シャコバサボテンの美しい花が終わってしまった後、そのままほったらかしにしておくとどうなるのか心配になりますよね。来年もたくさんの花を咲かせるためには、実は花が終わった後の手入れがとても重要になります。具体的に、花が終わったらどこに置くのが良いのか、水やりはどう調整すればいいのか、そして肥料は必要なのか、悩むポイントは多いでしょう。また、元気な株を維持するための花がら摘みや、適切な切り戻し時期、初心者でもできる簡単なシャコバサボテンの剪定方法についても気になるところです。この記事では、シャコバサボテンの花が終わったらやるべき一連の手入れを網羅的に解説し、来年も美しい花をたくさん咲かせるための秘訣を詳しくご紹介します。
- シャコバサボテンの花が終わった後の基本的な手入れ方法
- 来年の開花に向けた剪定や植え替えの適切なタイミング
- 剪定した枝を使った簡単な挿し木での増やし方
- シャコバサボテンの花をたくさん咲かせるための年間管理のコツ
シャコバサボテン花が終わったらやるべき基本の手入れ
- シャコバサボテンをほったらかしにするとどうなる?
- 花が終わったらすぐにやるべき花がら摘み
- 花が終わったら水やりは控え気味に
- 花が終わったらどこに置くのが正解?
- シャコバサボテン花が終わったら肥料は与える?
シャコバサボテンをほったらかしにするとどうなる?
結論から言うと、花が終わったシャコバサボテンをほったらかしにすると、翌年以降の花付きが悪くなるだけでなく、株全体の見た目も悪くなってしまいます。
これは、適切な手入れを怠ることで、株が不要なエネルギーを消耗し続けたり、鉢の中で根が詰まってしまったり、茎が間延びしてしまうためです。
例えば、咲き終わった花がらをそのままにしておくと、株は種子を作ろうとして養分を大量に消費してしまいます。これでは、来年の花を咲かせるためのエネルギーが不足してしまいます。また、剪定をしないと茎節(けいせつ)と呼ばれる葉のような部分がひょろひょろと長く伸びて垂れ下がり、株の中心部がスカスカで寂しい印象になってしまうでしょう。
さらに、何年も植え替えをせずにいると、鉢の中が根でいっぱいになる「根詰まり」という状態になります。こうなると、水や養分をうまく吸収できなくなり、葉の色が悪くなったり、最悪の場合は枯れてしまう原因にもなりかねません。
ほったらかしのリスク
- 来年の花付きが悪くなる、または咲かなくなる
- 茎節が間延びして株の形が乱れる
- 根詰まりを起こして生育不良になる
- 病害虫の被害にあいやすくなる
このように、毎年美しい花を元気に咲かせてもらうためには、
花が終わったらすぐにやるべき花がら摘み
シャコバサボテンの花がしおれてきたら、できるだけ早く「花がら摘み」を行いましょう。これは、来年もたくさんの花を咲かせるための最も基本的で重要な作業の一つです。
なぜなら、前述の通り、花がらを残しておくと植物は種子を作ろうとして、そこに多くの養分を使ってしまうからです。花がらを摘み取ることで、その分のエネルギーを株本体の成長や、来シーズンの花芽形成のために蓄えることができます。
また、しおれた花びらを放置すると、そこからカビが発生し、病気の原因になることもあります。株を清潔に保つという意味でも、花がら摘みは欠かせません。
花がら摘みの方法
方法はとても簡単です。しおれた花の付け根の部分を指で軽くつまみ、くるっとひねるように回すと、ぽろっと簡単に取ることができます。ハサミを使う必要もありませんが、もし固い場合は清潔なハサミで切り取っても問題ありません。このとき、まだ咲いている花や蕾を傷つけないように注意してください。
次々と花が咲く時期は、こまめにチェックして、咲き終わったものから順次摘み取っていくのが理想です。すべての花が終わるのを待つ必要はありません。
花が終わったら水やりは控え気味に
シャコバサボテンは、花が終わると短い休眠期に入ります。この時期は、成長期ほど水を必要としないため、水やりの頻度を減らして乾燥気味に管理するのがポイントです。
花の咲いている時期と同じ感覚で水を与え続けると、根が常に湿った状態になり、「根腐れ」を起こす原因になります。根腐れはシャコバサボテンが枯れる大きな原因の一つなので、特に注意が必要です。
水やりの目安としては、土の表面が完全に乾いてから、さらに2〜3日待ってから与えるくらいで十分です。水を与える際は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与え、受け皿に溜まった水は必ず捨てるようにしてください。受け皿の水をそのままにしておくのも、根腐れの原因になります。
季節ごとの水やり目安
シャコバサボテンの水やりは、季節によってメリハリをつけることが元気に育てるコツです。
時期 | 水やりの目安 | ポイント |
---|---|---|
春(4月~6月) | 土の表面が乾いたらたっぷり | 成長期なので水を欲しがります。 |
夏(7月~8月) | 控えめに。霧吹きでの葉水が効果的 | 高温多湿が苦手。土が乾いて数日経ってから与えます。 |
秋(9月~11月) | 土の表面が乾いたらたっぷり | 花芽が作られる重要な時期。水切れに注意。 |
冬(12月~3月) | 控えめに。乾燥気味に管理 | 花が終わった後は特に乾かし気味にします。 |
このように、花が終わった後の冬の時期は、水やりを控えることを徹底しましょう。ただし、暖房の効いた乾燥した室内に置いている場合は、時々葉に霧吹きで水をかけてあげると(葉水)、株の乾燥やハダニの発生を防ぐのに効果的です。
花が終わったらどこに置くのが正解?
