レッドロビンの下がスカスカ!原因と正しい直し方を徹底解説

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大切な生垣のレッドロビン、気がつけば下のほうがスカスカで目隠しにならない…とお困りではありませんか?その原因は、単なる枝枯れではありません。「ごま色斑点病」という病気、日照不足、そして土壌の悪化が複雑に絡み合っています。この記事では、レッドロビンの下がスカスカになる本当の原因を専門家が解明し、正しい剪定方法、薬剤散布、土壌改良まで、復活させるための「直し方」の全手順を徹底解説します。

  • スカスカの主な原因は「ごま色斑点病」
  • 病気の背景に土壌悪化と風通しの問題
  • 直し方は「剪定」「薬剤」「土壌改良」の三点セット
  • 復活には「切り戻し剪定」と「寒肥」が鍵
目次

レッドロビンの下がスカスカになる3大原因

  • 原因①:葉が落ちる「ごま色斑点病」
  • 原因②:頂芽優勢と風通しの悪化
  • 原因③:土壌の悪化と樹勢の低下

原因①:葉が落ちる「ごま色斑点病」

レッドロビンの下がスカスカになる原因の多くは「ごま色斑点病」という病気です(ただ頂芽優勢による下部の枝葉の衰弱や日照不足、土壌環境による樹勢低下など、複数の要因が絡むことも少なくありません)。これはカビ(糸状菌)の一種が引き起こす病気で、特にレッドロビン(ベニカナメモチ)やその仲間がかかりやすい代表的な病害です。

症状は、4月下旬ごろから葉の表面に淡褐色〜灰褐色の小さな斑点が現れ、しばしば赤紫色の縁取りを伴う円形または不定形の病斑に発展します。これが「ごま色」と呼ばれるゆえんです。この病気が進行すると、葉が黄化や紅変、褐変し、多くの場合パラパラと大量に落葉します。特に下枝や古い葉で症状が見られることが多く、生垣下部がスカスカになる要因の一つとされています。被害が激しいと樹勢が衰え、枯死に至ることもあります。

さらに厄介なのは、その感染サイクルです。病原菌は、病気にかかったまま落ちた葉(被害落葉)の中で越冬します。そして、翌春に雨が降ると、地面に落ちた葉から胞子が雨水とともにはね上がり、新しく展開した下の葉に再び感染するのです。このため、一度発生すると非常にしつこく、毎年繰り返すことになります。

感染源は地面にあり

ごま色斑点病の病原菌は、枝に残った病葉だけでなく、地面に落ちた「被害落葉」で越冬し、翌年の主要な伝染源となります。これを放置することが、下枝から病気が再発しスカスカになる最大の原因です。対策には、薬剤散布だけでなく、この落ち葉の徹底的な清掃(衛生管理)が不可欠です。

原因②:頂芽優勢と風通しの悪化

病気が発生しやすい「環境」を作っているのが、レッドロビンの持つ性質と、剪定(せんてい)の問題です。

レッドロビンは非常に生育旺盛な木で、「頂芽優勢」という性質を強く持っています。これは、植物の先端にある芽(頂芽)が側芽よりも優先して成長するという仕組みです。放置すると先端が強く伸び、上部に葉が集中することで下部の枝葉が光不足となり、衰弱して生理落葉しやすくなります。その結果、日当たりが悪くなる下部の枝葉は、植物自身によって「不要」と判断されがちになり、弱って葉を落としやすくなります。

この性質を知らずに、生垣の高さを抑えるため上部だけを刈り込んでいると、どうなるでしょうか。上部の枝葉ばかりが密になり、生垣の内部や下部には光が届かなくなります。さらに、密集した枝葉は風通し(かぜとおし)を著しく悪化させます。光が当たらず、風も通らないジメジメした環境は、まさに「ごま色斑点病」の病原菌であるカビにとって、このうえない好適な住処となってしまうのです。

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生垣をきれいに保つための「刈り込み」が、かえって病気を呼び寄せる環境を作っていたかもしれないんですね。

