ご家庭で育てるイチゴの植え替え時期について、いつが最適か悩んでいませんか。プランターで育てているけれど、植え替えは春でも良いのか、それとも秋まで待つべきか迷いますよね。せっかく植え替えをしても枯れるのは避けたいですし、正しいやり方を身につけたいものです。そもそも、いちごのランナー切り離しの時期はいつなのか、いちごの植え替えを地植えで行う場合の注意点、そしてイチゴは植えっぱなしでも大丈夫なのか、といった基本的な疑問も湧いてくるでしょう。さらに、具体的なイチゴの移植の仕方はどうすればいいのか、役目を終えたイチゴの親株はどうしたらいいのか、気になることはたくさんあります。この記事では、そんなあなたの悩みを一つひとつ丁寧に解決し、来年も美味しいイチゴを収穫するための完全ガイドをお届けします。
- イチゴの植え替えに最適な時期とその理由
- プランターと地植えそれぞれの正しい植え替え方法
- 植え替えで失敗しないための具体的なコツと注意点
- ランナーの扱い方や親株の処理方法
最適なイチゴの植え替え時期は秋
- イチゴは植えっぱなしでも大丈夫?
- 春の植え替えは避けるべきか
- いちごのランナー切り離しの時期はいつ?
- 植え替え後のイチゴの親株はどうしたらいい?
- 初心者でも分かるイチゴの移植の仕方は
イチゴは植えっぱなしでも大丈夫?
イチゴは多年草なので、植えっぱなしでも翌年以降も実をつけることがあります。しかし、美味しいイチゴをたくさん収穫したいのであれば、毎年植え替えることを強くおすすめします。
その理由は、同じ場所で育て続けることによる「連作障害」です。株自体も年々老化し、2〜3年も経つと生長が衰えてきます。具体的には、以下のようなデメリットが発生しやすくなります。
- 実がだんだん小さくなる
- 収穫量が減ってしまう
- 病気や害虫の被害に遭いやすくなる
このように、植えっぱなしは手軽ですが、品質と収穫量を維持するためには、毎年新しい苗に更新する作業が欠かせません。元気で美味しいイチゴを毎年楽しむために、植え替えは大切な一手間だと考えましょう。
植えっぱなしのリスク
イチゴを植えっぱなしにすると、株が老化し、土壌の栄養バランスが崩れることで連作障害が起こりやすくなります。これにより、収穫量の減少や病害虫の発生リスクが高まるため、毎年の植え替えが推奨されます。
春の植え替えは避けるべきか
結論から言うと、春の植え替えは避けるべきです。春はイチゴにとって、花を咲かせ、実を大きくするための非常に重要なエネルギーを必要とする時期です。
このタイミングで植え替えを行うと、根が傷つき、株全体に大きなストレスがかかってしまいます。その結果、以下のような問題が起こりかねません。
- 株が弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまう
- 花が咲かなくなったり、実がつかなくなったりする
- 実がついても、大きくならずに収穫量が激減する
どうしても春に植え替えなければならない事情がある場合を除き、基本的には秋まで待つのが賢明です。イチゴの生育サイクルを理解し、株に負担をかけないタイミングで作業を行うことが、成功への近道となります。
春の植え替えはハイリスク
春はイチゴの成長と結実にとって最も大切な季節です。この時期の植え替えは、株に深刻なダメージを与え、その年の収穫を棒に振る可能性があります。特別な理由がない限り、秋まで待ちましょう。
いちごのランナー切り離しの時期はいつ?
イチゴのランナーは、来年のための新しい苗(子株)を作るために利用します。ランナーは収穫が終わる6月頃から盛んに伸び始めますが、切り離すタイミングが重要です。
最適な切り離しの時期は、子株が育苗ポットにしっかりと根付いた後です。手順としては、まず親株から伸びるランナーの2番目か3番目の元気な子株を選びます。この子株を、培養土を入れた育苗ポットの上にU字ピンなどで固定します。
その後、土が乾かないように水やりを続けると、およそ10日から20日ほどで子株から新しい根が出てきて、ポットの土に活着します。ポットを軽く持ち上げようとしても、ぐらつかなくなったら根付いた証拠です。この状態になったら、親株と繋がっているランナーをハサミで切り離して独立させましょう。

植え替え後のイチゴの親株はどうしたらいい?
