれば、対策をすることで屋外での冬越しも期待できます。お住まいの地域の最低気温を確認し、育てている品種に合った対策を講じることが大切です。
ほったらかしで育つ品種もある?


マリーゴールド・イメージ
マリーゴールドは丈夫で育てやすいことから、「ほったらかしでも育つ」というイメージを持つ方も少なくありません。実際、その生命力は強く、多少水やりを忘れたりしても元気に育つことが多いです。
しかし、「ほったらかし」の定義にもよりますが、美しい花を長くたくさん楽しみたいのであれば、全く手入れが不要というわけではありません。特に花がら摘みは重要な作業です。咲き終わった花をそのままにしておくと、植物は種を作ることにエネルギーを集中させてしまい、新しい花芽をつける力が弱まります。結果として、花の数が減ってしまうのです。
また、こぼれ種から自然に芽生えて、翌年も花を咲かせることがあります。これも「ほったらかしで育つ」一例と言えますが、親株と同じ性質の花が咲くとは限りませんし、意図しない場所から生えてくることもあります。計画的にガーデニングを楽しみたい場合は、やはり適切な管理が必要です。
手入れで変わる花の数
マリーゴールドは基本的に丈夫ですが、花がら摘みや切り戻しといった少しの手間をかけるだけで、見違えるほどたくさんの花を咲かせてくれます。手間をかけた分だけ応えてくれるのも、マリーゴールドの魅力の一つです。
枯れた後の処理方法と再利用


マリーゴールド・イメージ
冬の寒さで一年草のマリーゴールドが枯れてしまった後、その株をどう処理すればよいか迷うかもしれません。実は、枯れたマリーゴールドは、ただ処分するだけでなく、次のシーズンの家庭菜園やガーデニングに役立つ素晴らしい資源になります。
最も有名な再利用法は、土壌改良です。マリーゴールドの根には、「ネコブセンチュウ」という多くの野菜の根に寄生する害虫の密度を抑制する効果があると言われています。この効果を活かすため、枯れた株は根ごと引き抜かずに、地上部だけを刈り取り、根が残ったままの状態で土を耕してすき込むのがおすすめです。
こうすることで、土の中で根が分解される過程でセンチュウ抑制効果が期待でき、次に植える植物を害虫から守ることにつながります。特にトマトやナス、きゅうりといったセンチュウ被害に遭いやすい野菜を育てる前の土作りとして非常に有効です。
病気の株は使用しないこと
立枯病などの病気にかかって枯れてしまった株は、土にすき込むと病原菌を土壌に広げてしまう恐れがあります。病気の兆候が見られた株は、残念ですが土にすき込まず、ゴミとして処分するようにしてください。
また、健康な枯れた株の地上部は、細かく刻んで堆肥(コンポスト)の材料にすることも可能です。これにより、栄養豊富な腐葉土として再利用できます。
実践!マリーゴールドの冬越しの手入れとコツ
- 成功のカギ!切り戻しの位置と時期
- 来年へつなぐ種取りの簡単なやり方
- 採取した種の種まき時期はいつ?
- 春から秋まで続く開花時期の魅力
- マリーゴールド冬越しを成功させるポイント
成功のカギ!切り戻しの位置と時期


マリーゴールド・イメージ
マリーゴールドを元気に冬越しさせたり、秋にもう一度美しい花を楽しんだりするためには、「切り戻し」という剪定作業が非常に効果的です。伸びすぎた茎や葉を整理することで、風通しを良くして病気を防ぎ、株のエネルギー消耗を抑えることができます。
多年草の冬越しに向けた切り戻し
レモンマリーゴールドなどの多年草を冬越しさせる場合、秋口の9月頃が切り戻しの適期です。夏の間に大きく茂った株を、思い切って全体の草丈の半分から3分の1程度の高さまでカットします。このとき、株元に元気な新しい芽や葉が残るように、節の上で切るのがポイントです。これにより、株がコンパクトになり、冬の寒さや風に対する抵抗力が高まります。
一年草を秋まで楽しむための切り戻し
一年草のマリーゴールドは、夏の暑さで一度開花が衰えることがあります。このタイミング、具体的には7月頃や、暑さが和らぐ8月下旬から9月上旬に切り戻しを行うと、株がリフレッシュされて脇芽が伸び、秋に再びたくさんの花を咲かせてくれます。この場合も、草丈の半分程度を目安に切り戻すと良いでしょう。
切り戻しの共通ポイント
- 清潔なハサミを使い、切り口から病原菌が入るのを防ぐ。
- 切り取った枝葉は、病害虫の温床にならないよう速やかに片付ける。
- 切り戻し後に、液体肥料などを少量与えると、新しい芽の成長を助けます。
来年へつなぐ種取りの簡単なやり方


