金魚草が「ひょろひょろ」と間延びしてしまい、思い通りの姿にならないとお悩みではありませんか?日照不足や不適切な温度、過剰な肥料など、金魚草の徒長には様々な原因があります。この記事では、金魚草がひょろひょろになる根本原因を徹底解説。摘心や深植えといった具体的な対策と、健康な土・水やり・肥料の年間管理で美しく咲かせる秘訣を園芸エキスパートがご紹介。今日から実践できる予防策と、徒長株を蘇らせる管理方法を知り、あなたの大切な金魚草を強く、美しく咲かせましょう。
- 金魚草が徒長する主な原因と具体的な予防策
- 摘心や切り戻しでひょろひょろ茎を改善する方法
- 室内栽培での徒長を防ぐ光と温度の管理術
- 健康な土づくり、適切な水やりと肥料による年間管理
金魚草が「ひょろひょろ」になる原因と予防策
- 徒長のサインと原因
- 日照不足が招く徒長
- 温度・株間・通気性
- 窒素過多に注意する肥料
- 室内栽培の予防策
徒長のサインと原因

金魚草に起こる「徒長」とは、茎がひょろひょろと細長く伸び、葉の間隔が広がってしまう状態を指します。これは、植物が光を求めて茎を伸ばしすぎてしまう生理現象です。
徒長の主な原因はいくつかあります。一つは、金魚草にとって大切な光が不足する「日照不足」です。また、気温や湿度が高い「高温多湿」の環境も、徒長を促進する要因となります。
肥料の与えすぎにも注意が必要です。特に窒素分が多い肥料は、徒長を引き起こす可能性があります。さらに、株を密集させて植える「密植」も、株同士が光を奪い合うことで徒長の原因となります。
徒長してしまうと、見た目だけでなく植物の健康にも影響が出ます。茎は軟弱になり倒れやすくなるだけでなく、花つきも悪くなる傾向があります。結果として、生育不良や病害虫への抵抗力低下にも繋がりかねません。金魚草を元気に育てるために、これらの点に気をつけましょう。
日照不足が招く徒長

金魚草は、健康な成長と豊かな開花のために、日当たりと風通しの良い場所を好みます。毎日、少なくとも6時間は直射日光が当たる場所で管理してあげることが大切です。
もし日当たりが足りないと、金魚草の生育が悪くなり、花のつきもまばらになってしまうことがあります。特に気をつけたいのが「徒長(とちょう)」という現象です。
徒長とは、日照不足などの環境が原因で、茎がひょろひょろと異常に細長く伸び、葉が小さく薄くなってしまうことなんです。
なぜこのようなことが起こるかと言いますと、日照不足の環境では、植物の中で茎の成長を促す「ジベレリン」という植物ホルモンがたくさん作られるためです。光合成で得られるエネルギーが足りない中で、植物は残されたエネルギーを、少しでも光に届こうと茎を伸ばすことに優先的に使ってしまうのですね。
徒長してしまった金魚草は、全体的に弱々しくなり、病気や害虫への抵抗力が下がってしまったり、花数が減ったりする原因にもなります。
ただし、真夏の強い日差しは金魚草にとって負担になることもありますので、夏場だけは半日陰や明るい日陰に移動させるか、日よけを作ってあげると良いでしょう。
温度・株間・通気性

金魚草は涼しい気候を好む植物で、生育に最適な温度は10~25℃程度とされています。もし、光が不足している状況で気温が高すぎると、金魚草は光を求めて急速に生長しようとし、「徒長(とちょう)」を引き起こしやすくなります。
さらに、35~40℃以上の過度な高温は、金魚草の葉や花に直接ダメージを与えるだけでなく、植物の生長を必要以上に早めてしまうため、これも徒長の原因となることがあります。
また、株間(かぶま)が密になりすぎると、苗同士が光を奪い合い、結果として茎が細く間延びする徒長が発生しやすくなります。株間が狭いと、株元の通気性が悪化し、土壌中の養分や水分を巡る競争も激しくなります。これにより、個々の株の生長が悪くなったり、花つきが減少したり、茎が軟弱になったりすることがあります。
金魚草は多湿な環境を嫌いますので、風通しが悪い場所では株が蒸れて弱り、徒長の一因にもなります。特に日本の梅雨から真夏にかけての高温多湿な時期には、通気性の悪さがうどんこ病やさび病などの真菌性疾患のリスクを高めてしまいます。
このようなトラブルを避けるためには、植え付けの際に適切な株間を確保し、定期的な剪定(せんてい)で株の内部に風が通るようにしてあげることが大切です。植え付け場所の風通しを考慮することで、通気性が改善され、徒長や病害虫の発生を予防する効果が期待できます。
窒素過多に注意する肥料

