庭やベランダで育てやすいハーブとして人気の蚊連草ですが、その旺盛な成長力に驚き、「蚊連草が増えすぎた!」と悩んでいませんか。この記事では、そんなお悩みを解決するために、効果的な剪定の仕方や適切な切り戻しの時期について詳しく解説します。また、地植えでの冬越しのコツや、株が硬くなる木質化への対策、さらには蚊連草の花が咲かない原因まで、あらゆる疑問にお答えします。ローズゼラニウムと蚊連草の違いを理解し、ホームセンターで苗を選ぶ際のポイントもご紹介。庭で蚊が嫌がる植物を上手に管理して、快適なガーデニングライフを送りましょう。
- 蚊連草が増えすぎる原因と具体的な剪定方法
- 木質化や花が咲かないといった悩みの解決策
- 挿し木での簡単な増やし方と地植えでの冬越し方法
- 蚊連草とローズゼラニウムの違いや他の防虫ハーブ
蚊連草が増えすぎになる原因と対策
- ローズゼラニウムと蚊連草の違い
- 蚊連草はホームセンターで手に入る?
- 蚊連草が木質化するのを防ぐには
- 蚊連草の花が咲かない原因と対策
- 挿し木での簡単な増やし方
ローズゼラニウムと蚊連草の違い
蚊連草の管理方法について知る前に、よく似た植物であるローズゼラニウムとの違いを理解しておくことが大切です。言ってしまえば、これらはしばしば混同されて販売されることがありますが、実は異なる特徴を持っています。
ローズゼラニウムは、その名の通りバラに似た甘い香りが特徴のハーブで、アロマオイルや香料の原料として古くから利用されてきました。一方、蚊連草は、このローズゼラニウムと、蚊が嫌う「シトロネラール」という成分を多く含むシトロネラという植物を交配して作られた園芸品種です。そのため、蚊連草はレモンのような爽やかな柑橘系の香りが強く、蚊よけ効果がより期待できるとされています。
見た目も非常に似ていますが、香りを嗅ぎ分けるのが一番簡単な見分け方です。購入する際には、どちらの植物なのかをラベルで確認するか、実際に葉を軽くこすって香りを確かめてみると良いでしょう。
違いのまとめ
項目 | 蚊連草 | ローズゼラニウム |
---|---|---|
親の品種 | ローズゼラニウム × シトロネラ | ニオイテンジクアオイ(原種) |
香り | レモンのような柑橘系の強い香り | バラのような甘い香り |
主な目的 | 蚊よけ、防虫 | 香料、アロマテラピー |
別名 | 蚊嫌草、蚊取り草、蚊よらず | ニオイゼラニウム |
このように、蚊よけを主な目的とするのであれば、シトロネラール成分を多く含む蚊連草を選ぶのがおすすめです。ただ、どちらもゼラニウムの仲間であるため、育て方の基本はほとんど同じです。
蚊連草はホームセンターで手に入る?
はい、蚊連草は春から夏の暖かい時期にかけて、多くのホームセンターや園芸店で手軽に入手できます。価格も手頃で、ガーデニング初心者の方でも始めやすいハーブの一つです。
店頭では「蚊連草」という名前だけでなく、「蚊嫌草(かけんそう)」や「蚊取り草」「蚊よけ草」といった様々な名前で販売されていることがあります。これらは基本的に同じもの、あるいは非常に近い品種を指していることが多いです。もし見つからない場合は、店員さんに尋ねてみると良いでしょう。

苗を選ぶ際には、以下の点に注意して、健康な株を選びましょう。
健康な苗を選ぶポイント
- 葉の色が濃く、生き生きとしているか
- 茎がひょろひょろと伸びすぎていないか(徒長していないか)
- 葉に虫食いの跡や病気の斑点がないか
- ポットの底の穴から根がたくさん飛び出していないか(根詰まりしていないか)
良い苗を選ぶことが、その後の順調な成長につながります。特に、すでに徒長している苗は、購入後の管理が少し難しくなることがあるため、がっしりとした株を選ぶことをお勧めします。
蚊連草が木質化するのを防ぐには
蚊連草を数年育てていると、茎の根元の方が茶色く硬くなり、まるで木の幹のようになる「木質化(もくしつか)」という現象が起こります。これは多年草であるゼラニウムの仲間によく見られる自然な老化現象であり、完全に避けることはできません。
しかし、木質化が進むと、新しい芽や葉が出にくくなり、見た目も悪くなるだけでなく、株全体の活力が失われてしまいます。木質化の進行を遅らせ、若々しい株を保つためには、適切な管理が重要です。
木質化の主な原因
- 加齢:最も大きな原因で、年数が経つと自然に起こります。
- 剪定不足:古い枝を残したままだと、そこから木質化が進みます。
- 日照不足:日光が足りないと株が弱り、老化が進みやすくなります。
木質化してしまったら?
