ゴーヤに雌花が咲かない?原因と実をつける育て方のコツ

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家庭菜園でゴーヤを育てていると、雄花ばかり咲いてしまい、肝心のゴーヤに雌花が咲かないという悩みに直面することがあります。雌花が咲かない理由がわからず、このままでは雌花が枯れるだけで実を収穫できないのではと不安になりますよね。また、雌花はいつ咲くのか、ゴーヤの雌花を増やすにはどうすれば良いのか、そしてゴーヤの実をたくさんつけるにはどんなコツがあるのか、知りたいことは多いはずです。ゴーヤの肥料不足のサインを見極めることも重要です。この記事では、そんなあなたの悩みを解決するための具体的な方法を詳しく解説していきます。

  • 雄花ばかりが咲く理由と雌花が咲き始める時期がわかる
  • 摘心や肥料といった管理作業が花つきに与える影響を理解できる
  • 実がならない原因と、それを解決する人工授粉の具体的な方法がわかる
  • 水やりや日当たりなど、日々の基本的なケアの重要性を見直せる
目次

ゴーヤに雌花が咲かない?考えられる原因

  • そもそも雄花ばかり咲くのは自然なこと
  • ゴーヤの雌花はいつ咲くのが普通?
  • 時期以外の雌花が咲かない理由とは
  • ゴーヤの肥料不足のサインは葉の色
  • なぜ受粉後に雌花が枯れるのか

そもそも雄花ばかり咲くのは自然なこと

ゴーヤの栽培を始めてしばらくすると、「雄花ばかり咲いて、肝心の雌花が全く見当たらない」という状況に陥ることがよくあります。しかし、これはゴーヤの生育特性によるもので、多くの場合、特に心配する必要はありません。

ゴーヤは、株がある程度成長するまでの初期段階では、雄花を先行して咲かせる性質を持っています。これは、後から咲く雌花が受粉のチャンスを逃さないように、先にたくさんの花粉を用意しておくための、植物としての賢い戦略と考えられます。そのため、植え付けから数週間は雄花しか咲かない時期が続くのが一般的です。

また、環境要因も花の性別に影響を与えます。例えば、日照不足や低温、肥料の成分バランスの偏りなどが原因で、雌花のつきが悪くなることがあります。ハウス栽培などで気温が低い状態が続くと、雌花の発生が抑制され、結果的に雄花ばかりが目立ってしまうこともあります。

したがって、雄花ばかり咲いているからといって、すぐに栽培の失敗だと判断するのは早計です。株の成長とともに、自然と雌花も咲き始めることがほとんどなので、焦らずに日々の手入れを続けながら、株の成長を見守ることが大切です。

ポイント

ゴーヤは生育初期に雄花をたくさん咲かせます。これは雌花の受粉に備えるための自然な準備期間であり、栽培が失敗しているわけではありません。

ゴーヤの雌花はいつ咲くのが普通?

「雄花はたくさん咲くのに、雌花はいつになったら咲くのだろう」と待ち遠しく感じている方も多いかもしれません。ゴーヤの雌花が咲き始める時期には、植物の性質と栽培管理が深く関わっています。

一般的に、雌花は雄花よりも少し遅れて咲き始めます。具体的には、親づるがある程度伸び、そこから分岐した子づるや孫づるが成長してくる頃に、雌花がつきやすくなります。多くのゴーヤ品種は、夏至を過ぎて日が短くなることを感じ取って花芽を形成する「短日植物」の性質を持つため、本格的に雌花が増え始めるのは7月以降になることが多いです。

この性質を理解すると、栽培管理の重要性が見えてきます。もし親づるを一本だけ伸ばし続けていると、葉ばかりが茂ってしまい、雌花がなかなかつきません。雌花は子づるや孫づるに多くつく傾向があるため、意図的に子づるや孫づるを増やす作業、つまり後述する「摘心」が雌花を咲かせるための鍵となります。

要するに、雌花が咲くのをただ待つだけでなく、株が子づるや孫づるを伸ばせるような適切な手入れをすることで、雌花が咲く時期を促し、数を増やすことが可能になるということです。