植物の葉や茎の成長(栄養成長)を強く促進する主要栄養素は窒素、通称「葉肥」です。しかし、窒素が過剰に供給されると「徒長」を引き起こします。これは、葉や茎の細胞分裂・伸長が急速になり、茎が細く軟弱、水っぽく間延びする現象です。細胞壁が十分に強化される前に伸びが進むため、茎は軟弱化します。
窒素過多の症状は、葉が通常より大きく濃い緑色になる、花芽形成が遅れる、根の生育不良、収穫物(味や貯蔵性)の品質低下などです。過剰な窒素は、カリウム、リン酸、カルシウム、マグネシウムなど他栄養素の吸収や利用を阻害し、栄養バランスを崩します。これにより、病害虫抵抗力や、暑さ・寒さなど環境変化への適応力が低下します。また、栄養成長から生殖成長(花や実の形成)への移行を遅らせます。
植物の健全な成長には、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の肥料三要素をバランス良く供給することが不可欠です。リン酸は「花肥」「実肥」として花・実・根の成長を助け、カリウムは植物全体を丈夫にする働きがあります。
施肥方法には、種まき・植え付け時の「元肥」と、成長段階で栄養を補う「追肥」があります。元肥には効果が長く続く緩効性肥料が適しますが、入れすぎると「肥料焼け」を起こす可能性があるため注意が必要です。追肥は生育状況に応じて行い、初期は窒素成分が多い肥料、開花・結実期はリン酸・カリウム成分が多い肥料が適しています。追肥は根の先端付近に与え、茎の根元は避けることで、肥料焼けのリスクを減らせます。
窒素過多の予防・改善には、施肥前の土壌診断を行い、植物ニーズに合わせた適切な量の肥料を施すことが重要です。また、腐葉土や緑肥など有機物を土壌に混ぜることで、微生物活動が活発になり、過剰な窒素の安定化に役立ちます。
EL室内栽培の予防策


金魚草は日光を好むため、室内栽培では光量不足による「徒長(とちょう)」に注意が必要です。茎が細く長く伸びてしまう原因となるため、南向きや東向きの明るい窓辺でも光が不足しがちであれば、補助光の使用を検討しましょう。
苗の徒長を防ぐには、補助光を1日12時間照射するのが効果的です。室内での種まき時には、1日16時間育成ライトを点灯し、夜間は消灯してください。ちなみに、金魚草の発芽適温は15~20℃が目安とされています。
水やりは、金魚草が過湿を嫌うため、土の表面が乾いたことを確認してからたっぷりと与えるのが基本です。
また、健康な生育のためには風通しの良い環境が不可欠です。風通しが悪いと、アブラムシなどの害虫や灰色かび病といった病気の発生につながりやすくなります。
金魚草は比較的耐寒性があり、-5℃程度まで耐えられますが、霜には注意が必要です。室内でも、窓際などでの急な冷え込みには気をつけましょう。
室内栽培では、光、温度、水やり、風通しといった基本的な管理を徹底することで、徒長や病害虫のリスクを大幅に減らすことができます。特に補助光は必須と考えて良いでしょう。
ひょろひょろ金魚草を美しく咲かせる管理
- 摘心(ピンチ)の時期と方法
- 徒長苗を蘇らせる深植え
- 健康な土・水やり・肥料
- ひょろひょろ茎の切り戻し
- 年間管理で強く美しく
摘心(ピンチ)の時期と方法


