オクラのコンパニオンプランツ決定版！相性が良い野菜と悪い野菜

2025年11月14日

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オクラを家庭菜園で育てていると、「もっと元気に育ってほしい」「アブラムシなどの害虫に悩まされている」と感じることはありませんか。オクラは肥料を好む一方で、そのバランスが難しく、病害虫にも注意が必要な野菜です。
実は、これらの悩みの多くは、オクラと一緒に植える「コンパニオンプランツ」によって解決できるかもしれません。この記事では、園芸のエキスパートとして、オクラと相性が良い野菜、そして絶対に一緒に植えてはいけない相性が悪い野菜を、科学的な仕組みと共に徹底的に解説します。
生育を助けるマメ科の仲間から、害虫を遠ざけるハーブ、さらには土壌の病気を引き起こす「ネコブセンチュウ」を呼び寄せてしまう危険な組み合わせ、プランター栽培のコツまで。この記事を読めば、あなたのオクラ栽培がより豊かで、確実なものになるはずです。

オクラと相性が良い野菜（枝豆、バジル等）の具体的な効果
害虫対策や生育促進に効く「3つの仕組み」を科学的に解説
植えてはいけない！ネコブセンチュウなど共通の病害虫を呼ぶ野菜
プランター栽培で成功するための最適なコンパニオンプランツ

オクラのコンパニオンプランツ【決定版】相性が良い野菜7選

コンパニオンプランツの基本と3つの仕組み
【定番】マメ科（枝豆・インゲン）で生育促進
【害虫対策】ハーブ・香味野菜（バジル・ニラ）
【上級】バンカープランツ（マリーゴールド）
混植の成功術：正しい株間と配置

コンパニオンプランツの基本と3つの仕組み

コンパニオンプランツとは、日本語で「共栄作物」または「共存作物」と呼ばれ、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことを指します。家庭菜園でこの知識を活用することは、農薬を減らし、野菜を健康に育てるための非常に有効な手段です。

ただし、単に「相性が良い」と言われる野菜を隣に植えるだけでは、期待した効果は得られません。なぜ効果があるのか、その「仕組み」を理解することが成功への第一歩です。

オクラのコンパニオンプランツがもたらす良い影響は、主に以下の3つの仕組みによって成り立っています。

アレロパシー（他感作用）
植物が根や葉から放出する特定の化学物質（アレロケミカル）によって、他の生物に影響を与える現象です。バジルやシソなどのハーブ類が持つ独特の香りは、このアレロケミカルの一種です。オクラに付きやすいアブラムシなどの害虫は、この香りを嫌うため、ハーブ類を一緒に植えることで害虫を「寄せ付けにくくする」効果（忌避効果）が期待できます。
資源の棲み分け（競合の回避）
植物は皆、太陽光、水、土の中の養分を必要とします。同じような性質の植物を隣り合わせで植えると、これらの資源を奪い合う「競合」が起きてしまい、共倒れになりかねません。しかし、オクラのように地中深くまで根を伸ばす植物の株元に、枝豆のように根を浅く張る植物を植えれば、お互いに邪魔をせず、限られたスペースと養分を賢く分け合って生長できます。
天敵温存（バンカープランツ）
これは、害虫を「追い払う」のではなく、害虫の「天敵」を畑に呼び込み、定着させるという、一歩進んだ考え方です。例えば、マリーゴールドを植えると、アブラムシなどを捕食するクモ類が増えることが確認されています。天敵となる虫（益虫）の「住処」や「餌場」となる植物（バンカープランツ）を意図的に用意することで、害虫が発生しても天敵がすぐに働いてくれる、バランスの取れた生態系を畑に作り出すことができます。

これらの仕組みを理解し、組み合わせて利用することで、オクラの生育を力強くサポートできます。

【定番】マメ科（枝豆・インゲン）で生育促進

オクラ栽培における悩みの一つが「肥料管理」です。オクラは「肥料食い」と呼ばれるほど多くの養分を好みますが、一方で、特に窒素肥料が多すぎると、葉や茎ばかりが茂って実が硬くなったり、収穫量が減ったりする「つるボケ」という状態に陥りがちです。