時期以外の雌花が咲かない理由とは

雄花は咲くのに雌花だけが一向に咲かない場合、ここまでに解説した「時期の問題」以外にも、日々の育て方に原因がある可能性が考えられます。いくつかのチェックポイントを見直してみましょう。

第一に考えられるのは、肥料のバランスです。特に、葉や茎の成長を促す「窒素」成分が多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが青々と茂る「つるボケ」の状態を助長してしまいます。その結果、花の形成、特に雌花の形成に必要なエネルギーが回らなくなります。

第二に、日照不足です。ゴーヤは日光を非常に好む植物であり、光合成を活発に行うことで成長のエネルギーを生み出します。日当たりが悪い場所で育てていると、株全体が弱々しくなり、花を咲かせるまでの体力がなくなってしまいます。最低でも1日に5〜6時間は直射日光が当たる場所が理想的です。

第三に、水分の過不足が挙げられます。ゴーヤは葉が大きく水分を多く必要としますが、常に土が湿っている状態も根腐れの原因となり、生育不良につながります。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える、というメリハリのある水やりを心がけましょう。

注意点

窒素肥料の与えすぎ、日照不足、不適切な水やりは、雌花がつかない直接的な原因となります。基本的な育て方を見直すことが、問題解決の第一歩です。

ゴーヤの肥料不足のサインは葉の色

ゴーヤは生育旺盛なため、たくさんの栄養を必要とします。肥料が不足すると、株はSOSのサインを出します。その最も分かりやすいサインが「葉の色」の変化です。

健康なゴーヤの葉は濃い緑色をしていますが、肥料、特に成長に不可欠な窒素分が不足してくると、葉の色が全体的に薄くなったり、黄色っぽく変色したりします。この症状は、株の下の方の古い葉から現れ始めることが多いです。

また、葉の色だけでなく、つるの伸びが悪くなったり、新しく出てくる葉が小さくなったりするのも肥料不足のサインです。これらのサインを見つけたら、それは追肥が必要なタイミングであることを示しています。株の状態をよく観察し、適切なタイミングで栄養を補給してあげることが、たくさんの花を咲かせ、実を収穫するための重要なポイントとなります。

なぜ受粉後に雌花が枯れるのか

待望の雌花が咲いたのに、実になる前に黄色く変色して枯れてしまうことがあります。これは栽培者にとって非常に残念な現象ですが、いくつかの原因が考えられます。

最も一般的な原因は「受粉の失敗」です。雌花は開花してから非常に短い時間(通常は1〜2日)しか受粉能力がありません。この間に雄花の花粉が雌しべにつかなかった場合、雌花は子孫を残す役目を終えたと判断し、根元の膨らみごと枯れてしまいます。都市部のベランダなど、ミツバチのような花粉を運ぶ昆虫が少ない環境では、受粉がうまくいかないケースが多くなります。

次に考えられるのは、株の栄養不足や体力不足です。たくさんの実を同時につけている場合や、水切れ・肥料切れを起こしている場合、株に実を大きく育てるだけの余力がありません。その際、植物は自ら実の数を調整するために、新しくついた雌花や小さな実を枯らして落とすことがあります。これを「生理落下」と呼びます。

これらのことから、雌花が枯れるのを防ぐためには、後述する人工授粉を試したり、適切な水やりや追肥で株の健康を維持したりすることが有効な対策となります。

ゴーヤに雌花が咲かないときの育て方のコツ

  • ゴーヤの雌花を増やすには摘心が重要
  • ゴーヤの実をたくさんつけるには人工授粉
  • 適切な追肥で開花と実つきを促す
  • 水やりと日照不足も見直そう
  • プランター栽培は容量の確認を
  • ゴーヤに雌花が咲かない悩みの解決策まとめ

ゴーヤの雌花を増やすには摘心が重要

ゴーヤの収穫量を増やしたいのであれば、「摘心(てきしん)」という作業が極めて効果的です。摘心とは、つるの先端を摘み取ることで、植物の成長の方向性をコントロールする栽培技術です。