金魚草をより豊かな姿に育てるために、「摘心(ピンチ)」はとても効果的なお手入れです。
摘心を行うことで、脇芽の発生が促され、株が横に広がり、ボリュームのある姿になります。また、株全体の風通しが良くなり、病害虫の発生を抑える効果も期待できますよ。適切な摘心は、金魚草の寿命を延ばし、より大きく健康な花を咲かせることにつながります。
摘心のタイミングですが、まず金魚草の生育初期に行うと良いでしょう。この時期に摘心することで、脇芽がたくさん出て、株全体を大きく育てることができます。
さらに、最初の開花後、春から初夏にかけて切り戻しを兼ねて摘心を行うと、秋に再び美しい花を咲かせることが可能です。この際は、初夏に開花が終わった頃を目安に、草丈の3分の1程度に切り戻すのがおすすめです。
作業する際は、病気の感染を防ぐためにも、必ず消毒した清潔なハサミを使用してくださいね。摘心の場所は、下葉や新しい芽が残っている部分のすぐ上で切るのがポイントです。特に、茎の節(葉が出ている部分)のすぐ上で切ると、そこから新しい脇芽が伸びやすくなりますよ。
摘心とは別に、咲き終わった花をこまめに摘み取る「花がら摘み」も大切です。これにより、植物が種子を作るためのエネルギー消費を抑え、新しい花の開花に集中させることができます。結果として、開花期間が長くなり、花数も増えて、長く金魚草を楽しむことができますよ。
徒長苗を蘇らせる深植え


徒長苗とは、光が不足したり、高温になったり、窒素肥料が多すぎたり、土が湿りすぎたりといった環境で、茎が細く長く伸びてしまった苗のことです。
一般的に、このように徒長してしまった苗は、深く植え付ける「深植え」という方法で、埋まった茎の部分から新しい根が出やすくなり、株全体が安定するという効果が期待できます。
しかし、金魚草の深植えには注意が必要です。金魚草は、まっすぐに伸びる「直根性」という性質の根を持っています。この直根はとてもデリケートで、少しでも傷ついてしまうと、その後の生育が悪くなってしまう可能性があります。
そのため、金魚草に対して深植えを行うことはあまりおすすめできません。根を傷つけたり、根腐れを起こしたりするリスクが高まってしまうからです。金魚草を植え付ける際は、育苗ポットに入っていた時と同じくらいの深さか、根が隠れる程度の浅い深さに留めるのが良いでしょう。
もし金魚草が徒長してしまったら、日当たりの良い場所に移動させたり、植物育成ライトを活用したりして、十分な光が当たるように工夫してみてください。また、生育に適した15〜20℃くらいの温度を保つように管理することも大切です。水やりは土の表面が乾いてから行い、肥料は窒素分が多くなりすぎないよう調整することで、徒長を防ぐことができます。
すでに徒長してしまった金魚草には、「摘心」という方法が有効です。これは、株の先端を摘み取ることで、脇から新しい芽が出るのを促し、株全体のバランスを整えることができますよ。
健康な土・水やり・肥料


金魚草を元気に育てるためには、土づくりから水やり、肥料の与え方まで、いくつか大切なポイントがあります。
まず土壌ですが、金魚草は水はけが良く、風通しの良い環境を好む植物です。土壌のpHは弱酸性から中性、具体的にはpH6.0~7.0程度が適しています。鉢植えで育てる場合は、赤玉土、腐葉土、川砂(またはパーライト)を配合した土、あるいは市販の園芸用培養土を使うのがおすすめです。地植えにする場合は、植え付けを行う前に堆肥や腐葉土を混ぜ込んで土壌改良を行い、排水性を高めてあげましょう。
水やりは、土の表面が乾いたことを確認してから、株元にたっぷりと与えるのが基本です。ただし、過湿は根腐れの原因となりますので、水のやりすぎには十分注意してください。特に種まきから芽が出るまでの間は、土を乾燥させないように管理することが肝心です。冬場は金魚草の生育が鈍るため、水やりは控えめにし、気温が下がる夕方以降の水やりは凍結の可能性があるため避けるようにしましょう。
肥料については、地植えで育てる場合は、植え付け時に元肥を施しておけば、その後の追肥はほとんど必要ありません。鉢植えで管理する場合は、春と秋の生育期に、月に1~2回程度、規定の濃度に薄めた液体肥料を与えると良いでしょう。肥料を与える際には、量が多すぎたり、濃度が濃すぎたりすると根を傷めてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
ひょろひょろ茎の切り戻し