花が終わった後の置き場所も、シャコバサボテンの健康を左右する重要な要素です。基本的には、春になるまでは、引き続き室内の明るい場所で管理します。
シャコバサボテンは寒さに弱いため、冬の間は屋外に出すのは避けましょう。レースのカーテン越しに柔らかな日差しが当たるような窓辺が理想的です。ただし、夜間の窓際は外の冷気で急激に温度が下がることがあります。そのため、夜は窓から少し離れた場所に移動させると、株への負担を減らすことができます。
また、暖房の風が直接当たる場所は、極端に乾燥してしまうため避けてください。葉が傷んだり、蕾が落ちる原因になります。
季節ごとの最適な置き場所
- 花後〜春先(12月〜3月): 室内の明るい窓辺。夜は冷え込むので窓から離す。
- 春(4月〜5月): 戸外の日当たりの良い場所。
- 梅雨〜夏(6月〜9月上旬): 雨の当たらない、風通しの良い明るい日陰や木陰。夏の直射日光は葉焼けの原因になるので絶対に避ける。
- 秋(9月下旬〜11月): 再び戸外の日当たりの良い場所へ。夜間は暗くなる場所に置くことが花芽形成のポイント。寒くなってきたら室内に取り込む。

このように、季節に合わせて置き場所を適切に変えてあげることで、シャコバサボテンは元気に育ち、来年もきれいな花を咲かせてくれます。
シャコバサボテン花が終わったら肥料は与える?
花が咲いている間や、花が終わった直後の休眠期には、基本的に肥料を与える必要はありません。この時期に肥料を与えると、かえって根を傷めてしまう「肥料焼け」を起こす可能性があります。
肥料を与えるのは、株が再び成長を始める春以降です。具体的には、4月〜5月頃に剪定や植え替えを行った後、新しい芽が動き出す5月頃から7月頃までが肥料を与えるのに最適な期間です。
この時期に肥料を適切に与えることで、株が充実し、夏を乗り切る体力をつけ、秋からの花芽形成へと繋がっていきます。
おすすめの肥料と与え方
肥料には、ゆっくり長く効く「固形肥料(置き肥)」と、即効性のある「液体肥料」の2種類があります。この2つを併用すると、より効果的です。
- 固形肥料: 5月〜7月の間、月に1回程度、鉢の縁に規定量を置きます。製品のパッケージに記載されている使用量を守りましょう。
- 液体肥料: 5月〜7月の間、2週間に1回程度、水やりの代わりに与えます。こちらも規定の倍率に薄めて使用してください。
肥料を与える際の注意点
7月以降は肥料を与えないようにしましょう。特に窒素成分の多い肥料を夏以降も与え続けると、花芽ではなく葉芽ばかりが成長してしまい、秋になっても花が咲かなくなる原因になります。9月頃には肥料の効果が切れている状態が理想です。
つまり、花が終わったら肥料のことは一旦忘れ、春になってから新しい成長をサポートするために与え始める、と覚えておくと良いでしょう。
シャコバサボテン花が終わったら来年の準備を始めよう
- 来年に向けた切り戻し時期は4〜5月
- 初心者でも簡単なシャコバサボテンの剪定方法は?
