パンダスミレは植えてはいけない?増えすぎる理由と対策

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可愛らしい花姿で人気のパンダスミレですが、インターネットで検索するとパンダスミレを植えてはいけないという気になる言葉を目にすることがあります。その理由は、スミレの仲間が持つ特有の繁殖力に深く関係しています。日本に自生する野生スミレには多くの種類があり、その育て方も様々ですが、園芸種のパンダスミレはまた違った性質を持っています。一般的な一年草である、よく咲くスミレの地植えと同じ感覚で庭に植えてしまうと、こぼれ種とは全く異なる驚異的な増え方に後悔することになるかもしれません。では、すみれを植える場所はどこがいいですか、という根本的な疑問から、パンダスミレを植えてはいけないと言われる本当の理由、そして上手に付き合っていくための具体的な対策まで、詳しく解説していきます。

  • パンダスミレを植えてはいけないと言われる具体的な理由
  • 旺盛な繁殖力をコントロールするための管理方法
  • 地植えと鉢植え、それぞれのメリットとデメリット
  • パンダスミレを安心して楽しむための栽培ポイント
目次

パンダスミレを植えてはいけないと言われる理由

  • 旺盛すぎるスミレの繁殖力
  • 他の植物を駆逐する恐れ
  • 害虫ツマグロヒョウモンを呼ぶ
  • こぼれ種でも増えるのか?
  • 野生スミレの種類と性質
  • 野生スミレの育て方との違い

旺盛すぎるスミレの繁殖力

パンダスミレを植えてはいけないと言われる最大の理由は、その旺盛すぎる繁殖力にあります。パンダスミレは別名「ツタスミレ」や「ツルスミレ」とも呼ばれるように、地面を這うように「ランナー(匍匐茎)」と呼ばれるツルを四方八方に伸ばして増殖する性質を持っています。

このランナーが地面に接すると、その節々から根を下ろし、新しい株を次々と形成していくのです。そのため、一度庭に地植えすると、想像以上のスピードで生育範囲を広げてしまいます。特に、パンダスミレにとって生育環境が良い場所では、水やりをしなくても勝手にどんどん広がり、あっという間に庭の一角を覆い尽くしてしまうことも少なくありません。

この性質は、グランドカバーとして利用する場合にはメリットにもなり得ますが、管理の範囲を超えてしまうと、ただの厄介な雑草と化してしまう危険性をはらんでいます。

ランナーによる増殖の危険性

パンダスミレの繁殖は、主にランナーによって行われます。地下茎で増えるドクダミやミントのように根絶が困難なわけではありませんが、地上部で広がるため、気づいた時には広範囲に広がっていることが多いのが特徴です。このコントロールの難しさが、「植えてはいけない」と言われる所以なのです。

他の植物を駆逐する恐れ

前述の通り、パンダスミレはその強力な繁殖力で地面を覆い尽くすように広がります。この性質が、他の植物の生育を妨げ、最悪の場合、駆逐してしまう恐れがあるのです。

パンダスミレが密生すると、その葉が地面を覆い、他の植物に太陽の光が当たるのを遮ってしまいます。特に、背の低い草花や、これから芽を出そうとしている植物にとっては致命的です。また、土中の水分や養分もパンダスミレに奪われてしまい、競争に負けた植物は次第に弱り、枯れてしまいます。

このように、パンダスミレは雑草の発生を抑制する効果(アレロパシー効果も指摘されています)が期待できる一方で、共存させたい大切な植物までをも脅かす存在になり得るのです。様々な種類の植物を楽しみたい花壇などでは、特に注意が必要と言えるでしょう。

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様々な花が咲く賑やかな花壇を作りたい場合には、パンダスミレの地植えは不向きかもしれませんね。

害虫ツマグロヒョウモンを呼ぶ

パンダスミレを育てる上で避けて通れないのが、害虫の問題です。特に、スミレ科の植物を食草とする蝶「ツマグロヒョウモン」の幼虫による被害が深刻です。

ツマグロヒョウモンの成虫は、春から秋にかけて長期間活動し、パンダスミレの葉に卵を産み付けます。孵化した幼虫は食欲旺盛で、葉や花をものすごい勢いで食い荒らしてしまいます。幼虫は黒い体にオレンジ色の線が入り、トゲのような突起が多数ある独特の見た目をしているため、不快に感じる人も少なくありません。(ちなみに、このトゲに毒はありません。)

一度に大量発生することも多く、気づいた時にはパンダスミレがボロボロの無残な姿になっていた、ということも珍しくありません。この害虫対策の手間も、「植えてはいけない」と言われる理由の一つです。

ツマグロヒョウモンの発生時期

ツマグロヒョウモンの活動期間は長く、4月頃から11月頃まで、年に4〜5回発生します。そのため、長期間にわたる観察と対策が必要になります。蝶がひらひらと庭を飛んでいるのを見かけたら、産卵を疑い、葉の裏などをチェックする習慣をつけると良いでしょう。

こぼれ種でも増えるのか?