元肥は少なめにして、生育の様子を見ながら追肥でコントロールするのがセオリーですが、このさじ加減が難しいんですよね。

このジレンマを解決してくれる最高のパートナーが、枝豆（大豆）やインゲンといった「マメ科」の野菜です。
マメ科植物の根には「根粒菌（こんりゅうきん）」というバクテリアが共生しています。この根粒菌は、空気中の窒素を取り込んで植物が利用できる形に変え、土壌に供給する（窒素固定）という素晴らしい能力を持っています。
オクラのそばにマメ科植物を植えることは、天然の「緩効性窒素肥料」を自動で追肥してもらうようなものです。これにより、オクラは必要な窒素分を安定的に得ることができ、生育が促進され、結果として収穫量の増加が期待できます。
さらに、前述の「資源の棲み分け」の観点からも理想的です。オクラは地中深くに真っすぐ伸びる直根性ですが、枝豆は比較的浅い場所に根を張ります。両者は根の張る層が異なるため、互いに養分や水分を奪い合うことなく共存できるのです。
また、「つるありインゲン」を選べば、高く生長するオクラの太い茎を、インゲンが巻き付くための「支柱代わり」として利用できます。「つるなしインゲン」であれば、オクラの株元を覆うように育ち、土の乾燥を防ぐ保湿（マルチング）の役割も果たしてくれます。

マメ科との混植メリット

根粒菌が窒素を固定し、オクラの生育を助ける
オクラ（深根性）と枝豆（浅根性）で根の層が競合しない
つるありインゲンはオクラを支柱代わりにできる
つるなしインゲンは株元の保湿に役立つ

【害虫対策】ハーブ・香味野菜（バジル・ニラ）

オクラの栽培で最も頭を悩ませるのが、アブラムシ、ヨトウムシ、カメムシといった害虫の発生です。特にアブラムシは、ウイルス病を媒介することもあり、早期の対策が欠かせません。
こうした害虫対策として非常に有効なのが、バジルやニラといった香りの強いハーブ・香味野菜です。
これらの植物が持つ独特の強い香りは、前述した「アレロパシー」の一種です。オクラに寄ってくるアブラムシなどの多くの害虫は、この香りを非常に嫌います。オクラの株間や畝の端にこれらの植物を植えておくだけで、害虫がオクラを見つけにくくする「目隠し」や、近寄らせない「バリア」のような効果を発揮してくれるのです。

特にバジルは、オクラが好む高温多湿の環境を同じく好むため、生育のリズムが合いやすく、育てやすい組み合わせです。

また、ニラにはアブラムシ忌避効果に加え、もう一つ特別な力があります。ニラの根に共生する「拮抗菌（きっこうきん）」という微生物が、土壌中の病原菌の活動を抑え、病気の発生を防ぐ効果が期待できるのです。
ニラは一度植えれば何年も収穫できる多年草であり、背丈も低いため、縦に伸びるオクラの株元で光を奪い合うことなく共生できます。まさに「縁の下の力持ち」と言える存在です。
同様に、日本古来のハーブである「シソ（大葉）」も、その強い香りで防虫効果が期待できるコンパニオンプランツです。

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コンパニオンプランツ名	分類	期待できる効果	植え方のコツ・ポイント
枝豆（大豆）	マメ科	・生育促進（窒素固定）・土壌の肥沃化	根の深さが違うため競合しない。オクラの株間や列の隣に植える。
インゲン（つるあり）	マメ科	・生育促進（窒素固定）・空間の有効活用	オクラの茎をインゲンの支柱代わりにする。
インゲン（つるなし）	マメ科	・生育促進（窒素固定）・株元の保湿、マルチ効果	オクラの株元を覆うように植える。
バジル	シソ科	・害虫忌避（アブラムシなど）	オクラの株間に植える。ただし、オクラの陰になりすぎないよう注意。
ニラ	ヒガンバナ科	・害虫忌避（アブラムシなど）・土壌病害の予防	背が低いため競合しない。株元や畝の端に植える。
シソ（大葉）	シソ科	・害虫忌避	香りが強いため、畝の端などに植えてバリアにする。

【上級】バンカープランツ（マリーゴールド）

ここまでは、害虫を「寄せ付けない」方法や、生育を「助ける」方法を見てきました。次にご紹介するのは、害虫の「天敵」を畑に呼び込み、定着させるという、より積極的で持続可能な上級テクニックです。
その主役となるのが、「マリーゴールド」です。
マリーゴールドは、単に彩りとして美しいだけでなく、強力なコンパニオンプランツとして知られています。ある研究では、マリーゴールドを畑に植栽することで、害虫の天敵であるクモ類の発生が回復することが示されました。

農薬を多用すると、害虫だけでなく、こうしたクモやテントウムシ、寄生蜂といった「益虫」までいなくなってしまいます。マリーゴールドは、彼らの「住処」や「隠れ家」として機能するのです。

