爽やかな香りが魅力のレモングラスですが、「レモングラスを植えてはいけない」という言葉を見かけて、栽培をためらっていませんか?確かに、何も知らずに植えっぱなしにすると後悔するかもしれません。この記事では、ダイソーなどで手に入る種からの育成や、苗を使った栽培で失敗しないためのポイントを解説します。地植えと鉢植えそれぞれのメリット・デメリットから、多くの方が悩む冬越しの問題、「冬枯れしますか?」という疑問にもお答えし、元気なレモングラスを育てるための秘訣をお伝えします。
- レモングラスを植えてはいけないと言われる本当の理由
- 鉢植えや地植えでの正しい栽培方法
- 冬越しや冬枯れの具体的な対策
- 大きくなりすぎないための剪定や株分けのコツ
レモングラスを植えてはいけないと言われる主な理由
- 想像以上に大きくなる成長スピード
- 地植えだと植えっぱなしにできない?
- 冬枯れしますか?関東以北の冬越し
- 害虫は本当に寄ってこないのか
想像以上に大きくなる成長スピード
レモングラスを植えてはいけないと言われる最大の理由は、その想像以上の成長スピードと最終的な大きさにあります。
購入したばかりのかわいらしい苗からは想像もつかないかもしれませんが、レモングラスは暖かい季節になると驚くほどの勢いで成長します。条件が良ければ草丈は1mを優に超え、大きいものでは2m近くにまで達することも珍しくありません。
このように言うと、どれだけ大きくなるか想像できるかと思います。ススキのように細長い葉が四方八方に広がり、株の直径も大きくなるため、狭いスペースに植えてしまうと、あっという間に他の植物の生育スペースを奪ったり、日当たりを悪くしたりする原因になります。
スペースの確保が必須
レモングラスを地植えする場合は、最低でも株間を50cm以上は確保し、最終的に高さ2m、幅1m程度に成長しても問題ない場所を選ぶ必要があります。計画なしに植えると、後から管理が大変になるため注意が必要です。

地植えだと植えっぱなしにできない?
「植えっぱなしで手軽に育てたい」と考える方は多いかもしれませんが、これもレモングラスを植えてはいけないと言われる一因です。
レモングラスは熱帯性の植物であり、日本の冬の寒さが非常に苦手です。特に霜が降りるような環境では、対策なしに地植えで植えっぱなしにしていると、冬を越せずに枯れてしまう可能性が非常に高いのです。
そのため、多年草として何年も楽しみたいのであれば、冬越しのために何らかの手間をかける必要があります。この「植えっぱなしにできない」という点が、手軽なハーブを求めている方にとってはデメリットに感じられるでしょう。
一方、鉢植えであれば、冬場は室内に取り込むだけで簡単に冬越しが可能です。このため、多くの専門家や経験者は、特に寒冷地での栽培において鉢植えを推奨しています。
冬枯れしますか?関東以北の冬越し
「レモングラスは冬枯れしますか?」という質問は、特に寒い地域にお住まいの方から多く寄せられます。
結論から言うと、適切な対策をしなければ、関東以北の多くの地域で冬枯れします。レモングラスの耐寒温度は5℃程度とされており、これを下回る環境が続くと地上部は枯れ、根もダメージを受けてしまいます。
地植えで冬越しに挑戦する場合、以下のような対策が必要です。
地植えでの冬越し対策
- 刈り込み:秋の終わりごろ、気温が下がり始めたら、株元から10cm~20cmほどの高さで葉をばっさりと刈り込みます。
- マルチング:刈り込んだ株元を、ワラや腐葉土、もみ殻などで厚く覆い(マルチング)、霜や凍結から根を守ります。
しかし、これらの対策を施しても、厳しい寒さが続く地域では冬越しに失敗することもあります。そのため、最も確実な方法は、秋になったら株を掘り上げて鉢植えにし、室内の日当たりの良い暖かい場所で管理することです。



害虫は本当に寄ってこないのか
レモングラスはその強い香りの成分「シトラール」によって、蚊やハエ、ゴキブリなどの一部の虫を遠ざける効果があるとされ、「虫除けハーブ」として知られています。
このため、「害虫の心配がなくて楽だ」と思われがちですが、残念ながら全ての害虫に効果があるわけではありません。
実際には、レモングラスにも害虫がつくことがあります。特に注意したいのが以下の害虫です。
害虫の種類 | 発生しやすい環境 |
---|---|
ハダニ | 高温で乾燥した環境(特に梅雨明け後) |
アブラムシ | 風通しの悪い場所 |
ナメクジやヨトウムシ | 湿気が多く、葉が茂っている場所 |