一度木質化してしまった部分が、元の緑色の柔らかい茎に戻ることはありません。そのため、木質化してしまった株を若返らせる最善の方法は、「挿し木」で新しい株を作ることです。元気な緑色の茎の部分をカットして土に挿すことで、簡単に新しい株を育てることができます。親株は役目を終えたと考え、処分するのが一般的です。
このように、蚊連草は定期的に剪定を行い、数年に一度は挿し木で株を更新していくことで、常に生き生きとした状態で楽しむことができます。木質化は「育て方が悪い」というわけではなく、植物の成長サイクルの一部と捉え、上手付き合っていくことが大切です。
蚊連草の花が咲かない原因と対策
蚊連草は、初夏になると薄ピンク色の可愛らしい花を咲かせます。しかし、「うちの蚊連草は葉ばかり茂って、全然花が咲かない」という声も少なくありません。花が咲かない場合、いくつかの原因が考えられます。
主な原因は、「肥料の与え方」「日照条件」「水の管理」の3つです。
花が咲かない原因と対策
原因 | 解説 | 対策 |
---|---|---|
肥料のバランスが悪い | 葉を育てる「窒素(N)」成分が多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂り、花を咲かせるための「リン酸(P)」や「カリウム(K)」が不足してしまいます。 | 春から初夏にかけては、リン酸やカリウムが多めに配合された草花用の液体肥料を規定通りに薄めて、1〜2週間に1回程度与えるようにします。 |
日光不足 | 蚊連草は日光が大好きな植物です。日照時間が不足すると、光合成が十分に行えず、花を咲かせるエネルギーを作ることができません。 | 最低でも半日以上は直射日光が当たる場所で管理しましょう。ただし、真夏の強すぎる西日は葉焼けの原因になることがあるため、少し遮光するか、午後は日陰になるような場所が理想的です。 |
水のやりすぎ | 蚊連草は乾燥気味の環境を好みます。常に土が湿っている状態だと根が弱り、株全体の生育が悪くなって花付きも悪くなります。 | 水やりは、土の表面が完全に乾いてから、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えるのが基本です。水のやりすぎは根腐れにも繋がるため注意が必要です。 |



これらのポイントを見直すことで、花付きが改善される可能性が高いです。適切な管理で、ぜひ可愛らしい花も楽しんでください。
挿し木での簡単な増やし方
蚊連草は「挿し木(さしき)」という方法で非常に簡単に増やすことができます。増えすぎた株を整理する際の剪定で出た枝を再利用したり、友人におすそ分けしたりするのも良いでしょう。株の更新や、たくさんの場所に置いて蚊よけ効果を高めたい場合にも最適な方法です。
挿し木に最も適した時期は、気候が温暖で植物の生育が旺盛になる春(4月〜6月)や秋(9月〜10月)です。真夏や真冬は成功率が下がるため避けましょう。
挿し木の手順
- 穂木(ほぎ)の準備:元気な茎の先端を10cm程度の長さでカットします。このとき、病気や虫がついていない健康な枝を選びましょう。
- 葉の整理:先端の葉を2〜3枚残し、下のほうの葉は全て取り除きます。葉が多すぎると、水分が蒸発しすぎてしまい、根が出る前に枯れてしまう原因になります。
- 水揚げ:切り口を水に1時間ほど浸けて、穂木に十分に水を吸わせます。
- 土に挿す:挿し木用の清潔な土(赤玉土やバーミキュライトなど)をポットに入れ、あらかじめ指や棒で穴を開けておきます。そこに穂木をそっと挿し、周りの土を軽く押さえて固定します。
- 管理:たっぷりと水を与え、その後は明るい日陰で土が乾かないように管理します。約1ヶ月ほどで根が出てきて、新しい葉が展開し始めたら成功です。
水差しでも増やせる!
