大切に育てているマリーゴールドの葉や茎に、ある日突然、白い粉をまぶしたようなものが付いていて驚いた経験はありませんか。もしかしたらそれは、マリーゴールドがかかりやすい「うどんこ病」かもしれません。うどんこ病は元に戻りますか?という疑問や、葉っぱが変色したり、葉っぱを食べられる被害があったりすると、うどんこ病だけでなく白さび病や灰色かび病、青枯病、さらにはハダニの可能性も考えられます。この記事では、マリーゴールドのうどんこ病の見分け方から、具体的なうどんこ病の治し方、葉に病気ができたらどうすればいいかといった対処法まで詳しく解説します。また、コンパニオンプランツとして畑にすき込むとどうなるか、といった豆知識にも触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- マリーゴールドのうどんこ病の具体的な症状
- うどんこ病と他の病気や害虫との見分け方
- うどんこ病の正しい治し方と予防策
- マリーゴールドを健康に育てるための管理方法
マリーゴールドのうどんこ病?主な症状と原因
- うどんこ病は元に戻りますか?初期対処が重要
- 葉っぱが変色するのは別の病気のサインかも
- うどんこ病と灰色かび病の見分け方
- 白さび病との症状の違いとは?
- 急にしおれる青枯病の症状
- ハダニによる被害と葉の変化
- 葉っぱを食べられるのはヨトウムシが原因?
うどんこ病は元に戻りますか?初期対処が重要

マリーゴールド・イメージ
結論から言うと、マリーゴールドのうどんこ病は、早期発見・早期対処ができれば十分に回復が見込めます。
うどんこ病は、葉の表面が白い粉(カビ)で覆われる病気です。このカビが光合成を妨げ、植物の栄養吸収を阻害します。そのため、放置してしまうと生育が著しく悪くなり、花が咲かなくなったり、最悪の場合は株全体が枯れてしまったりすることもあります。
しかし、症状が軽いうちであれば、適切な対処で病気の進行を食い止め、健康な状態に戻すことが可能です。症状が進行してしまった葉は、カビを取り除いても変色した跡が残ることがありますが、新しく出てくる葉を健康に育てることが重要になります。
放置は危険!
うどんこ病の白い粉は胞子です。風に乗って周囲の他の植物にも感染を広げる可能性があるため、「少しだけだから大丈夫」と油断せず、見つけ次第すぐに対処を始めることが大切です。
葉っぱが変色するのは別の病気のサインかも

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マリーゴールドの葉っぱが変色する原因は、うどんこ病だけではありません。他の病気や害虫、あるいは肥料の過不足といった生理障害の可能性も考えられます。葉の色や状態をよく観察し、原因を正しく見極めることが大切です。
例えば、灰色かび病では葉に褐色のシミのような病斑が現れ、立枯病では下葉から黄色く変色して枯れていきます。また、害虫のハダニによる被害では、葉の汁が吸われて白くカスリ状に見えることがあります。このように、症状によって原因は様々です。
症状 | 考えられる原因 | 主な特徴 |
---|---|---|
葉が白くなる | うどんこ病、ハダニ | 粉状のカビが付着 / カスリ状の白い斑点 |
葉が黄色・褐色になる | 立枯病、灰色かび病、肥料不足 | 下葉から枯れあがる / シミ状の病斑 |
葉が紫色になる | 肥料不足(特にリン酸) | 生育初期や低温時に見られやすい |

うどんこ病と灰色かび病の見分け方
葉にカビが生える病気として、うどんこ病とよく似た症状に灰色かび病があります。これらは発生条件やカビの見た目が異なるため、正しく見分けることが重要です。
最大の違いは発生環境の湿度です。うどんこ病は比較的乾燥した環境でも発生しやすいのに対し、灰色かび病は長雨や水のやりすぎなど、湿度が高い状態が続くと発生しやすくなります。
また、咲き終わった花がらを放置すると、そこから灰色かび病が発生するケースが非常に多いです。こまめな花がら摘みは、灰色かび病の予防に直結します。
見分けるポイント
- うどんこ病:葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビが発生。乾燥していても発生しやすい。
- 灰色かび病:花や葉、茎に灰色の綿毛のようなカビが発生。多湿を好み、枯れた部分から広がりやすい。
白さび病との症状の違いとは?


