「庭のグランドカバーにクリーピングタイムを植えたいけど、何かデメリットはあるのかな」そんな疑問をお持ちではありませんか?見た目のかわいらしさから人気のクリーピングタイムですが、安易な地植えは思わぬ後悔につながることも。この記事では、多くの方が気になるクリーピングタイムのデメリットについて、専門的な視点から徹底的に解説します。こぼれ種で増えすぎないか、気になる寿命はどのくらいか、また虫除けになりますか?といった疑問や、クリーピングタイムにナメクジが集まるという噂の真相にも迫ります。さらに、クリーピングタイムの苗はいつ頃から販売時期に入るのか、種まきから育てる場合の注意点、アレルギーなど危険ですか?といった安全性に関する問いにもお答えします。冬はどうなりますか?という越冬の心配や、枯れたらどうすればいいですか?という対処法、そしてそもそもどこに植えれば良いですか?という基本的な疑問まで、この記事一つで全て解決します。
この記事でわかること
- クリーピングタイムの具体的なデメリットと繁殖力
- 地植えや鉢植えでの正しい育て方と管理方法
- 病害虫の対策と安全に関する注意点
- 購入から植え付け、冬越しまでの年間を通した付き合い方
植える前に知るクリーピングタイムのデメリット
- 地植えで後悔?広がりすぎに注意
- こぼれ種で意図せず増える可能性
- 虫除けになりますか?実はナメクジが…
- アレルギーになってしまう?肌への影響
- 寿命は意外と短い?木質化の問題
地植えで後悔?広がりすぎに注意

クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムをグランドカバーとして地植えする際には、その驚異的な繁殖力を理解しておくことが非常に重要です。植え付け初期は可憐な姿を楽しめますが、あっという間に想定以上の範囲へ広がってしまうことが、後悔の最大の原因となり得ます。
なぜなら、クリーピングタイムは地面を這うように茎を伸ばし、節々から根を出して次々と新しい株を形成する性質を持っているからです。このため、レンガや砂利の隙間、他の植物の株元など、あらゆる場所へ侵食していきます。他の可憐な草花の生育スペースを奪い、庭全体のバランスを崩してしまうケースも少なくありません。

この問題を避けるためには、植え付け前の対策が不可欠です。
繁殖力をコントロールする対策
物理的な「根止め」を設置することが最も効果的です。植えたい範囲の周囲を、プラスチック製や金属製のガーデンエッジ(見切り材)や、レンガ、ブロックなどで深さ15cmほど埋めて囲いましょう。これにより、地下茎が外へ広がるのを防ぐことができます。
このように、ただ植えるだけでは管理が非常に難しくなるのがクリーピングタイムです。「手間いらず」というイメージだけで地植えを選択するのではなく、しっかりとした生育範囲の管理計画を立ててから実行することが、後悔しないための鍵となります。
こぼれ種で意図せず増える可能性


