梅雨の季節を美しく彩る紫陽花ですが、「紫陽花を庭に植えてはいけない」という言葉を耳にしたことはありませんか。一方で、紫陽花は増やしてはいけない、縁起が悪いといった少し怖い噂も存在します。しかし、実際には紫陽花の地植えでおすすめの品種もあり、紫陽花を植える場所を風水で考えれば、玄関に飾ることで金運アップの効果が期待できるとも言われています。この記事では、紫陽花を庭のどこに植えれば良いのか、そして紫陽花以外で庭に植えると縁起の良い花は何かについても触れながら、紫陽花にまつわる様々な噂の真相を一つひとつ丁寧に解説していきます。
- 紫陽花を庭に植えてはいけないと言われる迷信の由来
- 風水に基づいた紫陽花の縁起の良い植え方
- 紫陽花の毒性に関する正しい知識と注意点
- 紫陽花以外で庭に植えると縁起の良い植物
紫陽花を庭に植えてはいけないと言われる理由
- 紫陽花は縁起が悪いという迷信の由来
- 死を連想させる歴史的背景とは
- 花言葉に隠されたネガティブな意味
- 紫陽花を増やしてはいけない毒性の話
紫陽花は縁起が悪いという迷信の由来
紫陽花が縁起が悪いとされる背景には、いくつかの迷信や風水に基づいた解釈が存在します。特に有名なのが、紫陽花が持つ「水の気」に関連する考え方です。
風水の一部では、梅雨の時期に多くの水分を吸収して育つ紫陽花は、その家の「水の気」を吸い尽くしてしまうと考えられています。このため、住人の恋愛運や良い気を吸い取ってしまい、特に未婚の女性がいる家庭では良縁が遠のき、家に根付いてしまう(婚期が遅れる)と言われることがあります。
しかし、これはあくまで一つの解釈に過ぎません。逆に言えば、その強い水の気の力は、既婚者にとっては家庭内の悩みや悪い気を吸い取ってくれるという良い意味合いも持ち合わせています。さらに、紫陽花の花が密集して咲く様子から「人やお金が集まる」とされ、玄関先や庭に植えることで商売繁盛や金運を高めてくれるという、全く逆のポジティブな説も広く信じられています。
- ネガティブな説:水の気を吸いすぎるため、恋愛運を下げ、未婚女性の婚期が遅れるとされる。
- ポジティブな説:悪い気や悩みを吸い取る効果があり、商売繁盛や金運アップにつながるとされる。
このように、紫陽花の縁起に関する話は、見る角度によって解釈が大きく異なります。どちらか一方だけを信じるのではなく、様々な考え方があることを理解しておくことが大切です。
死を連想させる歴史的背景とは
紫陽花に「死」や「不吉」といったイメージが結びついたのには、日本の歴史的背景が深く関わっています。
現代のように医療が発達していなかった時代、気候が不安定で湿度が高まる梅雨の時期は、多くの人々が体調を崩し、命を落とすことも少なくありませんでした。ちょうどその時期に美しく咲き誇る紫陽花は、亡くなった人々へ手向ける花として、お寺の境内や墓地などに多く植えられるようになったのです。
この習慣から、「紫陽花=お墓の花」というイメージが人々の間に定着し、自宅の庭に植えるのは縁起が悪いと敬遠される一因となりました。
- 医療が未発達だった時代、梅雨の時期に亡くなる人が多かった。
- その時期に咲く紫陽花が、死者に手向ける花として寺院や墓地に植えられた。
- 紫陽花の花びら(実際は萼)が4枚であることから「死」を連想させた。
さらに、紫陽花の花びらに見える萼(がく)が4枚であることから、数字の「四」が「死」に通じるとして、不吉な連想を掻き立てたという説もあります。これらの歴史的な背景や迷信が複合的に絡み合い、「紫陽花を庭に植えてはいけない」という考え方が広まっていったと考えられます。
花言葉に隠されたネガティブな意味
紫陽花には、その美しい見た目とは裏腹に、いくつかのネガティブな花言葉が存在することも、縁起が悪いと言われる理由の一つです。
代表的なものに「移り気」「浮気」「高慢」といった花言葉があります。これらは、紫陽花の花の色が咲き始めてから徐々に変化していく様子や、植えられている土壌のpH(酸性度)によって色が変わる性質に由来しています。