マリーゴールド・イメージ


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うどんこ病と名前が似ている病気に白さび病がありますが、これは全く異なる病気です。マリーゴールドでの発生は比較的少ないですが、知識として知っておくと役立ちます。
うどんこ病が葉の表面を中心に白いカビが広がるのに対し、白さび病は葉の裏側に白いイボのような斑点(病斑)ができます。葉の表側を見ると、その部分が黄色っぽく変色していることが多いです。
もし葉の裏にこのような症状を見つけたら、白さび病の可能性があります。この病気もカビが原因で、放置すると葉が枯れてしまうため、見つけ次第その葉を取り除き、感染拡大を防ぐ必要があります。
急にしおれる青枯病の症状


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もしマリーゴールドが日中の晴れている間に急にしおれ、曇りの日や夕方になると回復する、という症状を繰り返している場合、青枯病の可能性があります。これは非常に厄介な病気の一つです。
青枯病は、土の中にいる細菌が根の傷口などから侵入することで発生します。この細菌が植物の水の通り道(道管)を塞いでしまうため、株全体が急激に元気をなくし、青い葉のまま枯れてしまいます。
青枯病の対処法
青枯病は治療が難しく、一度発病すると同じ場所で連作障害を引き起こす原因となります。発病した株は、他の株への感染を防ぐため、根ごと抜き取って畑の外で処分する必要があります。うどんこ病とは全く異なる、深刻な病気として認識しておきましょう。
ハダニによる被害と葉の変化
「葉が白っぽくなっているけれど、粉のようではない…」という場合、病気ではなくハダニという害虫の仕業かもしれません。ハダニは0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。
主に葉の裏に寄生して汁を吸うため、被害にあった部分は針でつついたような白い小斑点ができ、数が増えると葉全体が白っぽくカスリ状に見えます。被害が進行すると葉の色が悪くなり、やがて落葉して枯れてしまうこともあります。
ハダニの見つけ方
ハダニは高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になります。おかしいと思った葉の裏に白い紙をあて、指で軽く弾いてみてください。紙の上に小さな点が落ちて動き回っていれば、それがハダニです。また、クモの仲間であるため、数が増えると細い糸を出すこともあります。
ハダニ対策の基本は「水」
ハダニは水に弱いため、定期的に葉の裏側までしっかり水をかける「葉水(はみず)」が予防に効果的です。水切れさせると発生しやすくなるので、土の表面が乾いたらたっぷり水やりをすることも忘れないようにしましょう。
葉っぱを食べられるのはヨトウムシが原因?
マリーゴールドの葉や花びらに、穴が開いていたり、かじられたような跡があったりする場合、ヨトウムシ類やナメクジなどの食害が考えられます。
ヨトウムシは「夜盗虫」という名の通り、主に夜間に活動して植物を食べるガの幼虫です。日中は土の中や株元に隠れているため見つけにくいですが、夜に見回りをすると発見できることがあります。特に孵化したばかりの若い幼虫は葉の裏に群生していることが多く、葉が白く透けたように見える食害痕を残します。
一方、ナメクジは湿気の多い場所を好み、こちらも夜間に活動します。ナメクジが這った後には白っぽく光る筋が残るので、被害の判断材料になります。見つけ次第、捕殺するか専用の駆除剤で対処しましょう。
マリーゴールドのうどんこ病を防ぐ具体的な対策
- 効果的なうどんこ病の治し方とは
- 葉に病気ができたらどうすればいい?基本的な対処法
- 畑にすき込むとどうなる?土壌改善と病気予防
- 適切な管理でマリーゴールドのうどんこ病を防ごう
効果的なうどんこ病の治し方とは


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マリーゴールドがうどんこ病にかかってしまった場合、最も効果的な治し方は、病状のレベルに合わせた迅速な対応です。
初期段階の場合
葉に白い粉が少し付いている程度の初期段階であれば、被害にあった葉を数枚取り除くだけで進行を止められる場合があります。また、食酢などを原料とした特定防除資材のスプレーも、予防と初期治療には効果が期待できます。
症状が広がっている場合
病気が複数の葉や茎に広がっている場合は、殺菌剤の使用が効果的です。うどんこ病に効果のある薬剤を、葉の表裏にまんべんなく散布します。ただし、一度の散布で完全に治すのは難しいため、製品の指示に従って数回散布する必要があります。
薬剤使用の注意点
うどんこ病の菌は、同じ薬剤を使い続けると抵抗力を持つ「耐性菌」になることがあります。そのため、作用性の異なる複数の薬剤を順番に使う「ローテーション散布」が推奨されます。薬剤を使用する際は、必ずラベルに記載された使用方法、適用作物、希釈倍率を守ってください。(参照:アース製薬株式会社、住友化学園芸)



