菊の植えっぱなしはNG?正しい育て方で毎年楽しむコツ

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庭に植えた菊を植えっぱなしにしていませんか?菊は多年草なので毎年花を咲かせてくれますが、お手入れをしないと年々花つきが悪くなってしまいます。この記事では、菊の育て方について初心者の方にも分かりやすく、地植えでの管理方法から適切な切り戻し時期、花が終わったらするべきこと、そして冬の菊の剪定方法まで、詳しく解説します。菊は次の年も育てられますかと疑問に思っている方も、この記事を読めば、毎年美しい花を咲かせるための知識が身につくはずです。

  • 植えっぱなしで起こる具体的な問題点
  • 菊を毎年きれいに咲かせるための年間スケジュール
  • 切り戻しや摘心といった剪定の正しい方法と時期
  • 冬越しや株分け、挿し木による増やし方の基本
目次

菊の植えっぱなしで起こりうる問題点

  • 菊の育て方初心者が知るべき基本
  • 菊の育て方地植えでの注意点
  • 適切な切り戻し時期とは?
  • 伸びすぎた菊の摘心方法
  • 株分けで菊を元気に若返らせる

菊の育て方初心者が知るべき基本

菊の栽培を始めるにあたり、初心者がまず押さえておくべきは、その基本的な性質です。菊は日当たりと風通しの良い場所を好む植物であり、この環境を整えることが美しい花を咲かせる第一歩となります。また、菊は「短日植物」に分類され、日照時間が短くなると花芽を形成する特性を持っています。このため、夜間に街灯や室内の照明が当たる場所では、開花時期がずれたり、花が咲かなくなったりすることがあるため注意が必要です。

用土に関しては、水はけと水もちのバランスが良い肥沃な土壌が理想です。鉢植えの場合は、市販されている草花用培養土や菊専用の土を使えば、手軽に適切な環境を用意できます。水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。特に春から秋の生育期は水切れに注意が必要ですが、常に土が湿っている状態は根腐れの原因になるため、水のやりすぎには気をつけましょう。

菊栽培の基本ポイント

  • 日当たりと風通しを確保する
  • 夜間に光が当たらない場所を選ぶ
  • 水はけの良い用土を使用する
  • 水やりは「乾いたら、たっぷりと」を徹底する

これらの基本を理解し実践するだけで、菊は元気に育ち、美しい花を咲かせる準備が整います。初めて菊を育てる方も、まずはこの4つのポイントを意識して栽培を始めてみてください。

菊の育て方地植えでの注意点

菊を地植えで育てる場合、鉢植えとは異なるいくつかの注意点があります。最も重要なことの一つが、「連作障害」を避けることです。菊は同じ場所に何年も植え続けると、土壌中の特定の養分が失われたり、病害虫が発生しやすくなったりして、生育が悪くなることがあります。そのため、前年にキク科の植物を植えていない場所を選ぶのが賢明です。

また、菊は過湿を嫌うため、水はけの良し悪しが成長を大きく左右します。もしお庭の土が粘土質で水はけが悪い場合は、土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで土壌改良を行うか、地面より一段高く土を盛った「畝(うね)」を作ってから植え付けると良いでしょう。これを「高植え」と呼び、根の周りに余分な水分が溜まるのを防ぎます。

植え付けの際の株間も大切なポイントです。株同士が密集しすぎると、風通しが悪くなり病気の原因となります。品種にもよりますが、一般的には20cmから30cmほどの間隔を空けて植え付けましょう。水やりに関しては、植え付け直後は根付かせるためにたっぷりと水を与えますが、一度根付いてしまえば、基本的に雨水だけで十分です。ただし、真夏に雨が降らない日が続いて土がカラカラに乾いている場合は、朝の涼しい時間帯に水やりをしてください。

地植えでのNG行動

  • 毎年同じ場所に植え付ける
  • 水はけの悪い場所にそのまま植える
  • 株間を詰めすぎて植える
  • 根付いた後も毎日水やりをする

適切な切り戻し時期とは?