ただ、これらの花言葉は紫陽花の一側面に過ぎません。一方で、小さな花(装飾花)が肩を寄せ合うように集まって咲く姿から、「家族団らん」「和気あいあい」「辛抱強い愛情」といった、非常にポジティブで心温まる花言葉も持っています。
近年では、母の日のプレゼントや結婚式のブーケにも使われるようになり、むしろ「家族の結びつき」を象徴する良いイメージの方が定着しつつあります。色別の花言葉も見てみましょう。
紫陽花の花色 | 花言葉 |
---|---|
白色 | 寛容、ひたむきな愛情 |
青色 | 辛抱強い愛情、知的、神秘的 |
ピンク色 | 元気な女性、強い愛情 |
このように、花言葉には様々な側面があります。ネガティブな意味だけを捉えるのではなく、その背景やポジティブな意味も知ることで、紫陽花への印象も変わってくるのではないでしょうか。
紫陽花を増やしてはいけない毒性の話
「紫陽花を増やしてはいけない」と言われる背景には、縁起の問題だけでなく、植物が持つ毒性という現実的な理由も存在します。
厚生労働省の公式サイトでも注意喚起されていますが、紫陽花の葉や蕾、根には毒性成分が含まれている可能性があり、誤って食べると食中毒を引き起こすことがあります。過去には、料理の飾りとして添えられていた紫陽花の葉を食べてしまい、嘔吐やめまい、顔面紅潮といった中毒症状を起こした事例が報告されています。
紫陽花の毒性に注意
紫陽花の葉などを食べると、食後30分~40分程度で以下のような中毒症状が現れることがあります。
- 嘔吐
- めまい
- 吐き気
- 顔面紅潮
料理に添えられていても、絶対に食べないでください。特に小さなお子様やペットがいるご家庭では、誤って口にしないよう十分な注意が必要です。
(参照:厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル)
もちろん、普通に庭で育てて観賞する分には何の問題もありません。しかし、植物の特性として毒を持つ部分があることは事実です。このことから、特に知識がないまま安易に増やしたり、食用と間違えやすい場所に植えたりすべきではない、という意味で「増やしてはいけない」と言われることがあります。これは、安全管理の観点からの忠告と言えるでしょう。
紫陽花を庭に植えてはいけないは迷信?
- 紫陽花を植える場所は風水で決める
- 紫陽花の玄関飾りで金運アップ?
- 紫陽花の地植えでおすすめの品種
- 紫陽花以外で庭に植えると縁起の良い花は?
- 紫陽花を庭に植えてはいけない理由の総括
紫陽花を植える場所は風水で決める
これまでの解説で、紫陽花にまつわるネガティブな話の多くが迷信であることが分かりました。むしろ風水を活用すれば、紫陽花は運気を上げるための強力なアイテムになり得ます。重要なのは、どこに植えるかです。
風水において、紫陽花を植えるのに特に良いとされる方角は、東、東南、南、南西です。中でも最もおすすめなのが「東南」です。
東南は「縁」を司る方角とされ、人とのコミュニケーションや信頼関係に影響を与えます。この方角に紫陽花を植えることで、人付き合いが円滑になり、結果として恋愛運や対人運の向上が期待できると言われています。
- 東南:最もおすすめ。良縁を引き寄せ、恋愛運や対人運を向上させる。
- 東:発展運。仕事や勉強の成果が出やすくなる。
- 南:人気運や才能運。美しさや知性を高める。
- 南西:家庭運や健康運。家庭内の安定をもたらす。
興味深いことに、これらの風水で良いとされる方角は、紫陽花の生育環境としても非常に理にかなっています。紫陽花は日当たりを好みますが、強すぎる西日は葉焼けの原因になります。午前中に日が当たる東側や、日照時間が適度な南側は、花付きを良くするための最適な場所なのです。昔ながらの知恵である風水が、植物の生態にも基づいている良い例と言えるでしょう。
紫陽花の玄関飾りで金運アップ?
