庭に桜の木を植えてはいけない?理由と対策を専門家が解説

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春の訪れを告げる桜は、多くの日本人にとって特別な存在です。しかし、自宅の庭に桜を植えたいと考えたとき、「桜の木 庭に植えてはいけない」という言葉を耳にしたことはありませんか。桜を植えたらダメな理由には、実は迷信だけでなく現実的な問題が隠されています。人気のしだれ桜 庭に植えてはいけない、あるいは早咲きの河津桜 庭に植えてはいけないといった話も同様の背景があるのです。では、本当に庭で桜を楽しむことはできないのでしょうか。この記事では、庭に桜の木を植えることと風水の関係から、大きくならない桜の木や桜の木 鉢植えでの楽しみ方まで、庭に植えても良い桜の種類は存在するのか、専門家の視点で徹底的に解説します。

  • 桜を庭に植えてはいけないと言われる現実的な理由
  • 桜の成長が建物や近隣に与える具体的な影響
  • 庭でも安全に育てられる桜の品種選びのコツ
  • 鉢植えなどを活用して桜を賢く楽しむ方法
目次

桜の木を庭に植えてはいけないと言われる背景

  • 桜を植えたらダメな理由の現実的な側面
  • 庭に桜の木を植えるのは風水では凶?
  • 成長による建物や近隣への影響
  • 毛虫の発生と落ち葉清掃の手間
  • 人気のしだれ桜も庭に植えてはいけない?
  • 早咲きの河津桜は庭に植えてはいけない?

桜を植えたらダメな理由の現実的な側面

「庭に桜を植えてはいけない」という言い伝えには、単なる迷信ではない、非常に現実的で切実な理由がいくつも存在します。桜、特に代表的な品種であるソメイヨシノは、私たちが公園などで見慣れている通り、非常に大きく成長する樹木です。そのため、一般的な広さの庭に植えてしまうと、将来的に様々な問題を引き起こす可能性が高くなります。

主な理由としては、成長の速さと大きさ、根の広がり、病害虫の問題、そして落ち葉の管理などが挙げられます。購入した当初は小さな苗木でも、数年後には想像以上に大きくなり、庭のスペースを圧迫してしまうことは少なくありません。言ってしまえば、美しい花を楽しめる期間は一年のうちのほんのわずかですが、それ以外の期間に発生する管理の手間が、桜を安易に庭へ植えることを難しくしているのです。

もちろん、これらの問題を理解し、適切な対策を講じることで、庭で桜を育てることは不可能ではありません。しかし、そのためには桜の生態をよく知り、長期的な視点で計画を立てることが不可欠です。この後の見出しで、それぞれの理由についてより詳しく掘り下げていきます。

桜の庭植えで後悔する主な理由

  • 想像以上に木が大きくなり、庭が手狭になる
  • 根が建物の基礎や配管を傷つける恐れがある
  • 毛虫などの害虫が発生しやすく、消毒が大変
  • 春の花びらや秋の落ち葉の掃除が大きな負担になる
  • 剪定が難しく、下手に切ると木が弱ってしまう

庭に桜の木を植えるのは風水では凶?

庭に桜の木を植えることについて、風水の観点から「縁起が悪い」「凶相である」といった話を聞いたことがあるかもしれません。これは、桜の花が持つ「儚さ」や「散り際の潔さ」が、「命の短さ」や「家の衰退」を連想させるという考えに基づいています。特に、武士の時代には「散る」という言葉が死を意味することから、庭に桜を植えることは忌み嫌われていたという歴史的背景もあるようです。

しかし、現代の風水において、桜の木そのものが直接的に凶運を招くと断定されることは稀です。むしろ、これらの言い伝えは、前述したような現実的なデメリットを、昔の人が生活の知恵として「縁起が悪い」という言葉で伝えてきた側面が強いと考えられます。

例えば、「家が傾く」という言い伝えは、桜の根が広く張ることで建物の基礎に影響を与える可能性を示唆しています。また、「病人が出る」というのは、毛虫などの害虫が発生しやすい衛生的な問題を指していると解釈できます。このように考えると、風水で凶とされる理由は、桜の植物としての特性に起因する現実的なリスクを比喩的に表現したものと言えるでしょう。

風水の解釈と現実問題の関連

風水で言われる「凶」の多くは、科学的根拠のない迷信ではなく、その土地で快適かつ安全に暮らすための経験則や知恵が元になっています。桜の場合も、その美しい見た目の裏にある管理の難しさや潜在的なリスクを、先人たちが後世に伝えようとした結果と考えるのが自然です。したがって、風水を過度に恐れるよりも、現実的な問題に目を向け、それらを解決できるかを考えることが重要です。