菊を植えっぱなしにしていると、茎が伸びすぎて倒れてしまったり、花数が減ってしまったりします。これを防ぎ、こんもりとした美しい株姿でたくさんの花を咲かせるために不可欠な作業が「切り戻し」です。切り戻しには、主に2つの適切な時期があります。

一つ目は、5月末から6月初旬にかけて行う「皐月の切り戻し」です。春に伸びた新しい芽が30cmほどの高さになった頃がタイミングです。この時期に、株元から3~5cm、あるいは下の方の葉を3~4枚残してバッサリと切り戻します。こうすることで、切った部分から複数の新しい芽が伸び、枝数が増えて背丈の低い、がっしりとした株に育てることができます。

二つ目のタイミングとして、菊の専門家の中には「梅雨明けの切り戻し」を推奨する声もあります。これは、梅雨が明けた直後に、茎を2~3cmだけ残して短く切り戻す方法です。梅雨の間に伸びた茎を整理し、夏からの成長を促す目的があります。

EL
どちらの時期に行うにしても、切り戻しは菊の草姿を整え、花つきを良くするために非常に重要な作業です。思い切って切る勇気が、秋の美しい開花に繋がりますよ。
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切り戻しの名称 時期 方法 目的
皐月の切り戻し 5月末~6月初旬 株元から3~5cm、または葉を3~4枚残して切る 枝数を増やし、背丈を低く抑える
梅雨明けの切り戻し 梅雨明け直後 株元から2~3cmの短さに切る 梅雨の間の徒長をリセットし、秋の成長を促す

切り戻しを行うことで、栄養が効率よく新しい芽に行き渡り、風通しも改善されるため、病害虫の予防にも繋がります。植えっぱなしにせず、適切な時期に切り戻しを行いましょう。

伸びすぎた菊の摘心方法

「切り戻しのタイミングを逃してしまい、菊の茎がひょろひょろと伸びすぎてしまった…」そんな場合でも諦める必要はありません。「摘心(てきしん)」という手入れを行うことで、草丈を抑え、さらに花をたくさん咲かせることが可能です。摘心は「ピンチ」とも呼ばれ、文字通り枝の先端にある新芽(芯)を摘み取る作業を指します。

摘心を行うと、頂点への成長が一時的に止まり、その分のエネルギーが脇から出る新しい芽(脇芽)の成長に向けられます。その結果、枝数が増え、株全体がこんもりと茂り、最終的にはたくさんの花が咲くことになるのです。

摘心を行うのに最適な時期は、菊が開花する2ヶ月前くらいがベストとされています。具体的には、新しく伸びた枝に葉が5~6枚ついた頃が目安です。作業はとても簡単で、枝の先端にある柔らかい芽の部分を、指でつまんで摘み取るだけです。ハサミを使う必要もありません。

摘心の効果

  • 茎がそれ以上高く伸びるのを防ぐ
  • 脇芽の成長を促し、枝数を増やす
  • 枝数が増えることで、結果的に花の数も多くなる
  • 株全体の形が整い、ボリュームが出る

特に小菊などをこんもりとしたドーム状に仕立てたい場合は、この摘心を数回繰り返すことで、理想の形に近づけることができます。切り戻しと摘心を上手に使い分けることが、菊を美しく育てる鍵となります。

株分けで菊を元気に若返らせる

菊を何年も同じ場所で植えっぱなしにしていると、前述の通り「連作障害」によって株が弱り、花つきが悪くなってしまいます。そこで、数年に一度行いたいのが「株分け」です。株分けは、大きく育った株を文字通り分割して新しい株として植え直す作業で、株を若返らせ、再び元気に花を咲かせるための重要な手入れです。

株分けに最適な時期は、春先の3月から4月頃、新しい芽が動き出す前が理想的です。この時期に行うことで、分けた株がその後の生育期にしっかりと根を張り、成長することができます。

株分けの具体的な手順

  1. 掘り上げ: まず、株の周囲にスコップを入れ、根を傷つけないように注意しながら株全体をゆっくりと掘り上げます。
  2. 土を落とす: 掘り上げた株の根についている古い土を、手で優しく揉むようにして落とします。
  3. 分割: 株元をよく見ると、地下茎から新しい芽(冬至芽)がたくさん出ているのが分かります。この芽が2~3本つくように、手で引き裂くか、清潔なハサミやナイフで切り分けていきます。このとき、株の中心部分の古い茎は避け、外側にある元気で若い芽を選ぶのがポイントです。
  4. 植え付け: 分けた株を、新しい用土や、あらかじめ土壌改良しておいた別の場所に植え付けます。