土に挿すのが面倒な場合は、コップや瓶に水を入れて、そこに穂木を挿しておくだけでも発根します。これを「水差し」と言います。根が数センチ伸びてきたら、土に植え替えてあげましょう。手軽に始められるのでおすすめです。
このように、蚊連草は驚くほど簡単に増やすことができます。だからこそ、計画的に増やさないと「増えすぎた」という事態に陥りやすいので、その点だけは注意が必要ですね。
蚊連草の増えすぎを防ぐ管理方法
- 増えすぎを防ぐ剪定の仕方
- 切り戻しの時期と目的
- 地植えでの冬越しのポイント
- 庭で蚊が嫌がる植物は他にもある?
- まとめ:蚊連草の増えすぎは剪定で解決
増えすぎを防ぐ剪定の仕方
蚊連草の「増えすぎ」を解決する最も効果的で重要な作業が「剪定(せんてい)」です。蚊連草は非常に成長が早いため、定期的に剪定を行わないと、あっという間に大きく茂りすぎてしまいます。適切な剪定は、大きさをコントロールするだけでなく、株の健康を保つためにも不可欠です。
剪定の目的は、株の大きさを整え、風通しを良くすることです。風通しが悪いと、内部の葉が蒸れて病気になったり、害虫が発生しやすくなったりします。
剪定の基本手順
- 道具の準備:よく切れる清潔な剪定バサミを用意します。ハサミが汚れていると、切り口から病原菌が侵入する可能性があるため、使用前にアルコールなどで消毒しておくと安心です。
- 切る位置の確認:全体のバランスを見ながら、伸びすぎた枝や混み合っている部分を中心に剪定します。基本的には、株全体の高さの半分から3分の1程度まで思い切って切り詰めても問題ありません。
- 切り方:枝の節(葉の付け根)の少し上でカットします。節からは新しい芽が出やすいため、次の成長を促すことができます。



剪定の注意点
剪定の最適な時期は、生育期である春から初夏です。この時期に剪定すると、すぐに新しい芽が伸びてきて株が充実します。真夏や冬の剪定は、株が弱る原因になることがあるため、軽く整える程度に留めましょう。
定期的な剪定を心がけることで、蚊連草は常にコンパクトで美しい姿を保ち、増えすぎるのを防ぐことができます。
切り戻しの時期と目的
「剪定」と似た言葉に「切り戻し」があります。これらは厳密な定義が異なる場合もありますが、ガーデニングにおいては、ほぼ同義で使われることも多いです。ここでは、特に目的意識を持った剪定を「切り戻し」として解説します。
切り戻しは、単に大きさを整えるだけでなく、「株を若返らせて、再び花を咲かせる準備をする」「夏や冬を乗り切るために株の体力を温存させる」といった、より積極的な目的を持って行われます。
切り戻しの主な時期と目的
時期 | 目的 | 解説 |
---|---|---|
梅雨時期(6月〜7月) | 夏越し対策と二番花を咲かせるため | 春に咲いた花が一段落し、梅雨の湿気で株が蒸れやすくなるこの時期に切り戻しを行います。草丈を半分程度に切り詰めることで、風通しを良くして病気を予防し、株の消耗を防ぎます。これにより、秋に再び花を咲かせる体力を蓄えることができます。 |
秋(9月〜10月) | 冬越し準備のため | 冬が来る前に株をコンパクトに整えます。株が小さい方が、寒さによるダメージを受ける面積が少なくなり、冬越ししやすくなります。特に、室内に取り込んで冬越しさせる場合は、この時期に切り戻しておくと管理が楽になります。 |
このように、季節の変わり目に合わせて目的を持って切り戻しを行うことで、蚊連草を一年を通して健康に管理することができます。増えすぎを防ぐだけでなく、植物のライフサイクルに合わせた手入れをすることが、上手に育てる秘訣です。
地植えでの冬越しのポイント
蚊連草は南アフリカ原産の植物で、寒さにはあまり強くありません。そのため、地植えで冬越しさせる場合は、お住まいの地域によって対策が異なります。
一般的に、霜が降りない温暖な地域(関東以西の平野部など)であれば、地植えのままでも冬越しできる可能性が高いです。しかし、強い霜が降りたり、地面が凍結したりする寒冷地では、対策が必要になります。
地植えでの冬越し対策
- 霜よけ:冬が近づいてきたら、株元に腐葉土やバークチップを厚めに敷く「マルチング」を施します。これにより、土の凍結を防ぎ、根を寒さから守ることができます。
- 防寒対策:特に冷え込みが厳しい日や、若い株の場合は、株全体を不織布やビニールで覆ってあげると、より安全に冬越しできます。
- 水やり:冬は植物の成長が緩やかになるため、水のやりすぎは根腐れの原因になります。地植えの場合は、基本的に雨水だけで十分で、乾燥が続く場合にのみ水を与える程度にします。



寒冷地での冬越し
冬の寒さが非常に厳しい寒冷地では、地植えでの冬越しは困難です。その場合は、秋に株を掘り上げて鉢に移し、室内の日当たりの良い窓辺などで管理するのが最も確実な方法です。または、秋に挿し木で新しい苗を作っておき、それを室内で冬越しさせて、春に再び庭に植え付けるという方法もおすすめです。
お住まいの地域の気候に合わせて、適切な冬越し対策を行ってください。
庭で蚊が嫌がる植物は他にもある?