原因③:土壌の悪化と樹勢の低下

そして、これら二つの原因の「土台」となっているのが、土壌の問題です。ごま色斑点病は、健全で勢いのある木よりも、弱った木において発生しやすくなります。

専門家の間でも、肥料分のない「痩せ地」や、水はけの悪い「排水不良」のジメジメした土地で、ごま色斑点病の発生が顕著になることが指摘されています。レッドロビンは本来、比較的肥沃な土壌を好む植物です。植え付けたときの土壌が良くなかったり、長年肥料を与えずに土の栄養分が枯渇してしまったりすると、木の勢い、すなわち「樹勢(じゅせい)」が低下します。

樹勢が低下したレッドロビンは、人間でいうところの「免疫力が下がった」状態です。病気に対する抵抗力が弱まるため、ごま色斑点病の菌が付着した際に、容易に感染が成立してしまいます。

つまり、レッドロビンの下がスカスカになる背景には、「土壌の悪化による樹勢の低下」という根本的な問題があり、「頂芽優勢と剪定不足による風通しの悪化」が病気の温床を作り、「ごま色斑点病の発生」がとどめを刺して葉を落とす、という三重苦の構造があるのです。

レッドロビンのスカスカを直すための全手順

  • 手順①:樹勢回復の「土壌改良」と「施肥」
  • 手順②:スカスカを治す「切り戻し剪定」
  • 手順③:病気を防ぐ「薬剤散布」と「衛生管理」
  • 手順④:予防策:年間管理カレンダー

手順①:樹勢回復の「土壌改良」と「施肥」

スカスカになったレッドロビンを復活させるため、剪定バサミを手に取る前に、まずやるべき最も重要な作業があります。それが「土壌改良」と「施肥(せひ)」です。

なぜなら、スカスカになった木はすでに病気や環境ストレスで弱っている状態だからです。この状態でいきなり強い剪定(手術)を行うと、木が耐えきれずに枯れてしまうリスクがあります。まずは、木に「体力」をつけさせることが先決です。

具体的な作業は、2月~3月に行う「寒肥(かんごえ)」です。寒肥は、木の根が本格的に活動を始める春に先駆けて、栄養分を補給する非常に重要な作業です。株元(幹の周囲)の土に、堆肥や腐葉土といった土壌改良剤をすき込み、土をふかふかにして排水性と保水性を改善します。その上で、有機質肥料や緩効性化成肥料を施します。これにより、春からの新芽の成長が促され、病気への抵抗力も高まります。

復活の鍵を握る「寒肥」

レッドロビンへの寒肥(2月〜3月)は、春の新芽成長期に向けた養分補給の基本的な作業であり、結果として剪定後の新梢発生を促す効果も期待できます。スカスカの木を復活させるには、この「施肥→剪定」の順番が非常に重要です。また、夏の終わりに体力が落ちる9月ごろに「お礼肥(おれいごえ)」として緩効性肥料を追肥するのも効果的です。

手順②:スカスカを治す「切り戻し剪定」

寒肥を施して1ヶ月ほど経ち、木がエネルギーを蓄えた3月~4月。いよいよスカスカを治すための「剪定」を行います。これが復活のための「手術」にあたります。

レッドロビンの剪定は、目的に応じて主に3種類あります。

  1. 刈り込み:生垣の形を整える、表面を刈る作業です。
  2. 透かし剪定:内部の混み合った枝を抜き、風通しを良くする作業です。
  3. 切り戻し剪定:長く伸びすぎた枝や、葉のない枝を短く切り詰める作業です。

このうち、スカスカを治すために行うのが「切り戻し剪定」です。上に伸びるばかりで葉のなくなった太い枝や長い枝を、思い切って切り戻す(短くする)ことで、残った幹や枝の低い位置から新しい芽(新梢)を出させることを狙います。これが成功すれば、低い位置に葉が茂り、スカスカが解消されます。

コツは、枝の途中で切るのではなく、より幹に近い位置にある「小枝との分かれ目」までさかのぼって切ることです。あるいは、枝をよく見るとある「新芽のすぐ上(少し膨らんだ部分)」で切ります。こうすることで、残した小枝や新芽が勢いよく伸び始めます。

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ただし、注意点があります。レッドロビンは強い剪定に耐えますが、太い枝をあまりに短く切りすぎると、そこから芽吹かずに枝ごと枯れてしまう危険性があります。一度にすべての太枝を短くせず、2~3年かけて段階的に行うのが安全です。