ゴーヤは、親づる(最初に伸びる主軸のつる)には雄花が多くつき、子づるや孫づる(親づるから分岐した脇のつる)に雌花が多くつくという特徴があります。このため、親づるをそのまま伸ばし続けると、葉や雄花ばかりが増えて、実がなりにくい「つるボケ」という状態に陥りがちです。

摘心を行うことで、親づるの先端への栄養供給がストップし、代わりに脇から子づるが勢いよく伸び始めます。この子づるが増えるほど、雌花がつく場所も増えるため、結果的に収穫量の増加に直結するのです。

摘心の具体的な方法

1. タイミング: 本葉が6〜7枚程度に育った頃が最初の摘心のタイミングです。
2. 方法: 清潔なハサミや手で、親づるの先端部分を摘み取ります。
3. 子づるの管理: 摘心後、複数の子づるが伸びてきます。全てのつるを伸ばすと葉が混み合って日当たりや風通しが悪くなるため、元気で太い子づるを3〜4本選び、それ以外は根元から摘み取ります。これを「整枝」と呼びます。
4. 孫づる: 伸ばした子づるがさらに成長したら、同様に摘心を行うことで孫づるが発生し、さらに雌花の数を増やすことができます。

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摘心は少し勇気がいるかもしれませんが、たくさんの実を収穫するための大切な一手間です。ぜひ挑戦してみてください!

ゴーヤの実をたくさんつけるには人工授粉

雌花が枯れる原因の多くが受粉の失敗であることから、「人工授粉」はゴーヤの収穫を確実にするための非常に有効な手段です。特に、虫が少ないベランダ菜園などでは、人の手で受粉を手伝ってあげることをお勧めします。

人工授粉の成功率を高めるポイントは「時間帯」です。ゴーヤの花は早朝に開き、花粉の状態が最も良いのは涼しい午前中のうち、できれば朝9時頃までです。昼近くになると気温が上がり、花粉の活力が失われたり、花がしぼみ始めたりするため、早めの作業が鍵となります。

人工授粉の具体的な手順

1. 雄花の採取: その日に咲いた新鮮な雄花を、茎の根元から摘み取ります。
2. 花びらを取り除く: 雄しべの花粉が露出しやすいように、周りの黄色い花びらを丁寧に取り除きます。
3. 受粉させる: 露出させた雄しべの先端を、雌花の柱頭(中央の黄緑色で、先端が3つに分かれている部分)に、優しく、まんべんなくこすりつけます。花粉が黄色い粉として付着するのが確認できれば成功です。

受粉が成功すると、雌花の根元にあった子房が数日で目に見えて大きくなり始めます。もし実がつかない、雌花が枯れるといった問題に悩んでいる場合は、ぜひこの人工授粉を試してみてください。

雌花と雄花の見分け方

見分ける最も簡単なポイントは花の根元です。雌花には小さなゴーヤのような膨らみ(子房)がありますが、雄花にはありません。

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花の種類 根元の特徴 役割
雌花 小さなゴーヤ状の膨らみ(子房)がある 受粉して実になる
雄花 膨らみがなく、細い花柄のみ 花粉を提供する

適切な追肥で開花と実つきを促す

ゴーヤは生育期間が長く、たくさんの実をつけるため、非常に多くの栄養を必要とします。そのため、適切なタイミングで適切な種類の肥料を与える「追肥(ついひ)」が、花を咲かせ、実を大きく育てる上で鍵となります。

植え付けの際に土に混ぜ込む「元肥(もとごえ)」だけでは、生育の途中で栄養が不足してしまいます。特に、花が咲き始め、実をつけ始める時期は、ゴーヤが最もエネルギーを消費するタイミングです。この時期に肥料が切れると、花が咲かなくなったり、せっかくついた実が大きくならなかったりする原因となります。

追肥のポイント

  • 開始時期: 植え付けから約2〜3週間後、または最初の実がなり始めた頃が追肥を開始する目安です。
  • 頻度: 生育が旺盛になる夏場は、2週間に1回程度のペースで追肥を行うのが一般的です。
  • 肥料の種類: 葉ばかりを茂らせる窒素(N)だけでなく、花や実の成長を助けるリン酸(P)や、根を丈夫にするカリウム(K)がバランス良く含まれた肥料を選びます。
  • 与え方: 固形の肥料を与える場合は、株の根元に直接触れないよう、少し離れた場所にまき、軽く土と混ぜ合わせます。