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムの繁殖力が強い理由は、地下茎で広がるだけではありません。もう一つの要因が「こぼれ種」による自然発芽です。花が咲き終わった後、花がらを放置しておくと、非常に細かい種が地面に落ち、意図しない場所から芽を出すことがあります。
このこぼれ種は、風や雨、人の靴底などに付着して広範囲に運ばれる可能性があります。例えば、花壇に植えたはずが、数メートル離れた砂利の駐車場やコンクリートの隙間から生えてきた、という事例も珍しくありません。一度広がり始めると、全ての芽を抜き取るのは非常に困難な作業となります。
これを防ぐための最も確実な方法は、花が咲き終わったら速やかに花がらを摘み取ることです。種が成熟して地面に落ちる前に剪定することで、予期せぬ繁殖を大幅に抑制できます。特に梅雨前に行う「切り戻し」と呼ばれる剪定作業は、風通しを良くして蒸れを防ぐ効果と、こぼれ種対策を兼ねることができるため、一石二鳥です。
こぼれ種対策のポイント
開花時期である5月~7月頃は、こまめに庭をチェックしましょう。花の色が褪せてきたり、茶色く枯れ始めたりしたら、それが剪定のサインです。株全体を3分の1から半分程度の高さまで刈り込むと、株のリフレッシュにもつながり、秋に再び花を咲かせることもあります。
前述の通り、繁殖力が強い植物なので、こうした定期的なメンテナンスを怠ると、美しい景観を維持するどころか、庭の厄介者になりかねません。こぼれ種の性質を理解し、計画的な管理を心がけることが大切です。
虫除けになりますか?実はナメクジが…
「タイムはハーブだから虫除けになる」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。しかし、クリーピングタイムに関して言えば、その虫除け効果は限定的と考えた方が良いでしょう。確かに、タイム特有の香り成分「チモール」や「カルバクロール」は、蚊などの一部の昆虫が嫌うとされていますが、あらゆる害虫を防げるわけではありません。
むしろ、デメリットとして知っておくべきなのは、ナメクジやダンゴムシの絶好の隠れ家になってしまう可能性があることです。クリーピングタイムは地面を密に覆うため、株元は日差しが当たらず、湿度が高い状態が保たれやすくなります。このジメジメした環境は、ナメクジなどの多湿を好む害虫にとって非常に居心地の良い住処なのです。
特に梅雨の時期には、夜間に活動するナメクジが葉や新芽を食害し、せっかくの緑のカーペットが穴だらけになってしまうことも。虫除けを期待して植えたのに、逆に不快な害虫を呼び寄せてしまう結果になりかねません。



害虫対策としては、株が密集しすぎないように定期的に剪定して風通しを良くすることが基本です。もしナメクジが発生してしまった場合は、市販の誘引殺虫剤を株元に撒いたり、夜間に見回って捕殺したりといった対策が必要になります。
アレルギーになってしまう?肌への影響


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムは危険ですか?という質問に対しては、「植物自体に毒性はないため、基本的には安全な植物」と答えることができます。ペットが誤って口にしてしまっても、通常は大きな問題になることはないとされています。
ただし、一点注意が必要なのが「アレルギー」の可能性です。これはシソ科の植物に共通して言えることですが、葉や茎に含まれる精油成分に触れることで、皮膚がかぶれたり、痒みが出たりする接触性皮膚炎を引き起こす人が稀にいます。
アレルギーに関する注意点
特に肌が敏感な方や、他の植物でアレルギー反応が出た経験がある方は注意が必要です。剪定作業など、長時間植物に触れる際には、念のため手袋を着用することをおすすめします。
前述の通り、香り成分であるチモールなどは殺菌作用があることでも知られていますが、一方で肌への刺激となる可能性もゼロではありません。もしクリーピングタイムに触れた後に肌に異常を感じた場合は、速やかに水で洗い流し、症状が続くようであれば皮膚科を受診してください。
YMYL領域の情報として、断定はできませんが、海外の文献では、シソ科ハーブのアレルギーに関する報告が散見されます。(参照:American Academy of Allergy, Asthma & Immunology)
もっとも、これは非常に稀なケースであり、ほとんどの人にとっては安全に楽しむことができるハーブです。過度に心配する必要はありませんが、このような可能性があることは知識として知っておくと良いでしょう。
寿命は意外と短い?木質化の問題


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムは多年草ですが、永遠に美しい状態を保てるわけではありません。実は、株の寿命は一般的に4年~5年ほどとされています。年数が経つにつれて、株の勢いは徐々に衰えていきます。
特に見た目に大きく影響するのが「木質化(もくしつか)」という現象です。これは、株の中心部や古い茎が、名前の通り茶色く硬い木のような質感に変化していくことです。木質化した部分からは新しい葉や花が出にくくなり、中心部がスカスカに禿げ上がったような見た目になってしまいます。
この状態を放置すると、見栄えが悪いだけでなく、株全体の生育も悪くなります。水分や養分の吸収効率が落ち、病気にもかかりやすくなってしまうのです。
美しい緑のカーペットを長く維持するためには、この木質化への対策が欠かせません。
木質化への対策「更新作業」
- 切り戻し:花が咲き終わった後や、梅雨前に、株全体を思い切って半分ほどの高さに刈り込みます。これにより、株元への風通しが良くなり、新しい芽の発生を促します。
- 株分け:3~4年に一度、株を掘り上げ、元気な外側の部分を切り分けて新しい場所に植え直します。木質化してしまった中心部分は処分しましょう。
- 挿し芽:元気な若い茎を10cmほど切り取り、土に挿しておくと簡単に根付きます。こうして新しい株を常に育てておくことで、古い株が衰えてもすぐに植え替えができます。
このように、クリーピングタイムの寿命は有限であり、美しい状態を維持するには定期的な「更新作業」という手間が必要です。植えっぱなしで大丈夫、というわけではない点を理解しておくことが重要になります。
よくある質問とクリーピングタイムのデメリット
- クリーピングタイム苗の販売時期と種まき
- どこに植えれば良いですか?植え場所のコツ
- 冬はどうなりますか?冬越しの方法
- 枯れたらどうすればいいですか?復活は可能?
- クリーピングタイムのデメリットを知り賢く育てよう
クリーピングタイム苗の販売時期と種まき