成長による建物や近隣への影響

桜の木を庭に植える際に最も注意すべき点の一つが、その驚異的な成長スピードと最終的な大きさです。代表的なソメイヨシノの場合、成長が早いと5年で高さ4m、10年もすれば10mを超える大木になることも珍しくありません。こうなると、個人の庭の範囲を大きく超えてしまう可能性があります。

具体的には、以下のような影響が考えられます。

建物への直接的な影響

桜の根は、地中深くに伸びるというよりは、地表近くを水平に広く張る性質があります。この根が、家の基礎部分にまで達すると、コンクリートを持ち上げたり、ひび割れさせたりする原因になりかねません。また、水道管やガス管などの地中埋設管を破損させるリスクもゼロではありません。これを防ぐためには、建物から最低でも5m以上、できれば10m近く離して植える必要があります。

近隣への影響

大きく育った枝は、隣家の敷地や道路に越境してしまいます。これにより、隣家の日当たりを遮ったり、落ち葉や花びらが隣人の迷惑になったりと、ご近所トラブルに発展するケースが後を絶ちません。道路にはみ出した枝は、通行の妨げになったり、電線に引っかかったりする危険性も生じます。法律上、隣家にはみ出した枝は勝手に切ってもらうことはできず、こちらで剪定する義務が生じるため、管理責任は非常に重いものとなります。

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私の場合、お客様から「最初は良かったんだけど、大きくなりすぎて手に負えなくなった」というご相談を本当によく受けます。大きくなってからの伐採や剪定は高額な費用がかかるため、植える前の計画がいかに重要かを痛感しますね。

毛虫の発生と落ち葉清掃の手間

桜の美しい花の季節が終わると、次にやってくるのが悩ましい害虫と清掃の問題です。これらは桜を庭で管理する上で避けては通れない、非常に大きな負担となります。

毛虫をはじめとする害虫の発生

桜の木は、残念ながら多くの害虫にとって格好の住処となります。特に有名なのが、「アメリカシロヒトリ」や「モンクロシャチホコ」といった毛虫(毒蛾)です。これらの毛虫は、葉桜の季節になると大量に発生し、葉を食い荒らしてしまいます。見た目の不快感はもちろんですが、毒を持つ毛虫に刺されると皮膚炎を引き起こすなど、健康被害のリスクも伴います。

木が小さいうちは自分で殺虫剤を散布することも可能ですが、高木になると専門業者に依頼する必要があり、定期的な費用が発生します。この害虫対策を怠ると、庭で安心して過ごすことすら難しくなってしまうでしょう。

花びらと落ち葉の清掃

春の満開の時期は美しいですが、花が散り始めると大量の花びらが地面を覆い尽くします。これが自宅の庭だけならまだしも、風に乗って近隣の敷地や道路にまで飛んでいくため、毎日のように掃除が必要になります。さらに、秋には大量の落ち葉が待っています。落葉樹である桜は、秋の終わりには全ての葉を落とすため、その量は相当なものです。雨樋を詰まらせる原因にもなり、これもまたご近所トラブルの火種になりやすい問題です。

管理の手間を甘く見ないこと

「毛虫くらい」「落ち葉掃除くらい」と軽く考えていると、後で必ず後悔します。特に、共働きのご家庭や高齢者世帯では、これらの管理作業が想像以上の重労働となり、せっかく植えた桜がストレスの原因になってしまうことも少なくありません。植える前に、これらの手間を毎年継続して行えるか、家族でよく相談することが大切です。

人気のしだれ桜も庭に植えてはいけない?

優雅に枝を垂らす姿が美しい「しだれ桜」は、庭のシンボルツリーとして非常に人気があります。しかし、「しだれ桜なら大丈夫だろう」と安易に考えるのは早計です。実は、しだれ桜も庭に植える際には同様の注意が必要になります。

しだれ桜は、ソメイヨシノのように上へ上へと高く伸びる性質は弱いものの、枝が横に大きく広がる特徴があります。品種にもよりますが、有名な「ヤエベニシダレ」などは、最終的に樹高5m以上、枝張りも5m以上になることがあり、かなりのスペースを必要とします。枝が垂れ下がる分、低い位置で空間を占有するため、庭が狭く感じられたり、通路を塞いでしまったりすることもあります。

また、根の張り方や、害虫がつきやすい、落ち葉が多いといった基本的な性質は他の桜と変わりません。むしろ、枝が密集している分、風通しが悪くなりがちで、病害虫が発生しやすい環境とも言えます。剪定も独特の樹形を維持するために専門的な知識が求められます。

このように考えると、しだれ桜も「庭に植えてはいけない」と言われる桜の一種であり、植えるのであれば、その特性を十分に理解し、十分なスペースを確保した上で、適切な管理を行う覚悟が必要です。

早咲きの河津桜は庭に植えてはいけない?

