
庭を彩るグランドカバーとして高い人気を誇るアジュガ。常緑性で寒さに強い植物ですが、いざ冬を迎えると「葉の色が変わってしまった」「枯れてしまったように見える」と不安を感じる方も少なくありません。
実はアジュガの冬越しには、植物の生理に基づいた特有のコツがあります。
近年の気候変動による暖冬や急激な寒暖差の影響もあり、従来の管理以上に「地温の安定」と「適切な休眠の保護」が重要視されています。この記事では、寒冷地から暖地まで対応した最新の管理方法や、霜柱への対策、さらには春に美しい花を咲かせるためのメンテナンスまで、園芸の専門知識を交えて詳しく解説します。
アジュガを元気に冬越しさせて、春の庭を一段と華やかに彩りましょう。
この記事のポイント
- アジュガが冬に見せる「アントシアニン」による葉色の変化を理解する
- 暖地・寒冷地を問わず重要な、冬の日照管理と適切な栽培環境の構築
- 根腐れを防ぐための「午前中の水やり」と乾燥気味の管理ルール
- 霜柱による「根浮き」への即時対応と、春の開花を助ける寒肥の与え方
アジュガの冬越しを成功させる栽培のコツ
- 冬のアジュガが好む環境と日当たり
- 寒さによる葉色の変化と生理的な特徴
- 冬季の水やり頻度と適切なタイミング
- 寒冷地で必要な霜よけとマルチング
- 雪の下での管理と倒伏を防ぐ注意点
冬のアジュガが好む環境と日当たり
アジュガは一般的に「半日陰」を好むイメージが強いですが、冬場の管理においては日照の確保が健康維持の鍵となります。冬は太陽高度が低く、日照時間自体が短いため、夏場は日陰になる場所でも冬は適度に光が届く環境が理想的です。特に落葉樹の下などは、夏は葉が直射日光を遮り、冬は葉が落ちて柔らかな光が差し込むため、アジュガにとって最適なサイクルを提供してくれます。
冬の微弱な日光は、植物が春に向けたエネルギーを根に蓄えるための光合成を助けます。完全に日が当たらない北向きの湿った場所では、地面の温度が上がりきらず、株が衰弱したり病害虫の被害に遭いやすくなったりします。
特に2026年現在の異常気象下では、冷たい北風が直接当たる場所での放置は避け、建物や防風ネットで風を遮る工夫が推奨されます。
地植えの場合、地温さえ安定していれば氷点下10℃程度まで耐えられますが、鉢植えは外気温の影響をダイレクトに受けるため注意が必要です。夜間は軒下へ移動させるか、二重鉢にするなどして根を冷気から守りましょう。
地植えで移動ができない場合は、株元を腐葉土やもみ殻で厚く覆うことで、地温を2〜3℃高く保つことが可能です。このわずかな差が、春の芽吹きの勢いを大きく左右します。

寒さによる葉色の変化と生理的な特徴
冬になるとアジュガの葉が赤紫やブロンズ色、あるいは黒っぽく変色することがありますが、これはアントシアニンという色素による自然な防御反応です。寒さにさらされることで細胞内の糖度が高まり、不凍液のような役割を果たして細胞が凍結するのを防いでいます。これは「紅葉」の一種であり、決して枯れているわけではありません。
特に人気品種の「チョコレートチップ」や「バーガンディグロー」などは、冬にその色彩が深まり、冬枯れの庭に独特の重厚感を与えてくれます。また、寒さが厳しくなると葉を地面にぴたりと伏せるロゼット状の形態をとります。これは冷たい風に当たる表面積を最小限にし、地熱を利用して中心部の成長点(クラウン)を守るための賢い生存戦略です。
冬の変色を見て「枯れた」と勘違いし、肥料を大量に与えたり抜いてしまったりしないよう注意しましょう。 クラウンさえしっかりしていれば、春には瑞々しい緑や斑入りの新芽が再び展開します。逆に、冬でも青々としている場合は休眠が不十分な可能性があり、春の開花が遅れることもあります。季節ごとの変化を楽しみながら、植物の生命力を信じて見守ることが大切です。

冬季の水やり頻度と適切なタイミング
冬のアジュガ管理で最も失敗しやすいのが水やりです。冬は気温が低く蒸散量が少ないため、土が乾きにくいのが特徴です。この時期に夏と同じ頻度で水を与えると、根が呼吸できなくなり根腐れを誘発します。水やりの基本は「土の表面が完全に乾いてから数日後」にする、控えめな管理が鉄則です。
水を与える時間帯は、必ず晴天の午前中に限定してください。午後の遅い時間に水を与えると、夜間の冷え込みで土中の水分が凍結し、根に致命的なダメージを与えてしまいます。午前中に与えることで、夜が来るまでに余分な水分が適度に抜け、凍結のリスクを大幅に下げることができます。
冬の水やりチェックリスト
- 頻度:地植えは雨に任せ、鉢植えは土が乾いて2〜3日後
- 時間:午前9時から11時までの間がベスト
- 水温:汲み置きした常温の水を使用すると根へのストレスが少ない