紫陽花は庭に植えるだけでなく、玄関に飾ることでも素晴らしい風水効果を発揮します。特に金運アップに効果があるとして、古くから様々な風習が伝えられています。
風水では、玄関は全ての「気」の入り口とされる最も重要な場所です。ここに紫陽花を飾ることで、その密集した花の姿が「良い気」や「お金」をたくさん呼び込んでくれると考えられています。これが、紫陽花が商売繁盛の縁起物とされる所以です。
さらに有名なのが、特定の日に行う紫陽花のおまじないです。
6月の6のつく日(6日、16日、26日)に紫陽花を切り、半紙で包んで水引を結び、玄関に逆さまに吊るしておくと、厄除けになりお金に困らない、という言い伝えがあります。これは、紫陽花が蜂の巣に似ていることから商売繁盛を連想させることや、「寝付かず(根付かず)健康」という語呂合わせから来ているとされています。

このように、紫陽花は飾り方一つで強力な幸運のアイテムとなります。縁起が悪いどころか、積極的に生活に取り入れたい植物なのです。
紫陽花の地植えでおすすめの品種
紫陽花を庭に植えるなら、縁起の良い花言葉を持つ品種や、育てやすく見た目も美しい品種を選びたいものです。ここでは、地植えにおすすめの代表的な紫陽花をいくつかご紹介します。
アナベル(アメリカアジサイ)
真っ白で大きな手まり状の花を咲かせる「アナベル」は、近年非常に人気の高い品種です。花言葉は「ひたむきな愛」「辛抱強い愛情」と、とてもポジティブ。丈夫で育てやすく、剪定時期の幅も広いため、初心者の方にもおすすめです。洋風の庭にも和風の庭にもマッチする、万能な紫陽花と言えるでしょう。
カシワバアジサイ
その名の通り、柏の葉に似た特徴的な形の葉を持つ紫陽花です。円錐状のボリュームある花を咲かせ、秋になると葉が美しく紅葉するのが最大の魅力。花のない季節も庭を彩ってくれるため、ガーデニング好きから高い支持を得ています。樹高は2mほどに成長することもあり、シンボルツリーとしても存在感を発揮します。
ガクアジサイ
日本の自生種であり、多くの園芸品種の元となったのがこのガクアジサイです。中央の小さな両性花の周りを、大きな装飾花が額縁のように囲む姿が特徴。派手さはありませんが、楚々とした風情があり、特に和風の庭によく合います。「墨田の花火」や「城ヶ崎」など、美しい名前の品種が多いのも魅力の一つです。
品種名 | 特徴 | おすすめポイント |
---|---|---|
アナベル | 白く大きな手まり咲きの花。丈夫で育てやすい。 | 花言葉が良く、洋風ガーデンにぴったり。初心者向け。 |
カシワバアジサイ | 円錐状の花房と、秋に紅葉する柏の葉に似た葉。 | 花と紅葉の二度楽しめる。シンボルツリーにもなる。 |
ガクアジサイ | 額縁のような咲き方。楚々とした和の風情。 | 日本原産で気候に合う。落ち着いた雰囲気の庭に。 |
紫陽花以外で庭に植えると縁起の良い花は?
庭づくりをするなら、紫陽花以外にも縁起の良い植物を取り入れて、さらに運気をアップさせたいですよね。古くから日本で縁起が良いとされてきた庭木はたくさんあります。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
- ナンテン(南天)
「難を転ずる」という語呂合わせから、災いを避ける魔除けの木として知られます。鬼門(北東)に植えると良いとされています。 - ヒイラギ(柊)
葉のトゲが邪気の侵入を防ぐとされ、古くから魔除けとして玄関先や生垣に用いられてきました。 - キンカン(金柑)
「金冠」に通じる名前と黄金色の実から、金運や商売繁盛の象徴とされます。西の方角に植えるとさらに効果的です。 - オリーブ
「平和の象徴」として知られ、家庭に平和と幸せをもたらすと言われます。洋風の庭にもよく合います。 - センリョウ・マンリョウ(千両・万両)
冬に付ける赤い実がお金を連想させることから、富や繁栄をもたらす縁起木としてお正月の飾りにも使われます。 - マツ(松)
一年中緑を保つことから生命力の象徴とされ、長寿や健康を願って植えられます。
これらの植物は、それぞれに縁起の良い意味や歴史を持っています。紫陽花と組み合わせたり、家の雰囲気や方角に合わせて選んだりすることで、見た目にも美しく、幸運を呼び込む素敵な庭を作ることができるでしょう。
紫陽花を庭に植えてはいけない理由の総括
- 「紫陽花を庭に植えてはいけない」という話は主に迷信に由来する
- 水の気を吸い恋愛運を下げるという風水の説があるが、逆に金運を上げるという説も存在する
- 医療が未発達だった時代に死者に手向ける花として寺社に植えられた歴史的背景がある
- 花びらが4枚で「死」を連想させるという迷信も縁起が悪いとされる一因
- 花言葉には「移り気」などネガティブなものもあるが、「家族団らん」などポジティブなものも多い
- 紫陽花の葉には毒性があり、誤食すると中毒を起こす危険性があるため安全管理は必要
- これらのネガティブな話は迷信や一部の解釈であり、過度に気にする必要はない
- 風水では東南の方角に植えると対人運や恋愛運が向上するとされる
- 玄関に飾ると商売繁盛や金運アップの効果が期待できる
- 6のつく日に玄関に逆さに吊るすと厄除けや金運のお守りになるという風習がある
- 地植えには「アナベル」や「カシワバアジサイ」など縁起の良い花言葉を持つ品種がおすすめ
- 紫陽花は縁起が悪い植物ではなく、むしろ幸運を呼び込む力を持つとされる
- 植える場所や飾り方を工夫することで、良い風水効果を得ることができる
- ナンテンやヒイラギなど、紫陽花以外にも庭に植えると縁起の良い植物は多い
- 迷信の背景を理解し、正しい知識を持てば、紫陽花はガーデニングの素晴らしいパートナーになる