このような植物を、天敵を温存する「銀行」になぞらえて「バンカープランツ」と呼びます。害虫が発生する前から、その天敵が畑に「待ち伏せ」している状態を作ることが、この戦略の目的です。
オクラの畝の周りや畑の端にマリーゴールドを植えておくことで、アブラムシなどが発生しても、天敵であるクモやテントウムシがすぐに駆けつけて捕食してくれるため、被害が大きくなる前に自然と抑制されます。
さらに、マリーゴールドにはもう一つ、非常に重要な役割があります。
それは、多くの野菜に被害を及ぼす「ネコブセンチュウ」という土壌害虫を抑制する効果です。後のセクションで詳しく解説しますが、オクラはネコブセンチュウの被害を受けやすく、これは家庭菜園で失敗する大きな原因の一つです。マリーゴールドは、このネコブセンチュウ対策としても非常に有効なため、オクラを守る「最強のパートナー」の一つと言えるでしょう。

混植の成功術：正しい株間と配置

コンパニオンプランツの効果を最大限に引き出すためには、ただ植えるだけでなく、「どこに」「どのように」植えるかが極めて重要です。
オクラはアフリカ原産の高温性作物で、強い日光と良好な風通しを何よりも好みます。コンパニオンプランツを植えた結果、オクラの株元が過密になって日当たりや風通しが悪くなっては本末転倒です。

ポイントは、植物の「高さ」と「育ち方」を利用して、畑の空間を立体的に（3Dで）使いこなすことです。

まず、オクラは背が高く、まっすぐ上に伸びます。この「縦の空間」を利用するのが、つるありインゲンです。オクラの茎を支柱代わりにしてインゲンを這わせれば、省スペースで両方を収穫できます。
次に、「株元の空間」です。オクラは生育するにつれて、収穫した節の下の葉を摘み取り（摘葉）、風通しを良くしていきます。この作業によって、オクラの株元には適度な「空間」と「日光」が当たるようになります。
この空間を活かすのに最適なのが、バジルやつるなしインゲンです。バジルは日光を好むため、下葉を整理した後のオクラの株元は絶好の生育場所となります。ただし、オクラの影になりすぎないよう、南側など日当たりの良い場所に配置する工夫が必要です。
つるなしインゲンは、株元で低く広がり、地表の乾燥を防ぐマルチングの役割を果たしてくれます。
ニラもおすすめです。背が低く、オクラと光の競合を起こさないため、株のすぐ隣や畝の肩（端）に植えておくと、病害虫予防の「バリア」として長期間活躍してくれます。
このように、植物それぞれの特性（背の高さ、根の深さ、必要な日光量）を理解し、お互いの邪魔にならない最適な「配置」を見つけることが、混植成功の鍵となります。

オクラのコンパニオンプランツで注意すべき相性の悪い組み合わせ

失敗しないために：相性が悪い野菜とは？
【要注意】ネコブセンチュウを呼ぶ野菜
【要注意】共通の害虫を呼ぶウリ科野菜
プランター栽培でオクラを育てるコツ

失敗しないために：相性が悪い野菜とは？

コンパニオンプランツには「相性が良い」組み合わせがある一方で、当然ながら「相性が悪い」組み合わせも存在します。

むしろ、園芸初心者の方にとっては、「良い」組み合わせを増やすことよりも、「最悪の」組み合わせを避けることの方が、失敗を防ぐ上でよほど重要です。

「相性が悪い」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。主に2つのパターンがあります。

共通の病害虫を呼び寄せる
これが家庭菜園において最も深刻な問題です。同じ病気にかかったり、同じ害虫の好物であったりする野菜を近くに植えると、病害虫が爆発的に増殖する「拠点」を提供してしまうことになります。コンパニオンプランツの防除効果をはるかに超える被害が出るため、絶対に避けなければなりません。
生育環境や養分が激しく競合する
例えば、オクラのように根を深く張り、多くの肥料を必要とする植物の隣に、同じように深根性で肥料食いの野菜を植えると、土の中で壮絶な養分の奪い合いが起こります。これでは両方とも生育不良になってしまいます。

また、植物の中には、セイタカアワダチソウやクルミの木のように、根から他の植物の生育を強力に阻害する物質（アレロパシー）を放出するものもあります。こうした植物の近くでは、多くの野菜が育ちにくくなります。
オクラ栽培においては、特に「1. 共通の病害虫」が最大の注意点となります。

【要注意】ネコブセンチュウを呼ぶ野菜

オクラのコンパニオンプランツを考える上で、最も警戒すべきは「サツマイモネコブセンチュウ」です。
これは土壌中に生息する微小な線虫の一種で、植物の根に寄生して「コブ」を作ります。コブができると根から正常に水分や養分を吸収できなくなり、株全体の生育が著しく悪化し、やがては枯れてしまいます。