葉の色が薄くなるなどの肥料不足のサインを見逃さず、適切な追肥を心がけることで、花つきと実つきを格段に向上させることができます。

水やりと日照不足も見直そう

肥料や摘心といった特別な管理も大切ですが、ゴーヤ栽培の基本である「水」と「光」が不足すると、花つきや実の成長に直接的な悪影響が出ます。見落としがちな基本のケアを今一度確認しましょう。

まず水やりについてです。ゴーヤは大きな葉をたくさん茂らせるため、葉からの水分の蒸散が非常に激しい植物です。水切れを起こすと、葉がしおれるだけでなく、株全体の生育が停滞し、花を咲かせる体力が奪われてしまいます。プランター栽培の場合は土が乾きやすいため、夏場は朝と夕方の1日2回、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが理想です。

次に日照不足です。ゴーヤは典型的な夏の野菜であり、旺盛な成長のためには十分な日光が欠かせません。日当たりが悪いと、光合成が十分に行えず、株がひょろひょろと弱々しく育つ「徒長(とちょう)」という状態になります。このような株は花つきが悪くなるだけでなく、病気にもかかりやすくなります。ベランダなどで育てる際は、1日のうちで最も長く日が当たる場所にプランターを置くなどの工夫が効果的です。

プランター栽培は容量の確認を

プランターでゴーヤを栽培している場合、見落としがちなのがプランターの容量です。ゴーヤは地上部だけでなく、土の中の根も非常に旺盛に張る植物です。

もしプランターの容量が小さいと、生育の途中で根が鉢の中でいっぱいになってしまう「根詰まり」を起こしてしまいます。根詰まりを起こした株は、それ以上根を伸ばすスペースがなくなり、水や栄養を十分に吸収できなくなってしまいます。その結果、株の成長が止まり、花が咲かなくなったり、実が大きくならなかったりする直接的な原因となるのです。

ゴーヤをプランターで育てる場合は、できるだけ大きなものを選ぶのが成功の秘訣です。少なくとも深さ30cm以上、容量にして25L以上の大型プランターを用意することをお勧めします。大きなプランターで育てることで、根がのびのびと成長できる環境を確保し、株全体の健康を維持することができます。

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「大は小を兼ねる」と言いますが、プランター栽培ではまさにその通りですね。苗が小さいうちは大きく感じるかもしれませんが、夏の成長を考えると大きめのプランターが安心です。

ゴーヤに雌花が咲かない悩みの解決策まとめ

  • ゴーヤは雄花が先に咲き、雌花は後から咲くのが一般的
  • 雌花は花の根元に小さなゴーヤ状の膨らみがあることで見分けられる
  • 雄花ばかり咲くのは生育初期の正常な現象であることが多い
  • 雌花が本格的に咲き始めるのは7月以降、子づるや孫づるが増えてから
  • 本葉が6〜7枚の頃に親づるを摘心すると子づるが増え、雌花がつきやすくなる
  • つるや葉が茂りすぎると「つるボケ」になり、花が咲きにくくなる
  • 雌花が咲かない原因として、窒素過多の肥料、日照不足、水切れが考えられる
  • 花や実の成長を促すリン酸やカリをバランス良く含んだ肥料を追肥する
  • 雌花が咲いても枯れるのは、受粉の失敗や株の栄養不足が主な原因
  • 虫が少ない環境では、朝のうちに人工授粉を行うと実つきが確実になる
  • 人工授粉は雄花の花粉を雌花の中央に優しくこすりつける
  • 夏場は水切れを起こしやすいため、朝夕のたっぷりの水やりを心がける
  • 1日に5〜6時間以上の日光が当たる場所で育てることが理想的
  • 実が大きくならないのは、栄養不足や栄養の分散、根詰まりなどが原因
  • プランターは深さ30cm・容量25L以上の大型のものを選ぶ
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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