植物の繁殖方法として一般的な「こぼれ種」ですが、パンダスミレに関しては少し事情が異なります。結論から言うと、日本で一般的に流通しているパンダスミレは、こぼれ種ではほとんど増えません。

その理由は、日本で販売されている多くのパンダスミレが「稔性(ねんせい)がない」、つまり種子を作る能力がない、あるいは非常に低い品種であるためです。本来、パンダスミレの原種であるヴィオラ・バンクシーは種子をつけますが、日本で流通しているものは交配種である可能性が高いと言われています。

したがって、パンダスミレの増殖は、前述した「ランナー」によるものがほぼ全てです。こぼれ種で勝手に広がる心配は少ないものの、ランナーによる繁殖力がそれを補って余りあるほど強力であるため、管理が重要であることに変わりはありません。

野生スミレの種類と性質

ここで、比較対象として日本の野生スミレについて触れておきましょう。日本には60種類以上ものスミレが自生しており、それぞれ異なる性質を持っています。例えば、道端でよく見かける「タチツボスミレ」や、香りの良い「ニオイタチツボスミレ」など、その種類は多岐にわたります。

多くの野生スミレは、主に種子によって繁殖します。スミレの種子には「エライオソーム」というアリが好む物質が付着しており、アリが種子を巣に運ぶことで生育範囲を広げていきます。このように、パンダスミレがランナーで積極的に陣地を広げていくのとは、増え方が根本的に異なります。

また、野生スミレは日本の気候に適応しているため、比較的育てやすいものが多いですが、中には特定の環境でしか育たないデリケートな種類も存在します。

野生スミレの育て方との違い

パンダスミレはオーストラリア原産の外来種であり、日本の野生スミレとは育て方のポイントが異なります。野生スミレと同じ感覚で育てていると、失敗してしまう可能性があります。

最も大きな違いは、やはり繁殖方法と管理です。野生スミレは種で増えるため、意図しない場所に生えてくることはあっても、パンダスミレのように一面を覆い尽くすような広がり方は稀です。一方、パンダスミ레はランナーを伸ばして横に広がるため、定期的な剪定や区画整理が不可欠です。

また、耐暑性や耐寒性にも違いがあります。パンダスミレは高温多湿な日本の夏や、厳しい冬の寒さが苦手です。特に、土が凍結するような寒冷地では地植えでの冬越しは難しいでしょう。この点も、日本の気候に適応した多くの野生スミレとは異なる注意点です。

それでもパンダスミレを植えてはいけないか?

  • すみれを植える場所はどこがいいですか
  • よく咲くスミレの地植えでの注意点
  • 鉢植えやプランターで管理する
  • 夏越しと冬越しのポイント
  • まとめ:パンダスミレは植えてはいけない

すみれを植える場所はどこがいいですか

パンダスミレの特性を理解した上で、上手に育てるためには「植える場所」が非常に重要になります。パンダスミレは、夏の強い直射日光が苦手で、比較的涼しい半日陰の環境を好みます。

具体的には、以下のような場所が適しています。

  • 午前中だけ日が当たるような場所
  • 落葉樹の木陰など、木漏れ日が差す場所
  • 建物の東側や北側の壁沿い

このような場所は、夏の強い日差しを避けられるだけでなく、西日による急激な温度上昇も防げます。また、風通しの良い場所を選ぶことで、夏の高温多湿による蒸れを防ぎ、病気のリスクを軽減することができます。

逆に、一日中直射日光が当たる南向きの場所や、西日が強く当たる場所は、葉焼けを起こしたり、株が弱ったりする原因になるため避けるべきです。冬の寒さを考慮すると、霜や寒風を避けられる軒下なども理想的な場所と言えるでしょう。

よく咲くスミレの地植えでの注意点

「よく咲くスミレ」は一年草のパンジー・ビオラの園芸品種を指すことが多いですが、ここでは多年草であるパンダスミレを地植えする際の注意点として解説します。もしパンダスミレを地植えで楽しみたいのであれば、その旺盛な繁殖力をコントロールするための対策が必須です。

最も効果的な方法は、物理的に生育範囲を制限することです。

地植えでの管理方法

  1. 区画を区切る: レンガやブロック、市販の根止めシート(エッジング材)などを使って、パンダスミレを植えるスペースを明確に区切ります。シートは地上部だけでなく、地中にも10cmほど埋めるとより効果的です。
  2. 定期的なランナーの剪定: 区画から飛び出して伸びていくランナーを見つけ次第、こまめに切り戻します。放置すると、そこからまた根付いてしまうため、早めの対処が肝心です。
  3. 他の植物との距離を保つ: 大切にしたい他の植物の近くには植えないようにしましょう。最低でも50cm以上は離して植えるのが賢明です。