来年のための新しい子株を十分に確保したら、役目を終えた親株の扱いに迷うかもしれません。結論として、古い親株は処分するのが一般的です。
その理由は、親株には1年間の栽培を通じて病原菌や害虫が潜んでいる可能性が高いからです。もし、その親株を翌年も使い続けると、新しい土に植え替えても病気が発生し、新しく育てる子株にまで影響を及ぼすリスクがあります。
また、前述の通り、株自体が老化しているため、たとえ植え替えをしても良い実がなることはあまり期待できません。感謝の気持ちを込めて、新しい世代(子株)にバトンタッチし、親株は処分するようにしましょう。これにより、病気のリスクをリセットし、健全な環境で翌年の栽培をスタートできます。
初心者でも分かるイチゴの移植の仕方は
イチゴの移植は、ポイントさえ押さえれば初心者でも決して難しくありません。以下のステップに沿って、丁寧に作業を進めましょう。
1. 苗の準備
まず、夏越しさせた子株の中から、葉の色が濃く、病害虫の被害がない元気な苗を選びます。葉が黄色くなっていたり、縮れていたりする苗は避けましょう。
2. 土の準備
プランターでも地植えでも、新しい清潔な土を用意することが大切です。市販の野菜用培養土を使うのが手軽でおすすめです。元肥が含まれているものが多いですが、含まれていない場合は緩効性の化成肥料などを混ぜ込んでおきます。
3. 植え付け
植え付けで最も重要なポイントは、クラウン(株元の王冠のような部分)を土に埋めないことです。このクラウンはイチゴの成長点なので、埋めてしまうと生育が悪くなったり、病気の原因になったりします。クラウンが地面の高さにくるように「浅植え」を徹底してください。
また、イチゴはランナーが出ていた方向と反対側に実をつける性質があります。収穫しやすいように、実がなる方向を揃えて植え付けると良いでしょう。株と株の間は20〜30cmほど空けます。
4. 水やり
植え付けが終わったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。これにより、根と土が密着し、根の活着が促されます。
5. その後の管理
植え付け後は、日当たりと風通しの良い場所に置いて管理します。土の表面が乾いたら、その都度水やりをしましょう。
移植の最重要ポイントは「浅植え」
イチゴの移植で失敗する最も多い原因の一つが「深植え」です。成長点であるクラウンを絶対に土で埋めないように、株元をよく確認しながら作業しましょう。
イチゴの植え替え時期の失敗しないコツ
- 正しい植え替え やり方で成功率アップ
- プランターの植え替え時期と注意点
- いちごの地植えでの植え替え方法
- 植え替えで枯れる主な原因と対策
- 最適なイチゴの植え替え時期の総まとめ
正しい植え替え やり方で成功率アップ
イチゴの植え替えを成功させるためには、いくつかの重要なコツがあります。前述の基本的な移植方法に加えて、以下のポイントを意識することで、成功率を格段にアップさせることができます。
クラウンの向きを意識する
イチゴの苗をよく見ると、ランナーが繋がっていた跡が残っています。イチゴは、このランナーの跡と反対の方向に花房を伸ばし、実をつけます。この性質を理解し、プランターであれば手前側、畑であれば通路側に実がなるように向きを揃えて植えると、日当たりが良くなるだけでなく、収穫作業も非常に楽になります。
根鉢は崩さない
ポットから苗を取り出す際、根がびっしりと張っていることがあります。これを「根鉢」と呼びますが、基本的には無理に崩さずにそのまま植え付けましょう。根を傷つけると、その後の生育に悪影響が出ることがあります。ただし、あまりにもガチガチに固まっている場合は、底の部分を少しだけ優しくほぐす程度に留めます。
植え付け後の水やりはたっぷりと
植え付け直後の水やりは、単なる水分補給以上の意味を持ちます。たっぷりと水を与えることで、根と土の隙間がなくなり、根が新しい環境に馴染みやすくなります(活着促進)。一度しっかりと水を与えたら、その後は土の表面が乾くのを待ってから水やりをするようにし、常に土がジメジメしている状態は避けてください。



プランターの植え替え時期と注意点
ベランダなど省スペースで楽しめるプランター栽培は、家庭菜園の定番です。プランターでの植え替えも、基本的な考え方は地植えと同じです。
最適な植え替え時期
プランターの場合も、植え替えの最適な時期は秋、具体的には10月中旬から11月上旬です。この時期に植え替えることで、本格的な冬が来る前に根をしっかりと張らせ、春からの力強い成長に備えることができます。
プランター栽培での注意点