これらの理由から、「虫除けになるから」という理由だけでレモングラスを植えるのは避けた方が良いでしょう。もちろん、他の植物に比べれば害虫被害は少ない傾向にありますが、「全く虫がつかないわけではない」という点は理解しておく必要があります。
「レモングラス植えてはいけない」を回避する栽培のコツ
- レモングラスの栽培は苗からが基本
- ダイソーの種からの育成は可能か
- 鉢植えでコンパクトに管理する方法
- 地植えする場合のスペースと場所選び
- 収穫を兼ねた剪定で大きさを調整
- 株分けでの増やし方と注意点
レモングラスの栽培は苗からが基本
レモングラスの栽培を始める際、最も手軽で成功率が高い方法は苗を購入して植え付けることです。
その理由は、レモングラスの種は非常に小さく、発芽に適した温度(20℃~25℃)を維持する必要があるなど、種からの栽培は初心者にとって少し難易度が高いからです。発芽率もそれほど高くないため、たくさんの種をまいても、うまく育つのは一部だけということも少なくありません。
一方、園芸店やホームセンターで販売されている苗は、ある程度成長して丈夫になっているため、植え付け後の管理が非常に楽です。
良い苗の選び方
- 葉の色が鮮やかな緑色をしている
- 根元がぐらつかず、しっかりと安定している
- ひょろひょろと伸びすぎていない、がっしりとした株
特に初めてレモングラスを育てる方は、まずは元気な苗を一つ購入し、その成長の様子を観察しながら栽培に慣れていくことを強くおすすめします。
ダイソーの種からの育成は可能か
最近では、ダイソーなどの100円ショップでもレモングラスの種が販売されており、手軽に挑戦できる機会が増えました。
結論から言えば、ダイソーの種からでもレモングラスを育成することは可能です。しかし、前述の通り、種からの栽培にはいくつかのハードルがあることを理解しておく必要があります。
種から育てる際の注意点
- 時期を守る:種まきの適期は、気温が安定して暖かくなる4月~6月です。
- 温度管理:発芽には20℃以上の温度が必要です。寒い時期は室内で育苗ポットなどを使って管理しましょう。
- 水やり:種が流れてしまわないよう、霧吹きなどで優しく水やりをします。
- 発芽率:全ての種が発芽するとは限らないため、少し多めにまいておくと安心です。
もし挑戦する場合は、失敗も覚悟の上で、育苗ポットに数粒ずつまき、暖かい場所で管理することから始めてみましょう。小さな種から芽が出て、少しずつ成長していく過程を観察できるのは、種から育てるならではの醍醐味と言えるでしょう。
鉢植えでコンパクトに管理する方法
「植えてはいけない」と言われる理由の多くは、鉢植えで栽培することによって解決できます。鉢植えは、レモングラスをコンパクトに、そして手軽に楽しむための最もおすすめな方法です。
鉢植えのメリット
鉢植えには、地植えにはない多くのメリットがあります。
- 大きさの制御:鉢の大きさに合わせて根の広がりが制限されるため、地植えのように巨大化するのを防げます。
- 移動が容易:日当たりの良い場所へ移動したり、台風の際に軒下に避難させたりすることが簡単です。
- 冬越しが簡単:寒くなったら鉢ごと室内に取り込むだけで、簡単に冬越しができます。
鉢植え栽培のポイント
鉢植えで元気に育てるためには、いくつかのポイントがあります。
鉢の選び方
レモングラスは根を深く張るため、7号~10号程度の深さのある鉢を選びましょう。
用土
水はけの良い土を好みます。市販の「ハーブ用の培養土」を使えば間違いありません。
水やり
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。ただし、受け皿に溜まった水は根腐れの原因になるため、必ず捨ててください。
肥料
生育期の5月~10月の間は、月に1回程度、液体肥料を与えると元気に育ちます。



地植えする場合のスペースと場所選び
レモングラスを地植えでダイナミックに育てたい場合は、その成長力に見合った場所選びが成功のカギとなります。
場所選びの条件
レモングラスが好むのは、以下のような環境です。
- 日当たり:日光を非常に好みます。1日中よく日が当たる場所を選びましょう。
- 風通し:葉が密集すると蒸れて病気の原因になります。風通しの良い場所が適しています。
- 水はけ:過湿を嫌うため、水はけの良い土壌が理想です。水たまりができるような場所は避けましょう。
スペースの確保
前述の通り、レモングラスは非常に大きく成長します。植え付けの際は、他の植物との間隔を最低でも50cm以上、できれば1m程度空けるようにしましょう。建物の壁際や通路のすぐそばに植えると、成長した葉が邪魔になる可能性があるので注意が必要です。