- 剪定した枝で挿し木に挑戦
- 2年に1度の植え替えで元気に育つ
- シャコバサボテンの花をたくさん咲かせるには
- シャコバサボテン花が終わったら正しい手入れをしよう
来年に向けた切り戻し時期は4〜5月
来年も美しい花をたくさん咲かせるために欠かせない作業が「剪定(切り戻し)」です。この作業に最適な時期は、暖かくなり始める4月から5月上旬、ゴールデンウィーク頃です。
この時期はシャコバサボテンの成長期にあたるため、剪定で受けたダメージからの回復が早く、切り口から新しい芽が元気に伸びてきやすいのです。逆に、花後すぐの冬場や、暑さが厳しい夏場に剪定を行うと、株が弱ってしまう原因になるため避けましょう。
剪定を行う目的は、主に以下の3つです。
剪定の3つの目的
- 株の形を整える: 間延びしたり、バランスが悪くなったりした茎節を切り戻し、コンパクトで見栄えの良い株姿に仕立て直します。
- 分枝を促し、花数を増やす: 茎節を摘み取ると、その付け根から新しい芽が2本ほど出てくることがあります。枝数が増えることで、結果的に花数も増えます。
- 株の若返りを図る: 古い茎節を整理し、新しい元気な茎節の成長を促すことで、株全体をリフレッシュさせます。
花が終わってから春までの間は、株をゆっくり休ませてあげて、本格的な成長が始まる4月〜5月に来シーズンに向けた準備として剪定を行う、というスケジュールを覚えておきましょう。
初心者でも簡単なシャコバサボテンの剪定方法は?
シャコバサボテンの剪定は、特別な道具も技術も必要なく、初心者の方でもとても簡単にできます。
基本的な方法は、各茎節の先端から2〜3節を手でひねり取ることです。このとき、株全体のバランスを見ながら、高さを揃えるように摘み取っていくのがポイントです。株元には、最低でも3〜4節の元気な葉を残すようにしましょう。



剪定の手順
- 全体のバランスを見る: まず、どのくらいの高さに揃えるか、株全体の仕上がりをイメージします。
- 茎節をひねり取る: 各枝の先端から2〜3節の部分を指で持ち、軽くひねって摘み取ります。
- 高さを揃える: 全ての枝を同じくらいの長さになるように調整していきます。
- 株元の節を残す: 株元から数えて3〜4節は必ず残します。茶色く木質化している古い部分は節の数に含めず、緑色の若い葉の部分で数えましょう。
剪定をすることで、株が蒸れて病気になるのを防ぐ効果もあります。怖がらずに、思い切ってチャレンジしてみてください。摘み取った茎節は、次のステップで紹介する「挿し木」に使えるので、捨てずに取っておきましょう。
剪定した枝で挿し木に挑戦
4月〜5月に剪定して出た茎節は、「挿し木(挿し芽)」で新しい株を増やすのに利用できます。シャコバサボテンは非常に簡単に増やすことができるので、ぜひ挑戦してみてください。
挿し木に使うのは、剪定で摘み取った、2〜3節の長さがある元気な茎節です。木のように茶色く硬くなった「木質化」していない、緑色の部分を選びましょう。
挿し木の手順
- 挿し穂を準備する: 剪定で出た2〜3節の茎節を用意します。切り口を1〜2日ほど日陰で乾燥させると、腐りにくくなります。
- 土を用意する: 小さな鉢に、新しい清潔な土(挿し木用の土や、シャコバサボテン用の土がおすすめ)を入れ、あらかじめ霧吹きなどで湿らせておきます。
- 挿し穂を挿す: 茎節の下の節が半分ほど土に埋まるように挿します。1つの鉢に複数本を円を描くように挿すと、こんもりとした見栄えの良い株に育ちます。
- 水やりと管理: 挿してから3〜4日は水を与えず、その後、土が乾いたら水やりを再開します。新しい芽が出てくるまでは、直射日光の当たらない明るい日陰で管理しましょう。
うまくいけば、1ヶ月ほどで根が出てきて、秋には新しい芽が伸びてきます。その年の冬には花が咲くこともあるので、育てる楽しみがさらに広がりますよ。
2年に1度の植え替えで元気に育つ
シャコバサボテンを同じ鉢で何年も育てていると、根詰まりを起こして生育が悪くなります。そのため、2年に1回を目安に、一回り大きな鉢に植え替える作業が必要です。植え替えの適期も、剪定と同じく4月〜5月です。