地植えの場合は、長期間雨が降らずに土がひび割れるような乾燥状態でない限り、基本的に放置で問題ありません。むしろ過湿を嫌うため、冬の長雨が続く場合は排水を良くする溝を切るなどの対策が必要になることもあります。
寒冷地で必要な霜よけとマルチング
北海道や東北などの寒冷地では、アジュガが耐寒性に優れているとはいえ、激しい凍結や霜から守るための物理的な保護が欠かせません。特に霜柱が立つと地面が持ち上げられ、アジュガの根が土から浮き出してしまう「根上がり」が発生し、そこから根が乾燥して枯死するケースが多発します。
これを防ぐ最も有効な手段がマルチングです。株元を腐葉土、ウッドチップ、稲わらなどで5cm以上の厚さに覆いましょう。これにより地温の急変を防ぎ、霜が降りるのを抑制します。2026年時点では、通気性と断熱性に優れた「不織布」をトンネル状に被せる方法も、手軽で効果が高いとして広く推奨されています。
マルチングの注意点
- ビニールシートなどの密閉素材は使用しない(蒸れてカビの原因になる)
- マルチング材がクラウンを完全に押し潰さないよう、ふんわりと被せる
- 春になり気温が安定してきたら、速やかにマルチを外して風通しを確保する
また、乾燥した冷たい冬風は葉の水分を奪い、寒風害を引き起こします。風が強く当たる場所では、風よけの板を立てるか、常緑樹の陰になるよう配置を工夫することで、冬越しの成功率が飛躍的に高まります。

雪の下での管理と倒伏を防ぐ注意点
積雪のある地域では、雪はむしろ「断熱材」として機能し、アジュガを極端な低温(マイナス10℃以下など)から守ってくれます。雪の下の温度は0℃前後に保たれるため、乾燥した寒風にさらされるよりも安全に越冬できる場合が多いのです。
ただし、雪解け時期には特有の注意点があります。
重い雪に押しつぶされたアジュガは、雪解け直後は平べったく変色して見えますが、無理に起こしてはいけません。日光に当たれば自然に立ち上がります。問題は雪腐病です。積雪が長期間続き、雪解け水で土が過湿状態になると、カビなどの菌が繁殖しやすくなります。雪が降る前に、あらかじめ古い葉や傷んだランナーを整理し、株周りを清潔にしておくことが最大の予防策となります。
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排水性の悪い場所では、雪解け水が停滞しないよう、事前に排水溝を確認しておきましょう。もし雪解け後に株が腐っている部分を見つけたら、すぐにその箇所を取り除き、周辺に殺菌剤を散布して被害の拡大を防ぐことが重要です。


冬のアジュガのトラブル対策と春の準備
- 根上がりの原因と正しい対処方法
- 冬の肥料の要否と寒肥を与える時期
- 傷んだ葉の整理と春に向けた剪定
- 冬に発生しやすい病害虫の予防と対策
- 春の開花を促進させるための手入れ
根上がりの原因と正しい対処方法
冬の朝、土が凍結と融解を繰り返すことで発生する霜柱は、アジュガのような根の浅い植物を土ごと押し上げてしまいます。これが「根上がり」です。露出した根が冷たい外気にさらされると、急激に乾燥して株全体が枯れてしまうため、迅速な対応が求められます。
もし株が浮き上がっているのを見つけたら、気温が上がって土が柔らかくなった昼間に、指先や足で優しく株を元の位置へ押し戻してください。このとき、露出した根を覆うように新しい培養土や腐葉土を追加する「目土(めつち)」を行うと、乾燥防止と再発防止に極めて効果的です。
| 根上がり対策のステップ | 具体的な作業内容 |
|---|---|
| 発見 | 霜が降りた翌朝、株が浮いていないか目視で確認 |
| 鎮圧 | 土が解けたタイミングで、株元を優しく踏みしめる |
| 補土 | 露出した根に新しい土を被せ、クラウンを保護する |
| 保護 | 仕上げに腐葉土でマルチングを行い、再凍結を防ぐ |
特に秋に植えたばかりの若い苗は根張りが弱く、根上がりが起きやすいため、定期的な巡回チェックを心がけましょう。
冬の肥料の要否と寒肥を与える時期
アジュガは冬の間は休眠または半休眠状態にあるため、成長を促すための追肥は必要ありません。逆に、この時期に即効性の化学肥料を与えると、根が肥料焼けを起こしたり、軟弱な新芽が無理に動いて寒さで枯れたりするリスクがあります。
ただし、春の開花とランナーの伸長を支えるための「寒肥(かんごえ)」は非常に重要です。1月から2月の厳寒期に、ゆっくりと効果が出る有機質肥料を与えましょう。これにより、微生物が活動を始める早春に、土壌が最適な栄養状態になります。
おすすめの寒肥
- 完熟牛糞堆肥:土壌改良効果も高く、地温の安定にも寄与します
- 固形油かす:ゆっくりと分解され、春先の葉の色艶を良くします
- 骨粉入り肥料:リン酸分が含まれているため、花付きが良くなります