土壌の準備
日本の土壌は酸性に傾きがちですが、レモングラスは中性~弱アルカリ性を好みます。植え付けの2週間ほど前に、苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておくと生育が良くなります。また、堆肥や腐葉土をすき込んでおくと、水はけと保水性が向上します。
これらの条件を満たす場所を確保できるのであれば、地植えでも元気に育てることが可能です。大きく育ったレモングラスの株は、庭のシンボルツリーならぬ「シンボルハーブ」として、見事な景観を作り出してくれます。
収穫を兼ねた剪定で大きさを調整
レモングラスが大きくなりすぎる問題は、定期的な収穫(剪定)によってコントロールすることができます。むしろ、積極的に収穫することが、株を健康に保ち、大きさを管理する上で最も重要な作業となります。
収穫のタイミングと方法
収穫の適期は、葉が十分に茂る6月~10月頃です。特に夏場は生育旺盛なので、どんどん収穫して活用しましょう。
- タイミング:草丈が30cm以上に伸び、葉の枚数が15枚以上になったら収穫のサインです。
- 収穫する場所:株の外側の古い葉から順に収穫します。内側から新しい葉が次々と出てくるため、外側から使うのが基本です。
- 切り方:株元から5cm~10cm程度の高さを残して、ハサミで刈り取ります。思い切って刈り込んでも、生育期であればすぐに新しい葉が伸びてきます。
このように、ハーブティーやお料理に使うために葉を収穫する行為そのものが、風通しを良くし、株の大きさを抑える剪定作業になります。使い切れないほど収穫できた場合は、乾燥させて保存したり、お風呂に入れてハーバルバスとして楽しむのもおすすめです。



株分けでの増やし方と注意点
レモングラスは日本の気候では花が咲きにくく、種を収穫するのが難しいため、「株分け」で増やすのが一般的です。
鉢植えが窮屈になってきたり、地植えの株が大きくなりすぎたりした際に、株分けを行うことで株をリフレッシュさせ、同時に数を増やすことができます。
株分けの時期と手順
株分けの適期は、気温が高く生育が旺盛な5月~9月頃です。
- 株を掘り上げる:鉢植えの場合は鉢から抜き、地植えの場合は根を傷つけないように注意しながら、スコップで株全体を掘り上げます。
- 土を落とす:根についた古い土を優しく落とします。
- 株を分ける:ハサミや清潔なナイフを使い、1株に茎が3~4本つくように切り分けます。この時、それぞれの株にしっかりと根がついていることを確認してください。
- 植え付け:分けた株を、それぞれ新しい鉢や別の場所に植え付けます。
- 水やり:植え付け後は、根付くまでの間、水をたっぷりと与えます。
株分けの注意点
株分けは植物にとって負担のかかる作業です。作業は手早く行い、根が乾燥しないように注意しましょう。また、株分け直後は直射日光を避け、半日陰で管理すると回復が早まります。
増えすぎたレモングラスは、この方法で友人におすそ分けするのも良いでしょう。
まとめ:レモングラスを植えてはいけないケースとは
最後に、この記事の要点をまとめます。レモングラスを植えてはいけないと言われるのは、その特性を理解せずに栽培を始めてしまうケースです。
- レモングラスを植えてはいけないと言われる最大の理由は、想像以上に大きく育つため
- 草丈は1mから、時には2m近くまで成長する
- 地植えの場合、十分なスペース(株間50cm以上)がないと後悔する
- 熱帯性の植物で寒さに弱く、関東以北では地植えでの冬越しが難しい
- 植えっぱなしにするなら、冬に枯れることを覚悟する必要がある
- 冬越しさせるには、マルチングや鉢上げして室内管理などの手間がかかる
- 虫除け効果はあるが万能ではなく、ハダニやアブラムシがつくこともある
- 栽培を始めるなら、成功率の高い「苗」からのスタートが基本
- ダイソーの種からでも育成可能だが、温度管理などが必要で難易度は高め
- 「植えてはいけない」を回避する最も簡単な方法は「鉢植え」での栽培
- 鉢植えなら大きさの管理、移動、冬越しが非常に楽になる
- 地植えするなら、日当たり・風通し・水はけの良い場所を選ぶことが重要
- 大きくなりすぎる問題は、収穫を兼ねた定期的な剪定で解決できる
- 株の外側の葉から、株元5~10cmを残して刈り取るのがコツ
- 株が大きくなったら「株分け」でリフレッシュさせ、増やすことができる
- これらの特性と対策を理解すれば、レモングラスは栽培が楽しい魅力的なハーブである