地上部に症状（葉が黄ばむ、しおれる）が出た時点では手遅れであることが多く、非常に厄介な土壌病害です。

問題は、このサツマイモネコブセンチュウの「寄主範囲」、つまり好んで寄生する植物の範囲が非常に広いことです。オクラはもちろんのこと、家庭菜園で人気の高い以下の野菜も、このセンチュウの大好物なのです。

ナス科：トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモなど
ウリ科：キュウリ、メロン、スイカ、カボチャなど
マメ科：インゲン、エダマメなど
その他：ニンジン、ホウレンソウなど

ご覧の通り、オクラの生育を助けるはずのマメ科（枝豆、インゲン）でさえ、センチュウのリスクは共有しています。
中でも、特に被害が大きくなりやすいのが「ナス科」の野菜、特にトマトやナスです。オクラとトマトを隣り合わせで植えたり、トマトを育てた「後作」としてオクラを植えたりすると、土壌中で増えたセンチュウがオクラに集中攻撃を仕掛け、壊滅的な被害をもたらす危険性があります。
「相性が悪い」というレベルではなく、「絶対に避けるべき」危険な組み合わせとして認識してください。

【厳重注意】ネコブセンチュウを共有する野菜

以下の野菜、特にナス科との混植・連作は、サツマイモネコブセンチュウの被害を激化させるため、絶対に避けてください。

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特に注意すべき野菜	分類	共通する主なリスク
トマト、ナス、ピーマン	ナス科	サツマイモネコブセンチュウ
キュウリ、メロン、スイカ	ウリ科	サツマイモネコブセンチュウ、アブラムシ類

ネコブセンチュウ対策の決定版

この厄介なネコブセンチュウ対策として、H2-4で紹介したマリーゴールド（特にフレンチ種）の植え付けが非常に有効です。マリーゴールドを畑にすき込むことで、センチュウの密度を大幅に下げることができます。予防策として、オクラの畝の周りにマリーゴールドを植えることを強く推奨します。

【要注意】共通の害虫を呼ぶウリ科野菜

土の中のセンチュウだけでなく、地上の害虫にも注意が必要です。特に相性が悪いのが、キュウリ、メロン、カボチャなどの「ウリ科」の野菜です。
その理由は、オクラとウリ科の野菜では、共通の害虫が非常に多いためです。
オクラの最大の害虫である「アブラムシ類」は、キュウリやメロンも大好物です。また、葉を食い荒らす「ヨトウムシ類」や、葉を巻いて中に潜む「ワタノメイガ」なども、両方の野菜に発生しやすい害虫です。

想像してみてください。アブラムシの好物であるオクラとキュウリが、ビュッフェのように並んでいたら…？

害虫にとっては天国のような環境です。バジルやニラといったコンパニオンプランツの防除効果（アレロパシー）も、これほど好物が集まっていては追いつきません。害虫は瞬く間に増殖し、オクラもウリ科野菜も被害甚大となってしまいます。
ネコブセンチュウのリスクと合わせても、オクラとウリ科の野菜を近くに植えるメリットは何もありません。栽培計画の段階で、オクラとウリ科の野菜は、できるだけ畑の中で距離を離して配置するようにしましょう。

プランター栽培でオクラを育てるコツ

ベランダや限られたスペースでオクラを育てる「プランター栽培」でも、コンパニオンプランツは有効です。ただし、地植えとは少し事情が異なります。

プランター栽培の最大の制約は、「土の量」と「スペース」が限られていることです。

オクラは「肥料食い」です。プランターのような限られた土壌では、養分がすぐに流れ出てしまい、「肥料切れ」を起こしやすい状態にあります。そのため、地植え以上にこまめな「追肥」が成功の鍵となります）。
この環境で、地植えと同じように枝豆を植えたらどうなるでしょうか？
枝豆が窒素を固定するメリットよりも、オクラと枝豆がプランター内の限られた水と養分（窒素以外）を激しく奪い合うデメリットの方が大きくなってしまう可能性が高いのです。
したがって、プランター栽培でオクラと混植する場合、土壌改良や生育促進（マメ科）よりも、「害虫忌避（ハーブ類）」に目的を絞るのが賢明です。

プランター栽培に最適なコンパニオン

バジルやニラが最適です。
これらの植物は比較的コンパクトに育ち、根も深く張らないため、オクラの生育を邪魔しません。そして何より、オクラの最大の敵であるアブラムシを香りで遠ざけるという、プランター栽培でも非常に価値のある効果を提供してくれます。
オクラを植えたプランターの株元や、すぐ隣に置いた別の鉢でバジルやニラを育てることで、ベランダでの害虫被害を大きく減らすことができるでしょう。