以下のようなサインが見られたら、植え替えのタイミングです。
- 鉢の底穴から根がはみ出している
- 土の表面が固くなり、水をやっても染み込みにくくなった
- 葉の色が薄くなったり、黄色っぽくなったりしてきた
- 購入してから2年以上植え替えていない
植え替えの手順
- 鉢と土を用意する: 今使っている鉢より一回り大きな鉢と、新しい土(市販のシャコバサボテン用の土が手軽でおすすめ)を用意します。
- 株を鉢から抜く: 鉢の側面を軽く叩きながら、株を慎重に引き抜きます。
- 根をほぐす: 根鉢(根と土が固まったもの)の周りの古い土を、3分の1ほど優しく手でほぐし落とします。このとき、黒く腐っている根があれば、清潔なハサミで切り取ります。
- 新しい鉢に植える: 新しい鉢の底に鉢底石を敷き、土を少し入れます。株を中央に置き、根の周りに新しい土を隙間なく入れていきます。
- 水やりをする: 植え付け後、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与え、土を落ち着かせます。
植え替え直後は、根がまだ新しい土に馴染んでいないため、1〜2週間は直射日光の当たらない明るい日陰で休ませてあげましょう。この一手間で、株が元気に根付き、その後の成長が大きく変わってきます。
シャコバサボテンの花をたくさん咲かせるには
シャコバサボテンの花を毎年たくさん咲かせるためには、花後の手入れに加えて、年間を通したいくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1:秋の葉摘み(新芽の整理)
シャコバサボテンは、成熟した葉の先端に花芽をつけます。しかし、9月頃に出てくる新芽は、花芽が作られる時期までに十分に成熟できないため、花になりにくいです。そこで、9月頃に、葉の先端から出てくる赤みがかった小さな新芽や、色の薄い未熟な葉を全て摘み取ります。これにより、養分が成熟した葉に集中し、花芽がつきやすくなります。
ポイント2:短日処理と低温処理
シャコバサボテンは「短日植物」といい、夜の時間が長くならないと花芽をつけない性質があります。また、ある程度の寒さに当たることも花芽形成を促します。
- 短日処理: 9月下旬頃から、夜間に照明などの光が当たらない場所に置くことが重要です。夜も明るい室内に置いている場合は、夕方から朝まで段ボール箱を被せて人工的に暗い環境を作ってあげると効果的です。
- 低温処理: 最低気温が10℃以下になる時期に、一定期間寒さに当てることで花芽が付きやすくなります。寒くなってきたからといって、すぐに暖かい室内に取り込むのではなく、霜が降りる直前まで屋外で管理するのも一つの方法です。(ただし、5℃以下にならないように注意)
これらの処理を1ヶ月ほど続けると、葉の先端に小さな蕾ができてきます。蕾が確認できたら、短日処理はやめて通常の管理に戻して大丈夫です。
これらの少しの工夫で、翌年の花付きが劇的に変わることがありますので、ぜひ試してみてください。
シャコバサボテン花が終わったら正しい手入れをしよう
- 花が終わったら、種ができる前に花がらをすぐに摘み取る
- 花後の休眠期は水やりを控え、乾燥気味に管理する
- 春までは暖房の風が当たらない、室内の明るい場所で休ませる
- 花が終わった直後の肥料は不要、根を傷める原因になる
- ほったらかしにすると株が弱り、翌年の花付きが悪くなる
- 来年に向けた剪定(切り戻し)の適期は4月から5月
- 剪定は株全体のバランスを見ながら、株元から3〜5節を残して行う
- 剪定で出た元気な茎節は、挿し木にして簡単に増やすことができる
- 2年に1度、4〜5月頃に一回り大きな鉢に植え替えて根詰まりを防ぐ
- 植え替え時は古い土を3分の1ほど落とし、新しい土で植え付ける
- 肥料は成長期の5月から7月に与え、夏以降は控える
- 9月頃に未熟な新芽を摘み取ると花芽がつきやすくなる
- 秋に夜が暗い環境(短日条件)に置くことが開花の重要なスイッチになる
- 適切な年間管理を行うことで、毎年たくさんの美しい花を楽しめる
- 正しい手入れは難しくなく、初心者でも十分に実践可能