葉に病気ができたらどうすればいい?基本的な対処法


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うどんこ病に限らず、マリーゴールドの葉に何らかの病気の兆候を見つけたら、パニックにならずに基本的な手順で対処することが大切です。これにより、被害の拡大を最小限に抑えることができます。
病気対処の3ステップ
- 症状の特定:まずは葉の状態をよく観察します。白い粉なのか、シミなのか、変色だけなのか。この記事などを参考に、何の病気(または害虫)の可能性が高いかを判断します。
- 被害部分の除去:次に、病気が発生している葉や花、茎をハサミで切り取ります。この時、ハサミは使用後に消毒すると、他の植物へ病気をうつすのを防げます。切り取った部分は、畑や庭の隅に放置せず、必ずゴミとして処分してください。
- 環境改善と薬剤散布:被害を取り除いた後、栽培環境を見直します。日当たりや風通しは良いか、水のやりすぎはないかなどをチェックします。必要であれば、再発防止のために適切な薬剤を散布します。
この基本的な流れを覚えておけば、様々なトラブルに冷静に対応できるようになります。
畑にすき込むとどうなる?土壌改善と病気予防


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マリーゴールドは「コンパニオンプランツ」として非常に有名で、特に土の中の害虫「センチュウ」を抑制する効果があることで知られています。
この効果を活かす方法として、花が終わった後のマリーゴールドの株を畑にすき込む「緑肥(りょくひ)」という使い方があります。マリーゴールドの根から出る特定の化学物質が、多くの野菜に被害を及ぼすネコブセンチュウなどの繁殖を抑える働きをします。これにより、次に植える野菜が健康に育ちやすくなるのです。
緑肥としての使い方と注意点
使い方は、花が終わった株を根ごと引き抜き、ハサミなどで細かく裁断して土に混ぜ込むだけです。微生物によって分解され、土壌の有機物となり、土がふかふかになる効果も期待できます。
しかし、ここで非常に重要な注意点があります。それは、うどんこ病などの病気にかかった株は、絶対にすき込んではいけないということです。病気にかかった株を土に混ぜ込むと、土壌中に病原菌を広めてしまい、かえって次の作物が病気にかかりやすくなる原因になります。緑肥として利用するのは、あくまで健康に育った株だけにしましょう。
適切な管理でマリーゴールドのうどんこ病を防ごう


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これまで見てきたように、マリーゴールドのうどんこ病は治療も可能ですが、何よりも予防が大切です。日々の適切な管理で、病気が発生しにくい環境を作ってあげましょう。
まず、日当たりと風通しの良い場所で育てることが基本です。株間を十分に空けて植え付け、葉が茂りすぎてきたら、内側の葉を少し取り除いて風通しを良くしてあげると、蒸れを防ぎ、病気の発生を抑えられます。
次に、肥料の与えすぎに注意することです。特に窒素(チッ素)成分が多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが軟弱に茂り、病気にかかりやすくなります。肥料は規定量を守り、花付きを良くするリン酸成分が多いものを選ぶと良いでしょう。
そして、水やりは土の表面が乾いてからたっぷりと与え、過湿にならないように管理することが大切です。これらの基本的な管理を徹底することが、うどんこ病をはじめとする様々な病気を防ぐ最善の方法となります。
この記事のまとめ:適切な管理でマリーゴールドのうどんこ病を防ごう
- マリーゴールドの葉が白い粉で覆われたら、うどんこ病の可能性が高い
- うどんこ病は早期発見と対処で回復が見込める
- 放置すると光合成を阻害し、株が弱ったり枯れたりする
- 葉の変色は灰色かび病や立枯病、ハダニの可能性もある
- うどんこ病は乾燥、灰色かび病は多湿で発生しやすい
- 青枯病は日中にしおれる細菌性の病気で、感染株は処分が必要
- 葉の白いカスリ状の斑点はハダニの被害
- 葉の食害は夜間に活動するヨトウムシなどが原因
- うどんこ病の治療は、初期なら被害葉の除去や特定防除資材が有効
- 症状が広がったら、作用性の異なる殺菌剤をローテーション散布する
- 病気の基本対処は「特定」「除去」「環境改善」の3ステップ
- 健康なマリーゴールドは緑肥として畑にすき込むとセンチュウ抑制効果がある
- 病気の株をすき込むと土壌に病原菌が広がるため絶対に行わない
- 予防の基本は日当たりと風通しの良い環境を保つこと
- 窒素肥料の与えすぎを避け、適切な水やりで過湿を防ぐ