濃いピンク色の花を2月下旬から咲かせる「河津桜」は、一足早く春の訪れを感じさせてくれる人気の品種です。ソメイヨシノよりも開花期間が長いという魅力もあります。では、この河津桜は庭木に向いているのでしょうか。

結論から言うと、河津桜も他の桜と同様に、庭植えには慎重な判断が必要です。河津桜は、ソメイヨシノほど巨大化はしないものの、それでも樹高は5m~10m程度にまで成長します。成長スピードも比較的早く、横にも広がるため、やはり狭い庭には不向きと言わざるを得ません。

もちろん、害虫や落ち葉の問題も同様に発生します。特に、早春に花を咲かせるため、鳥が蜜を吸いに集まりやすく、そのフン害に悩まされるという声も聞かれます。剪定に関しても、桜の基本的な性質として、太い枝を切るとそこから腐りやすいという弱点を持っているため、適切な時期に正しい方法で行う必要があります。

言ってしまえば、「早咲きだから」「花の色が濃いから」といった理由だけで安易に選ぶべきではありません。河津桜を庭で楽しみたいのであれば、後述する「大きくならない品種」を選ぶか、「鉢植え」で管理するなど、成長をコントロールできる方法を検討するのが賢明です。

桜を庭で楽しむ知識と「桜の木 庭に植えてはいけない」の対策

  • 庭に植えても良い桜の種類は存在する
  • 大きくならない桜の木を選ぶのがコツ
  • 桜の木を鉢植えで安全に楽しむ方法
  • まとめ:桜の木を庭に植えてはいけないと言われる理由

庭に植えても良い桜の種類は存在する

これまで桜の庭植えに関する多くのデメリットをお伝えしてきましたが、「それでも、どうしても庭で桜を育てたい」と考える方も多いでしょう。ご安心ください。すべての桜が庭植えに不向きなわけではありません。重要なのは、品種の特性を理解し、自分の庭の環境に合ったものを選ぶことです。

世の中には600種類以上もの桜の品種があると言われており、その中には、比較的コンパクトに育ち、個人の庭でも管理しやすい種類が確かに存在します。これらの品種を選べば、「桜の木を庭に植えてはいけない」と言われる様々なリスクを大幅に軽減することが可能です。

庭に植えても良い桜を選ぶ際のポイントは、主に以下の3つです。

庭植え向きの桜を選ぶ3つのポイント

  1. 最終的な樹高が低いこと(低木性):最大でも3m~5m程度に収まる品種を選ぶ。
  2. 成長が比較的緩やかであること:急激に大きくなる品種は避ける。
  3. 病害虫に比較的強い耐性があること:管理の手間を減らすために重要。

これらの条件を満たす品種であれば、適切な管理を行うことで、美しい花を咲かせ、シンボルツリーとして長く楽しむことができます。次の見出しでは、具体的なおすすめの品種をご紹介します。

大きくならない桜の木を選ぶのがコツ

桜を庭で楽しむ最大のコツは、「大きくならない桜の木」、つまり矮性(わいせい)や低木性の品種を選ぶことです。ここでは、比較的コンパクトに育ち、一般家庭の庭でも管理しやすいとされている代表的な桜の品種をいくつかご紹介します。

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これらの品種は、ホームセンターや園芸店のほか、オンラインショップでも購入できます。購入する際は、必ず最大樹高や特徴を確認してくださいね。

これらの品種は、ソメイヨシノのようなダイナミックさはありませんが、間近で花の美しさを堪能できるという大きなメリットがあります。自分の庭の広さや、どのような雰囲気の庭にしたいかを考えながら、最適な一本を選んでみてください。