挿し木よりも手軽に行えるため、初心者の方にもおすすめの増やし方です。2~3年に一度、この株分けを行うことで、お気に入りの菊を元気に保ちながら、少しずつ増やしていく楽しみも味わえます。

菊を植えっぱなしにしない年間のお手入れ

  • 花が終わったらするべき手入れ
  • 重要な冬の菊の剪定方法
  • 挿し木で菊を増やす方法
  • 菊は次の年も育てられますか?
  • まとめ:菊の植えっぱなしは避けよう

花が終わったらするべき手入れ

秋に美しい花を楽しませてくれた菊ですが、花が終わった後の手入れが、次の年も元気に花を咲かせるための重要な分かれ道となります。花が咲き終わったからといって、そのまま植えっぱなしにしてはいけません。適切な手入れを行うことで、株の体力を温存させ、来春の芽吹きに備えることができます。

まず行うべきは、花が咲き終わった茎の切り戻しです。花が枯れてきたら、株元から10cm~15cmほどの高さで茎を切り戻しましょう。こうすることで、枯れた部分に余計な養分が使われるのを防ぎ、株の消耗を抑えることができます。また、株元をよく見ると、地面から「冬至芽(とうじめ)」と呼ばれる新しい小さな芽が出始めていることがあります。この芽が来年の春に成長して新しい茎になるため、この芽を傷つけないように注意しながら作業を行ってください。

花後の手入れのポイント

  • 枯れた花がらはこまめに摘み取る
  • 全てのの花が終わったら、株元から10~15cmで切り戻す
  • 来年の芽である「冬至芽」を傷つけないように注意する
  • お礼肥として緩効性肥料を少量与える

切り戻しが終わったら、「お礼肥(おれいごえ)」として、緩効性の肥料を株元に少量施しておくと、株の回復を助けます。このひと手間が、菊の冬越しと翌年の成長に大きく影響します。

重要な冬の菊の剪定方法

花後の切り戻しを終え、菊が休眠期に入る冬の時期に行う剪定は、翌年の健全な成長と病害虫の予防のために非常に重要です。この作業は一般的に「冬剪定」と呼ばれ、本格的な寒さが到来する11月下旬から2月上旬までに行います。

冬剪定の主な目的は、枯れた地上部を整理し、病原菌や害虫の越冬場所をなくすことです。また、株のエネルギー消費を抑え、春からの力強い新芽の発生を促す効果もあります。

具体的な方法としては、花後の手入れで10~15cmほど残しておいた茎を、さらに短く切り詰めます。地面から5cm~10cmほどの高さを目安に、全ての茎を切り取りましょう。これにより、株元がすっきりとし、春に新しい芽(冬至芽)が伸びてくるスペースを確保できます。

冬の管理で注意すべきこと

  • 剪定で出た枯れ葉や茎は、病気の温床になる可能性があるため、庭に残さず処分する。
  • 寒さが厳しい地域では、剪定後に株元に腐葉土や敷きわらを厚めに敷く「マルチング」を施し、根を凍結から保護する。
  • 鉢植えの場合は、霜や寒風が直接当たらない軒下などに移動させる。
  • 冬場の水やりは控えめにし、土が完全に乾いたときに少量与える程度にする。
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地植えの菊は耐寒性が強い品種が多いですが、この冬剪定とマルチングを行っておくことで、より確実に冬越しさせることができます。春に元気な新芽と出会うためにも、冬の間の大切な作業です。

挿し木で菊を増やす方法

お気に入りの菊の株を増やしたいと考えたとき、株分けと並んで一般的な方法が「挿し木(さしき)」です。挿し木は、親株の茎の一部を切り取って土に挿し、新しい根を出させて独立した株を作る方法です。親株と全く同じ性質のクローンを作ることができるため、花色や形を確実に引き継ぎたい場合に最適な増やし方と言えます。