これらの対策を講じることで、地植えでもパンダスミレの美しいグランドカバーを楽しむことが可能になります。ただし、定期的なメンテナンスを怠ると手に負えなくなるというリスクは常に念頭に置いておく必要があります。

鉢植えやプランターで管理する

パンダスミレの繁殖力を最も安全にコントロールし、その可愛らしさを楽しむ方法は、鉢植えやプランターで育てることです。この方法であれば、ランナーが地面に接して広がる心配がありません。

ハンギングバスケットに植えて、垂れ下がるように育てるのも非常に人気があります。白い鉢やバスケットに植えると、パンダスミレの清楚な花姿が一層引き立ちます。

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管理方法 メリット デメリット・注意点
地植え ・グランドカバーとして広範囲を覆える
・水やりの手間が少ない
・繁殖力が強く、管理が大変
・他の植物を駆逐する恐れ
・夏越し、冬越しの場所移動ができない
鉢植え・プランター ・繁殖のコントロールが容易
・季節に応じて最適な場所に移動できる
・病害虫の管理がしやすい
・水切れしやすい(特に夏場)
・根詰まりしやすいため、1〜2年に一度の植え替えが必要

鉢植えで管理する場合、根の張りが早いため、1〜2年に一度は一回り大きな鉢に植え替える必要があります。植え替えの適期は、真夏と真冬を除いた春か秋です。この時に株分けをして増やすこともできます。

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初めてパンダスミレを育てる方は、まず鉢植えからスタートするのが圧倒的におすすめです!

夏越しと冬越しのポイント

パンダスミレを長く楽しむためには、苦手な季節である「夏」と「冬」を無事に乗り越えさせることが重要です。

夏の管理(夏越し)

パンダスミレは高温多湿が非常に苦手です。日本の梅雨から夏にかけては、株が蒸れて弱りやすい時期です。

  • 場所: 風通しの良い半日陰や明るい日陰に移動させます。地植えの場合は、寒冷紗などで遮光してあげると良いでしょう。
  • 水やり: 過湿にならないよう、土の表面が乾いてから与えるようにし、やや乾燥気味に管理します。
  • 手入れ: 枯れた葉や花がらはこまめに取り除き、株の風通しを良くして蒸れを防ぎます。

冬の管理(冬越し)

耐寒性はマイナス3℃程度と、一般的なビオラなどと比べると寒さに弱いです。特に土が凍結すると根が傷んで枯れてしまいます。

  • 場所: 霜や寒風が当たらない軒下や、室内の明るい窓辺などに取り込みます。
  • 水やり: 冬は生育が緩やかになるため、水やりの回数を減らします。土が乾いてから数日経って与えるくらいで十分です。
  • 対策: 地植えで冬越しに挑戦する場合は、株元に腐葉土やバークチップでマルチングを施し、地面の凍結を防ぎます。

鉢植え管理のメリット

夏は涼しい日陰へ、冬は暖かい軒下へ、と季節に応じて最適な場所に移動できるのが鉢植え管理の最大のメリットです。このひと手間で、夏越し・冬越しの成功率が格段に上がります。

まとめ:パンダスミレは植えてはいけない

最後に、この記事の要点をまとめます。「パンダスミレは植えてはいけない」という言葉は、その特性を理解せずに地植えした場合のリスクを警告するものです。特徴と正しい管理方法を知れば、十分に楽しむことができる魅力的な植物です。

  • パンダスミレを植えてはいけない一番の理由は旺盛すぎる繁殖力
  • ランナー(匍匐茎)を伸ばして地面を覆い尽くすように増える
  • 地植えにすると他の植物の生育を妨げ、駆逐する恐れがある
  • スミレ科を好む害虫「ツマグロヒョウモン」の幼虫が発生しやすい
  • こぼれ種ではほとんど増えず、主にランナーで繁殖する
  • 日本の野生スミレとは増え方や性質が異なる外来種である
  • 高温多湿な夏と、土が凍るような冬の寒さが苦手
  • 上手に育てるには、半日陰で風通しの良い場所が最適
  • 地植えにする場合は、レンガや根止めシートで区画整理が必須
  • 区画から伸びるランナーはこまめに剪定する必要がある
  • 最も安全で推奨される育て方は、鉢植えやプランターでの管理
  • 鉢植えなら季節に応じて最適な場所に移動でき、夏越し・冬越しが容易
  • 根詰まりを防ぐため、1〜2年に一度の植え替えが必要
  • その特性と管理の手間を理解した上で栽培を判断することが重要
  • 初心者の方は、まず鉢植えから育てるのがおすすめ
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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