蚊連草は蚊よけハーブとして非常に有名ですが、庭に植えることで同様の効果が期待できる植物は他にもたくさんあります。これらの植物を蚊連草と組み合わせて植えることで、より効果的な防虫対策になるかもしれません。
ここでは、代表的な蚊が嫌がる植物をいくつかご紹介します。
代表的な防虫ハーブ
植物名 | 特徴 | 育て方のポイント |
---|---|---|
レモングラス | 蚊連草にも含まれる「シトロネラール」を多く含み、爽やかなレモンの香りがします。ハーブティーや料理にも利用できます。 | 日当たりと水はけの良い場所を好みます。寒さに弱いので、冬は室内での管理が必要です。 |
ペパーミント | 清涼感のある強い香りが特徴です。蚊だけでなく、アリやハエもこの香りを嫌うと言われています。 | 非常に繁殖力が強く、地植えにすると広がりすぎるため、鉢植えでの管理が必須です。 |
ラベンダー | リラックス効果のある優しい香りが人気ですが、この香りも蚊は嫌います。乾燥に強く、育てやすいハーブです。 | 日当たりと風通し、水はけの良い場所を好みます。高温多湿が苦手なので、梅雨時期の管理に注意が必要です。 |
ローズマリー | すっきりとした強い香りが特徴で、料理にもよく使われます。蚊やハエを遠ざける効果が期待できます。 | 乾燥に非常に強く、日当たりの良い場所であれば、ほとんど手間をかけずに育ちます。 |
これらの植物を、人がよく通る玄関アプローチや、庭仕事をする場所の近く、窓の周りなどに配置することで、自然な香りのバリアを作ることができます。見た目や香りの好みで選んで、ガーデニングを楽しみながら虫除け対策をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:蚊連草の増えすぎは剪定で解決
この記事では、蚊連草が増えすぎる原因とその対策について、剪定や切り戻し、冬越しの方法などを詳しく解説しました。最後に、記事の要点をリストでまとめます。
- 蚊連草はローズゼラニウムとシトロネラの交配種で蚊よけ効果が期待される
- ホームセンターで春から夏に「蚊嫌草」などの名前で販売されている
- 成長が非常に早く、定期的な剪定をしないと増えすぎてしまう
- 剪定は株の大きさを制御し、風通しを良くして病害虫を防ぐために不可欠
- 剪定は春から初夏に、株の半分程度の高さまで思い切って行うのが良い
- 木質化は自然な老化現象で、挿し木で株を更新するのが最善策
- 花が咲かない原因は主に肥料バランス、日照不足、水のやりすぎ
- 花を咲かせるにはリン酸が多めの肥料を与え、日当たりの良い場所で管理する
- 挿し木や水差しで簡単に増やすことができる
- 切り戻しは梅雨時期に夏越し対策として、秋に冬越し準備として行う
- 温暖地では地植えで冬越し可能だが、霜よけ対策をするとより安全
- 寒冷地では鉢上げして室内で冬越しさせるのが確実
- レモングラスやミント、ラベンダーなど他にも蚊が嫌がる植物がある
- これらの植物と組み合わせることでより高い防虫効果が期待できる
- 増えすぎを管理する鍵は、怖がらずに定期的な剪定を行うこと