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品種名 最大樹高の目安 特徴 開花時期
旭山桜(アサヒヤマザクラ) 2m~3m 「一才桜」とも呼ばれ、若木のうちから花を咲かせる。八重咲きで花付きが非常に良い。鉢植えにも最適。 4月中旬
オカメザクラ 3m~5m 濃いピンク色の一重咲き。成長はやや早いが、比較的コンパクトにまとまる。早咲きで人気が高い。 3月上旬~中旬
ニワザクラ 1m~2m 樹高が低く、まさに「庭桜」。八重咲きで可愛らしい花を咲かせる。株立ち状に育つ。 3月下旬~4月
マメザクラ(富士桜) 3m~5m 富士山や箱根周辺に自生する原種。小さく可憐な一重の花をうつむき加減に咲かせる。丈夫で育てやすい。 3月下旬~5月上旬
フユザクラ(冬桜) 5m前後 秋から冬(10月~12月頃)と春の二季咲き。花は小ぶりな一重。落葉期に咲く花は風情がある。 10月~12月、4月

桜の木を鉢植えで安全に楽しむ方法

「庭に植えるスペースはないけれど、どうしても桜を育てたい」「将来の管理が不安」という方に最もおすすめなのが、桜の木を鉢植えで楽しむ方法です。鉢植えであれば、これまで述べてきた庭植えのデメリットのほとんどを解決することができます。

桜を鉢植えで育てるメリット

  • 成長をコントロールできる:鉢の大きさで根の広がりを制限し、木の大きさをコンパクトに保てます。
  • 置き場所を自由に移動できる:日当たりの良い場所に動かしたり、台風の時に室内に避難させたりできます。
  • 管理がしやすい:目線に近い高さで管理できるため、水やりや病害虫の発見が容易になります。
  • 根による建物への影響がない:家の基礎や配管を傷つける心配が一切ありません。

鉢植えに向いているのは、前述した「旭山桜」のような、もともとコンパクトな性質を持つ品種です。これらの品種を使い、「盆栽」として仕立てるのも非常に人気があります。

鉢植えでの育て方の基本

桜を鉢植えで育てる際の基本的なポイントは以下の通りです。

  • 置き場所:一年を通して、日当たりと風通しの良い屋外で管理します。夏場の強い西日は避けましょう。
  • 水やり:土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。特に夏場は水切れに注意が必要です。
  • 肥料:花が終わった後のお礼肥と、冬の寒肥を与えます。
  • 植え替え:2~3年に一度、根詰まりを防ぐために一回り大きな鉢に植え替えます。

このように、鉢植えは庭植えに比べて手軽に、そして安全に桜を楽しむことができる非常に有効な選択肢です。ベランダや玄関先で、自分だけの桜を咲かせてみてはいかがでしょうか。

まとめ:桜の木を庭に植えてはいけないと言われる理由

この記事では、なぜ「桜の木を庭に植えてはいけない」と言われるのか、その背景にある現実的な理由から、風水的な解釈、そして庭で安全に桜を楽しむための具体的な対策までを詳しく解説しました。

  • 「桜の木を庭に植えてはいけない」という言葉には現実的な理由がある
  • 桜は成長が早く、5年から10年で庭のスペースを圧迫する大木になる可能性がある
  • 根が地表近くを広く張るため、建物の基礎や地中配管を破損するリスクがある
  • 大きく育った枝が隣家や道路に越境し、日照問題や落ち葉で近隣トラブルの原因になりやすい
  • 春の花びらや秋の大量の落ち葉の清掃は、毎年続く大きな負担となる
  • アメリカシロヒトリなどの毛虫(毒蛾)が発生しやすく、消毒の手間や健康被害のリスクを伴う
  • 桜は剪定に弱い木で、太い枝を切ると切り口から腐りやすく、専門的な知識が必要
  • 風水で凶とされるのは、これらの現実的なリスクを生活の知恵として伝えた側面が強い
  • 人気のしだれ桜や河津桜も、同様に大きくなるため安易な庭植えは推奨されない
  • 対策として、庭の広さに合った「大きくならない桜」の品種を選ぶことが最も重要
  • 旭山桜、オカメザクラ、ニワザクラなどは比較的コンパクトで庭植えに向いている
  • 庭植えのリスクを根本的に回避できる「鉢植え」での栽培は非常に有効な選択肢
  • 鉢植えなら成長をコントロールでき、置き場所も自由で、管理がしやすい
  • 桜を庭に植える際は、その場限りの美しさだけでなく、数十年先を見据えた長期的な管理計画が不可欠
  • 安易に植えて後悔する前に、専門家や園芸店に相談し、自宅の環境に最適な方法を選ぶべき
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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