金魚草の茎がひょろひょろと徒長する主な原因は、日照不足や株間の過密による風通しの悪さです。茎が長く伸びてひょろひょろした苗は、花つきが悪くなる傾向があるため、苗選びの際は避けるのがおすすめです。金魚草を健康に育てるためには、日当たりと風通しの良い場所で管理することが重要となります。
若い金魚草の生長点(茎の先端)を摘み取る「摘心(てきしん)」は、脇芽の成長を促し、株をより密でコンパクトに育て、花の数を増やす効果があります。
さて、「切り戻し」とは、金魚草の咲き終わった花茎や伸びすぎた茎を切り詰める作業のことです。この作業を行うことで、次の開花が促され、金魚草の開花期間を長く楽しむことができます。
また、切り戻しは株の形を整えるだけでなく、風通しを良くして蒸れを防ぎ、病気の予防にもつながります。脇芽が増えることで、株全体の蒸れ防止にも貢献するのです。
金魚草の切り戻しは、主に春に咲いた花が終わった後に行うのが適切です。特に梅雨入り前や梅雨の時期に切り戻しを行うと、高温多湿に弱い金魚草の蒸れ対策となり、夏越しにも効果的です。
切り戻しを行う際は、草丈の3分の1から2分の1程度の高さで、新芽が出ている部分を残してカットしましょう。もし重度にひょろひろと伸びてしまった金魚草の茎でも、健康な葉が残っている限り、株の下の方から切り戻すことで、バランスの取れた株に仕立て直すことが可能です。
年間管理で強く美しく
金魚草を長く楽しむには、年間を通じた適切なお手入れが重要です。
開花後は、咲き終わった花をこまめに摘み取りましょう。新しい花の開花を促し、株の体力を維持して長期間花が楽しめます。
花が一段落する梅雨入り前や6月頃には、株元から10cm程度で「切り戻し」を。脇芽が増え、株の蒸れを防ぎ、秋の再開花が期待できます。
病害虫ではアブラムシに注意が必要です。暖かい時期の大量発生は株を枯らす原因となるため、見つけ次第、専用薬剤で駆除するか水で洗い流しましょう。
病気は葉枯病、モザイク病、灰色かび病、立ち枯れ病などのリスクがあります。予防には、風通しを良くし、花がらや枯れ葉のこまめな除去が重要です。
冬の寒さ対策として、金魚草は比較的耐寒性が強く、霜や雪に直接当たらなければ氷点下0℃前後でも越冬可能です。
鉢植えは、霜が降りる前に軒下や室内の霜が当たらない場所へ移動させてください。
地植えは、株元を敷き藁やビニールで覆う「マルチング」で霜対策と保温を図り、春に暖かくなったら外しましょう。
冬は生育が鈍るため、水やりは控えめに。水が凍結し根を傷める可能性があるため、夕方以降の水やりは避けてください。
一方で、金魚草は高温多湿に弱く、日本では一年草として扱われることが多く、夏越しが難しい場合があります。
夏越しを目指すなら、梅雨前に切り戻しで株の蒸れを防ぎ、鉢植えなら雨や直射日光を避けた風通しの良い半日陰へ移動させると良いでしょう。
総括:金魚草の「ひょろひょろ」を防ぎ、一年中美しい姿を楽しむための完全ガイド
この記事のまとめです。
- 金魚草の「徒長」は、茎が細長く伸び、葉の間隔が広がる生理現象である
- 徒長の主な原因は日照不足、高温多湿、窒素過多の肥料、密植である
- 徒長は見た目だけでなく、株を弱らせ病害虫への抵抗力も低下させる
- 金魚草の健康な成長には毎日少なくとも6時間の直射日光が必要である
- 日照不足は茎の成長を促すジベレリンを増加させ、徒長を引き起こす
- 金魚草の生育最適温度は10~25℃であり、光不足と高温は徒長を招く
- 株間が密すぎると光の奪い合いが生じ、通気性も悪化して徒長につながる
- 窒素の過剰供給は葉や茎を急速に伸長させ、「徒長」を引き起こす
- 室内栽培では光量不足による徒長に注意し、補助光を1日12時間以上照射すると良い
- 摘心は脇芽を増やし、株をボリュームアップさせ、病害虫予防にも効果的である
- 金魚草は直根性でデリケートなため、深植えは根を傷つけ根腐れのリスクを高める
- 金魚草は水はけと風通しが良く、弱酸性~中性の土壌を好む
- 水やりは土の表面が乾いたことを確認してから行い、冬は控えめに、夕方以降は避ける
- 切り戻しは次の開花を促し、開花期間を長くし、株の蒸れを防ぎ病気を予防する効果がある
- 金魚草を長く楽しむためには、花がら摘みや切り戻しといった年間を通じたお手入れが重要である