プランター栽培 3つの注意点
- プランターのサイズ: イチゴは意外と根を張ります。1株あたり、直径・深さともに20cm以上のプランターを選びましょう。一般的な65cmプランターなら、2〜3株が目安です。
- 新しい土を使う: 前年に使った土を再利用すると、病気や連作障害の原因になります。必ず新しい市販の「野菜用培養土」を使いましょう。
- 水切れに注意: プランターは地植えに比べて土が乾燥しやすいです。特に、空気が乾燥する冬場でも、土の表面が乾いていたら暖かい日の午前中に水やりを忘れないようにしてください。
また、プランターの底には必ず鉢底石を敷き、水はけを良くすることも重要です。水のやりすぎによる根腐れを防ぎ、健全な根の成長を促します。
いちごの地植えでの植え替え方法
地植えは、プランター栽培に比べて根を広く張れるため、大きくしっかりとした株に育てやすいというメリットがあります。地植えでの植え替え成功の鍵は「土作り」と「畝立て」にあります。
事前の土作りが重要
イチゴは肥料に直接根が触れると「肥料焼け」を起こしやすいデリケートな植物です。そのため、植え付けの直前に肥料を施すのは避けましょう。
- 2週間前: 1㎡あたり100g程度の苦土石灰をまいてよく耕し、土壌の酸度を調整します。
- 1週間前: 1㎡あたり堆肥2kgと、有機配合肥料や緩効性化成肥料などを規定量施し、再度よく耕します。
このように、時間をかけて事前に土作りを行うことで、肥料が土に馴染み、イチゴの根に優しい環境を作ることができます。
高畝とマルチング
土作りが終わったら、畝(うね)を作ります。イチゴは過湿を嫌うため、高さ10〜15cmほどの「高畝」にするのがポイントです。これにより、水はけが格段に良くなります。
さらに、畝の表面を黒いビニールシート(黒マルチ)で覆う「マルチング」を行うことを強く推奨します。マルチングには以下のような多くのメリットがあります。
- 地温の保持: 冬場の地温を保ち、春先の成長を促進します。
- 泥はね防止: 雨による泥はねを防ぎ、果実が汚れたり病気になったりするのを防ぎます。
- 雑草抑制: 光を遮断し、雑草が生えるのを防ぎます。
- 保湿効果: 土壌水分の蒸発を防ぎます。
これらの準備をしっかりと行うことで、地植えでのイチゴ栽培がより簡単で成功しやすくなります。
植え替えで枯れる主な原因と対策
せっかく植え替えをしても、苗が枯れてしまっては元も子もありません。失敗には必ず原因があります。よくある原因とその対策を理解し、枯れるリスクを最小限に抑えましょう。
枯れる主な原因 | 対策方法 |
---|---|
深植え | 成長点であるクラウンを土に埋めないように「浅植え」を徹底する。 |
肥料焼け | 元肥は植え付けの1〜2週間前までに土に混ぜておく。追肥は株元から少し離れた場所に施す。 |
根の乾燥・損傷 | ポットから苗を取り出したら、すぐに植え付ける。根鉢は無理に崩さず、優しく扱う。 |
水のやりすぎ(根腐れ) | 水はけの良い土を使い、プランターの底には鉢底石を敷く。土の表面が乾いてから水やりをする。 |
不適切な時期の植え替え | 株に負担の少ない秋(10月〜11月上旬)に植え替えを行う。春の植え替えは避ける。 |
病気の苗の使用 | 葉の色が良く、元気で病害虫のいない健康な子株を選んで植え付ける。 |
これらの原因は、いずれも基本的なポイントを守ることで防げるものばかりです。特に「深植え」は初心者が陥りやすい失敗なので、植え付けの際には株元を何度も確認するようにしましょう。
最適なイチゴの植え替え時期の総まとめ
- イチゴの植え替えに最適な時期は秋(10月中旬~11月上旬)
- 植えっぱなしは株が老化し収穫量が減るため推奨されない
- 春の植え替えは株に大きな負担をかけ収穫に影響するため避けるべき
- ランナーは収穫後の6月頃から伸び始める
- 苗作りに使うのは親株から2~3番目の元気な子株
- 子株がポットに根付いてからランナーを切り離す
- 役目を終えた親株は病気のリスクがあるため処分するのが基本
- 移植の最大のコツは成長点であるクラウンを埋めない「浅植え」
- イチゴはランナーと反対側に実をつけるので向きを揃えて植える
- プランター栽培では新しい野菜用培養土を使う
- プランターは乾燥しやすいため冬場も水切れに注意する
- 地植えでは高畝にして水はけを良くすることが重要
- 地植えの土作りは植え付けの2週間前から始める
- 黒マルチの利用は病気予防や雑草対策に非常に効果的
- 植え替えで枯れる主な原因は深植えや肥料焼けなど基本的なミスが多い