また、太い枝を切った場合は、切り口から病原菌が入らないよう、必ず「癒合剤(ゆごうざい)」を塗布してください。

手順③:病気を防ぐ「薬剤散布」と「衛生管理」

剪定と並行して、病気の原因である「ごま色斑点病」の菌を徹底的に叩く必要があります。これは「消毒」と「清掃」にあたります。

まず、薬剤散布よりも重要なのが「衛生管理(サンテーション)」です。前述の通り、この病気の最大の感染源は「地面に落ちた病葉」です。秋から冬にかけて、株元に落ちた葉を徹底的にかき集め、ビニール袋に入れて処分してください。これをやるかどうかで、翌年の発生率が劇的に変わります。

その上で、「薬剤散布」を行います。散布のタイミングは、病原菌が活発になる「梅雨(5月~6月)」と「秋雨(9月~10月)」の時期が中心です。特に、剪定後に新しく柔らかい新芽が展開し始める時期は狙い目です。

使用する薬剤は、「ベニカナメモチ」または「かなめもち」の「ごま色斑点病」に登録があるものを選びます。「STダコニール1000」や「GFベンレート水和剤」などが代表的です。散布は、各薬剤の使用説明書に従い、葉の裏表にまんべんなく散布してください。同じ薬剤を連続して使用せず、作用性の異なる複数の薬剤をローテーション利用するのが理想的です。また、水和剤(粉末を水に溶かすタイプ)は葉に付着しにくいことがあるため、「展着剤」を規定量加えると効果が高まります。

「三位一体」の対策が不可欠

レッドロビンのスカスカを本気で治すには、「①土壌改良(体力づくり)」「②剪定(手術)」「③薬剤・衛生管理(消毒)」のどれか一つでも欠けてはなりません。これら3つを同時に行う「三位一体」の対策こそが、復活への唯一の道です。

手順④:予防策:年間管理カレンダー

一度スカスカが治っても、管理を怠ればすぐに再発してしまいます。美しい生垣を維持するためには、年間を通した予防管理が欠かせません。以下に、レッドロビンの年間管理カレンダーをまとめますので、ぜひ参考にしてください。

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時期 作業内容 目的とポイント
11月~2月 衛生管理(落ち葉拾い) 【最重要】病原菌の越冬場所をなくすため、落ち葉を徹底的に清掃・処分する。
2月~3月 土壌改良・寒肥 樹勢回復のため、堆肥や腐葉土、有機質肥料を株元にすき込む。春の剪定に備える。
3月~4月 切り戻し剪定(強剪定) スカスカを治すための本格的な剪定。太い枝や長い枝を切り戻し、新芽の発生を促す。
5月~6月 薬剤散布(1回目) 梅雨の時期。新芽を守るため、殺菌剤を2~3回散布する。
6月~7月 刈り込み・透かし剪定 春に伸びた新芽を刈り込み、形を整える。内部の風通しを良くする。
9月 追肥(お礼肥) 夏の疲れを回復させ、秋の成長を促すため、緩効性肥料を施す。
9月~10月 刈り込み・薬剤散布(2回目) 伸びすぎた枝を軽く整える。秋雨の時期に合わせて殺菌剤を散布し、病気の再発を防ぐ。

総括:レッドロビンの下がスカスカになる悩みは、総合力で必ず直る

この記事のまとめです。

  • スカスカの直接原因は「ごま色斑点病」による落葉である
  • 病気の背景には土壌の悪化と樹勢の低下がある
  • 剪定不足による風通しの悪化が病気を助長する
  • 対策は「土壌改良」「剪定」「薬剤」の三本柱が必須である
  • 直し方の第一歩は2月〜3月の「寒肥」である
  • 施肥で樹勢を回復させてから剪定するのが鉄則だ
  • スカスカを治す剪定は「切り戻し」と呼ぶ
  • 本格的な剪定は新芽が動く前の3月〜4月が適期だ
  • 太い枝の切りすぎは枯れるリスクがあり注意が必要だ
  • 切った太い枝の切り口には癒合剤を塗布する
  • 病気の感染源は地面の「落ち葉」である
  • 落ち葉は徹底的に清掃し、処分する必要がある
  • 薬剤散布は梅雨と秋雨の時期が中心である
  • 薬剤は「ダコニール1000」や「ベンレート水和剤」が登録されている
  • 同じ薬剤を連続使用せず、ローテーション散布を行う
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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