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムを育て始めるには、主に「苗」から育てる方法と、「種まき」から育てる方法の2つがあります。
クリーピングタイム苗の販売時期
クリーピングタイムの苗が園芸店やホームセンターの店頭に最も多く並ぶ販売時期は、春の3月~5月頃です。この時期は植え付けの適期でもあるため、様々な品種の元気な苗を手に入れやすいでしょう。秋の9月~10月頃にも苗が出回ることがありますが、春に比べると流通量は少なくなる傾向があります。
苗から育てるメリットは、何と言っても手軽で失敗が少ないことです。ある程度育った状態からスタートできるため、初心者の方でも安心してグランドカバー作りを始められます。
クリーピングタイムの種まき
一方、クリーピングタイムの種まきは、より広範囲に、そして安価に育てたい場合におすすめの方法です。種まきの適期は、春まき(3月~5月)と秋まき(9月~10月)です。発芽適温が15℃~20℃なので、気候が穏やかな時期が適しています。
種まきのコツ
クリーピングタイムの種は非常に小さく、光を好む「好光性種子」です。そのため、種をまいた後は土を厚く被せず、ごく薄く土をかけるか、土の表面を軽く押さえる程度にします。水やりは霧吹きなどで行い、種が流れないように注意しましょう。発芽するまでは土の表面が乾かないように管理するのがポイントです。
種から育てる場合は、苗に比べて育つまでに時間がかかりますが、一面の緑のカーペットが自分の手で育っていく過程を楽しむことができます。予算や育てたい広さに合わせて、苗と種まきを使い分けると良いでしょう。
どこに植えれば良いですか?植え場所のコツ


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムが元気に育つかどうかは、植え場所の環境が大きく影響します。どこに植えれば良いですか?という質問に対しては、「日当たりと風通しが良く、水はけの良い場所」というのが答えになります。これはクリーピングタイムの最大の弱点である「蒸れ」を防ぐために最も重要な条件です。
具体的には、以下のような場所が適しています。
クリーピングタイムの栽培に適した場所
- 南向きの斜面や花壇:日照時間が長く、水はけも良いため理想的です。
- ロックガーデン:石の間は水はけが良く、乾燥しやすい環境を好むクリーピングタイムにぴったりです。
- レンガや石畳の隙間:過湿になりにくく、隙間を埋めるように広がる姿が美しい景観を作ります。
逆に、以下のような場所は避けるべきです。
栽培に不向きな場所
- 一日中日陰になる場所:日照不足でひょろひょろと徒長し、花付きも悪くなります。
- 水はけの悪い粘土質の土壌:根腐れの原因になります。植える前に腐葉土やパーライトを混ぜて土壌改良が必須です。
- 壁際など風通しの悪い場所:空気がよどみ、蒸れやすくなります。



前述の通り、繁殖力が非常に強いため、他の植物との距離も考慮する必要があります。最低でも20~30cmは間隔を空けて植え付け、生育スペースが競合しないように配慮しましょう。
冬はどうなりますか?冬越しの方法