挿し木に適した時期は、新しい茎が元気に伸びてくる5月上旬から6月中旬頃です。この時期の茎は、発根する力が最も強い状態にあります。

挿し木の具体的な手順

  1. 挿し穂の準備: その年に新しく伸びた、元気で病気のない茎を選び、先端から7~10cmほどの長さで切り取ります。これを「挿し穂(さしほ)」と呼びます。
  2. 水揚げ: 切り取った挿し穂の下の方の葉を2~3枚取り除き、切り口をカッターなどで斜めに切り直します。その後、コップなどに入れた水に1~2時間ほど挿し、十分に水を吸わせます(水揚げ)。
  3. 土に挿す: 清潔な挿し木用の土(肥料分のない赤玉土や鹿沼土など)をポットやトレーに入れ、あらかじめ湿らせておきます。割り箸などで穴を開け、そこに挿し穂の茎の1/3ほどを挿し、周りの土を軽く押さえて固定します。
  4. 発根までの管理: 挿し木をした後は、直射日光が当たらない明るい日陰で、土が乾かないように管理します。霧吹きで葉に水をかける「葉水」も効果的です。

通常、2週間から1ヶ月ほどで新しい根が出てきます。ポットの底から根が見えたり、軽く引っ張ってみて抵抗を感じるようになったら発根したサインです。発根が確認できたら、一回り大きな鉢や花壇に植え替えましょう。この方法で、一つの親株からたくさんの苗を作ることが可能です。

菊は次の年も育てられますか?

結論から言うと、はい、菊は次の年も、さらにその次の年も育てて花を楽しむことができます。菊は、一度植えたらその年限りで枯れてしまう「一年草」ではなく、冬を越して何年にもわたって成長し花を咲かせる「多年草(宿根草)」だからです。

ただし、そのためには「植えっぱなし」にしないことが絶対条件となります。この記事で解説してきたように、適切な手入れを年間を通して行うことが不可欠です。

来年も菊を楽しむための年間お手入れサイクル

  1. 春(3月~5月): 株分けや植え替えで株をリフレッシュ。新しい苗の植え付け。
  2. 初夏(5月~6月): 伸びてきた茎の「切り戻し」や「挿し木」で株の形を整えたり、増やしたりする。
  3. 夏(7月~8月): 伸びすぎた場合は「摘心」を行う。病害虫の予防と管理。
  4. 秋(9月~11月): 開花を楽しむ。咲き終わった花(花がら)はこまめに摘む。
  5. 晩秋(11月): 花が終わったら株元から切り戻し、「お礼肥」を与える。
  6. 冬(12月~2月): さらに短く「冬剪定」を行い、マルチングをして冬越しに備える。

この一連のサイクルを繰り返すことで、菊は毎年元気に成長し、美しい花を咲かせてくれます。植えっぱなしでは株が老化し、病気にもかかりやすくなり、数年で花が咲かなくなってしまうことも少なくありません。少し手間をかけることで、菊は長くあなたの庭を彩ってくれる頼もしい存在になるのです。

まとめ:菊の植えっぱなしは避けよう

  • 菊は多年草であり、適切な手入れをすれば毎年花を咲かせる
  • 植えっぱなしにすると株が老化し、花つきが悪くなる
  • 連作障害を避けるため、数年に一度は株分けや植え替えが必要
  • 春には株分けや植え替えで株を若返らせる
  • 5月から6月にかけて行う「切り戻し」は、枝数を増やし草姿を整える重要な作業
  • 切り戻しを逃したら「摘心」で草丈をコントロールする
  • 日当たりと風通しの良い場所が栽培に適している
  • 菊は夜間の光に敏感な短日植物であるため、置き場所に注意する
  • 水はけの良い土壌を好み、水のやりすぎは根腐れの原因になる
  • 花が終わったら、株元から10~15cmで切り戻し体力を温存させる
  • 冬にはさらに短く剪定し、病害虫の越冬を防ぐ
  • 寒冷地ではマルチングで防寒対策を行う
  • お気に入りの株は「挿し木」で増やすことができる
  • 年間を通した手入れのサイクルを理解し実践することが大切
  • 少しの手間をかけることで、菊は長く庭を彩ってくれる
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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