肥料は株に直接触れないよう、株と株の間にパラパラと撒くか、軽く土に混ぜ込む程度で十分です。アジュガはもともと痩せ地でも育つ丈夫な植物なので、「控えめに与える」ことが失敗を防ぐコツとなります。
傷んだ葉の整理と春に向けた剪定
冬越し中のアジュガは、外側の葉が茶色く枯れ込んだり、部分的に痛んだりすることがあります。これらを放置すると、春先に新芽が出る際の障害になるだけでなく、風通しを悪くして蒸れの原因になります。
本格的な春の成長が始まる直前(2月下旬〜3月上旬)に整理を行いましょう。
剪定といっても難しいことはありません。完全に茶色くなってカサカサになった葉を、根元からハサミで切り取るだけです。中心部のクラウン(成長点)を傷つけないよう注意しながら、古い葉を取り除くことで、中心部まで日光が届くようになり、新芽の展開がスムーズになります。
特に、昨シーズンに伸びて密集しすぎたランナーは、この時期に少し間引いておくと、春以降の風通しが劇的に改善されます。 アジュガは横に広がる性質が強いため、適度なスペースを空けておくことが、病気予防と美しい開花への近道です。このひと手間が、4月の満開時のクオリティを決定づけます。


冬に発生しやすい病害虫の予防と対策
冬は虫の被害は少ないですが、菌による病気には注意が必要です。特にアジュガで恐ろしいのが白絹病や灰色かび病です。これらは冬の間に落ち葉や古い葉の下で菌が潜伏し、春先の湿気とともに一気に広がります。
予防の基本は「清潔」と「通風」です。冬の間に株の周囲に溜まった広葉樹の落ち葉などは、こまめに取り除きましょう。落ち葉が湿った状態で株を覆い続けると、そこが病原菌の温床となります。
- 白絹病: 株元に白い糸のようなカビが発生。見つけ次第、土ごと処分が必要。
- カイガラムシ: 葉の付け根に潜んでいることがある。冬の間に歯ブラシなどで擦り落とすと春の増殖を防げる。



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2026年の最新ガーデニングトレンドでは、化学農薬を減らすために冬の段階で「木酢液」を薄めて散布し、土壌の微生物バランスを整える手法も人気です。
春の開花を促進させるための手入れ
冬を無事に乗り越えたアジュガが、4月〜5月に見事な花穂を立ち上げるためには、2月後半からの「目覚め」のサポートが重要です。日差しが強くなってきたら、マルチングを少しずつ薄くして、太陽の熱が土に伝わりやすくしましょう。
地温が上がると根が活動を再開し、花芽がふっくらとしてきます。このタイミングで、冬の間は控えていた水やりを徐々に「土の表面が乾いたらたっぷり」という通常モードへ戻していきます。
水切れを起こすと花穂が短くなってしまうため、開花までは水不足に注意してください。
また、もし寒肥を忘れてしまった場合は、3月初旬にリン酸分の多い液体肥料を規定倍率より薄めて与えると、開花のブーストになります。アジュガは一株でも見応えがありますが、群生して咲く青い絨毯のような姿は格別です。
冬の地道な管理が報われる瞬間まで、あと少しです。


総括:アジュガの冬越しを成功させて春の庭を彩るための重要ポイント
- 冬の変色は「アントシアニン」による防御反応であり、枯死ではない
- 日光は重要。冬場も適度に光が当たる場所で管理し、光合成を助ける
- 水やりは「晴天の午前中」に限定。土が乾いて数日後の控えめな回数にする
- 寒冷地では腐葉土等で5cm厚のマルチングを行い、根を凍結から守る
- 霜柱で株が浮いたら、昼間の暖かい時間帯に優しく踏み戻して目土をする
- 雪の下は断熱効果があるが、雪解け時の過湿による根腐れに注意する
- 1〜2月に寒肥として有機質肥料を与え、春の爆発的な成長を予約する
- 2月下旬〜3月に古い葉を剪定し、中心部の新芽に光と風を当てる
- 落ち葉掃除を徹底し、白絹病などの病原菌の温床を作らない
- 2月後半から徐々に地温を上げる工夫をし、立派な花穂の形成を促す