クリーピングタイム・イメージ
冬はどうなりますか?という疑問についてですが、クリーピングタイムは耐寒性が非常に高いハーブで、品種にもよりますが-10℃~-20℃程度まで耐えることができます。そのため、関東以西の平地であれば、特別な防寒対策をしなくても屋外で元気に冬を越すことが可能です。
冬の間、地上部は多少葉の色がくすんだり、赤紫色に変色したりすることがありますが、枯れてしまったわけではありません。寒さに耐えるための自然な変化です。根はしっかりと生きており、春になれば再び新しい緑の葉を展開し始めます。
ただし、寒さが厳しい地域や、寒風に直接さらされる場所では、地上部が枯れてしまうことがあります。その場合でも、根まで凍結しなければ春に復活する可能性は高いです。
寒冷地での冬越しのポイント
もし株の傷みが心配な場合は、以下のような対策が有効です。
- マルチング:株元に腐葉土やバークチップを厚めに敷き、地面の凍結を防ぎます。霜よけにもなります。
- 軒下への移動:鉢植えの場合は、霜や寒風が直接当たらない軒下などに移動させると、より安全に冬越しできます。
冬の間の水やりについては、地植えの場合は基本的に不要です。鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いてから数日後に、暖かい日の午前中に少量与える程度にします。冬は生育が緩やかになるため、水のやりすぎは根腐れの原因になるので注意してください。
枯れたらどうすればいいですか?復活は可能?


クリーピングタイム・イメージ
クリーピングタイムが枯れたらどうすればいいですか?と心配になることがあるかと思います。枯れてしまう原因として最も多いのは、夏の「蒸れ」によるものです。株の一部が茶色く変色し、カリカリになってしまった場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。
部分的に枯れた場合の対処法
まず、枯れてしまった部分をハサミで丁寧に取り除きましょう。茶色くなった部分をそのままにしておくと、風通しが悪化し、健康な部分まで被害が広がる可能性があります。枯れた部分を切り取った後、株元が見えるようにして風が通るようにしてあげることが重要です。
多くの場合、株全体が枯死していなければ、涼しくなる秋頃に、残った元気な部分から再び新しい芽が出てきて復活します。このとき、水のやりすぎにはくれぐれも注意してください。土が乾いているのを確認してから与えるようにします。
全体が枯れてしまった場合
残念ながら株全体が枯れてしまったように見える場合でも、根が生きている可能性があります。前述の通り、寿命による木質化が進んだ株は中心部から枯れ込むことがあります。その場合は、まだ緑色が残っている株の外周部分をいくつか切り取り、新しい土に「挿し芽」をしてみましょう。クリーピングタイムは非常に生命力が強く、元気な茎が少しでもあれば簡単に発根し、株を更新することができます。



復活させるためにも、日頃から日当たりや風通し、水はけの良い環境を整えておくことが、何よりの予防策となります。
クリーピングタイムのデメリットを知り賢く育てよう
この記事では、クリーピングタイムを育てる上での様々なデメリットや注意点について解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
- クリーピングタイムは地植えにすると驚異的な繁殖力で広がりすぎる
- 管理には根止めや定期的な剪定が不可欠
- こぼれ種でも意図しない場所に増えるため花後の手入れが重要
- 虫除け効果は限定的でむしろナメクジの隠れ家になることがある
- ミツバチが多く集まるためハチが苦手な人は注意が必要
- 植物自体に毒性はないが稀にアレルギー反応を起こす可能性がある
- 肌が弱い人は剪定時に手袋を着用すると安心
- 株の寿命は4年から5年で徐々に衰える
- 年数が経つと中心部が木質化して見栄えが悪くなる
- 美しい状態を保つには株分けや挿し芽での更新作業が必要
- 苗の販売時期は春が中心で初心者におすすめ
- 種まきは秋が適期で広範囲を安価に育てたい方向け
- 栽培場所は日当たり・風通し・水はけの良い場所が絶対条件
- 多湿に非常に弱く日本の梅雨は最大の敵
- 耐寒性は高く特別な防寒対策なしで冬越しできることが多い
- 部分的に枯れても剪定すれば秋に復活する可能性がある
これらのデメリットを理解し、適切に管理することで、クリーピングタイムはあなたの庭を彩る素晴らしいパートナーになります。ぜひ、計画的なガーデニングを楽しんでください。