マリーゴールド・イメージ
一年草のマリーゴールドは株自体の冬越しは難しいですが、種を採取(種取り)しておくことで、翌年もお気に入りの花を楽しむことができます。種取りは非常に簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。
手順は以下の通りです。
- 花がらを摘まずに残しておく
種を取りたい花は、咲き終わっても花がら摘みをせず、そのまま茎につけておきます。 - 花がカラカラに乾燥するのを待つ
花びらが完全に枯れ、花びらの付け根部分(ガク)が茶色くカラカラに乾燥するまで待ちます。触ってみて、湿り気がなくなっているのが目安です。 - 種を取り出す
乾燥した花がらを優しく揉むか、分解すると中から黒くて細長い棒状の種がたくさん出てきます。これがマリーゴールドの種です。 - 乾燥させて保管する
取り出した種は、念のため数日間、風通しの良い日陰で追乾燥させます。その後、紙製の封筒や小さな袋に入れ、品種名と採取日を書いて、春まで冷暗所で保管します。
F1品種の注意点
市販の苗や種には「F1」と表示されている交配種が多くあります。これらの品種から種を取って育てた場合、親株と全く同じ色や形の花が咲かないことがあります。異なる特徴の花が咲くのも、種取りの楽しみの一つとして捉えるのが良いかもしれません。
採取した種の種まき時期はいつ?


マリーゴールド・イメージ
無事に種取りと保管ができたら、次はいよいよ種まきです。マリーゴールドの種まきで最も重要なのは「温度」です。マリーゴールドの発芽には、20℃~25℃の比較的暖かい温度が必要とされます。
このため、種まきの最適な時期は、霜の心配がなくなり、気温が安定してくる春です。具体的な時期の目安は以下の通りです。
- 温暖地(関東以西など):4月中旬~5月下旬
- 寒冷地(東北や北海道など):5月上旬~6月中旬
地域によって差はありますが、「ソメイヨシノが散り始める頃」を一つの目安にすると良いでしょう。早めにまきすぎると、低温で発芽しなかったり、発芽しても苗の成長が悪くなったりする原因になります。焦らず、十分に暖かくなってから作業を始めるのが成功のコツです。
種まきの手順はとても簡単です。育苗ポットやプランターに種まき用の土を入れ、種が重ならないようにばらまきし、5mmほど薄く土をかぶせます。土が乾かないように水やりを続ければ、順調にいけば1週間ほどで発芽します。
春から秋まで続く開花時期の魅力


マリーゴールド・イメージ
マリーゴールドが多くのガーデナーに愛される最大の理由の一つは、その長い開花時期にあります。適切な管理を行えば、春から始まり、晩秋に霜が降りる季節まで、途切れることなく次々と花を咲かせてくれます。
一般的に、春に植えたマリーゴールドは5月下旬から6月頃に最初の花を咲かせ始め、10月から11月頃まで楽しむことができます。この長い開花期間を維持するためのポイントは、以下の3つです。
- こまめな花がら摘み
咲き終わった花を茎ごと摘み取ることで、種作りに使われるはずだった栄養を新しい花芽の形成に回すことができます。 - 定期的な追肥
長期間花を咲かせ続けるには、多くのエネルギーが必要です。開花期間中は月に1〜2回程度、液体肥料や緩効性肥料を与えましょう。ただし、株が弱りやすい真夏の施肥は避けるのが賢明です。 - 適切な切り戻し
夏の盛りに草姿が乱れたり、花の勢いが落ちてきたりしたら、一度切り戻しを行うと、秋に再び美しい姿で開花します。



マリーゴールド冬越しを成功させるポイント
この記事では、マリーゴールドの冬越しに関する様々な情報をご紹介しました。最後に、冬越しを成功させ、来年もマリーゴールドを楽しむための重要なポイントをまとめます。
- マリーゴールドの冬越しは品種によって可否が決まる
- 一般的に流通するフレンチ種やアフリカン種は一年草
- 一年草は耐寒性が低く霜が降りると枯れてしまう
- 一年草の株自体の冬越しは基本的に不可能
- レモンマリーゴールドなどの多年草タイプは冬越しが可能
- 多年草の耐寒温度はマイナス5℃程度が目安
- 温暖地では多年草の屋外での冬越しが期待できる
- 冬越しさせる多年草は秋口に株の半分程度まで切り戻す
- 一年草は枯れた花から種取りをすることで翌年につなげられる
- 種は茶色く乾燥した花がらから採取し冷暗所で保管する
- 種まきの適期は発芽適温20℃以上になる春
- 枯れた一年草の株はセンチュウ対策として土にすき込むと良い
- 病気の株は土壌汚染を防ぐため処分する
- こまめな花がら摘みが長い開花時期を保つコツ
- 適切な管理で春から晩秋まで花を楽しめる