レッドロビンの生垣は、その鮮やかな赤い新芽で多くの人を魅了しますが、一方でその成長速度に驚かされることも少なくありません。苗木を植えたものの、思ったように成長しない、または成長しすぎて下がスカスカになってしまい後悔している、という声も聞かれます。レッドロビンの健全な成長には、適切な剪定や肥料の与え方、そして病気への対策が不可欠です。また、挿し木で手軽に増やせるのも魅力の一つです。この記事では、レッドロビンの成長速度をコントロールし、美しい生垣を維持するための具体的な方法を、よくあるお悩みと合わせて詳しく解説していきます。
- レッドロビンの成長速度と生垣完成までの年数
- 成長をコントロールする剪定や肥料のコツ
- 下がスカスカになるなど成長に関する問題の対策
- 病気や害虫からレッドロビンを守る方法
レッドロビンの成長速度と手入れの基本
- 苗木から生垣になるまでの年数
- 成長を促す肥料の与え方
- 成長を制御する剪定のコツ
- 挿し木で簡単に増やす方法
- 成長を妨げる病気と害虫
苗木から生垣になるまでの年数
レッドロビンの最大の魅力の一つは、その驚くべき成長速度にあります。適切な環境で育てれば、庭の目隠しとなる生垣を比較的短期間で完成させることが可能です。
例えば、高さ25cmから50cm程度の小さな苗木を植えた場合、日当たりの良い場所であれば約2年で2mほどの立派な生垣に成長します。日当たりが少し劣る場所でも、3年ほどで同様の高さに達することが多いです。この成長の速さが、早く目隠しを作りたい方にとって大きなメリットとなります。
最初の1年は、根が地面にしっかりと張るための準備期間であり、地上部分の成長は比較的緩やかです。しかし、植え付けから1年を過ぎると根が安定し、そこからは一気に成長が加速します。特に春から夏にかけては、新しい枝が次々と伸びてくるのを実感できるでしょう。
生垣完成までの期間
- 日当たりの良い場所:約2年
- 日当たりが普通〜悪い場所:約3年
最初の1年で根をしっかり張らせることが、その後の急速な成長に繋がります。
成長を促す肥料の与え方
レッドロビンの旺盛な成長を支え、美しい赤い新芽を維持するためには、適切な時期に適切な肥料を与えることが重要です。肥料が不足すると、葉の色が悪くなったり、成長が鈍化したりする原因になります。
肥料を与える基本的なタイミングは、年に1〜2回です。
まず、冬の寒い時期である1月〜2月頃に「寒肥(かんごえ)」として、鶏糞や油かすなどの有機質肥料を与えます。これは、春からの新しい芽吹きに向けて、木にじっくりと栄養を蓄えさせるための重要な作業です。
また、成長の様子を見ながら、春以降に葉の色が薄いと感じた場合は、緩効性の化成肥料などを追肥として与えるのも効果的です。ただし、肥料の与えすぎは、枝が間延びしてひ弱な印象になったり、病害虫の原因になったりすることもあるため注意が必要です。特に窒素成分が多い肥料は、葉の色を悪くすることがあると言われています。
植え付け時には、土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおくことで、初期の成長をスムーズに促すことができます。
肥料の注意点
肥料は与えすぎてもいけません。特に窒素(N)成分が多い肥料は、葉の色を悪くする可能性があります。葉の様子をよく観察しながら、必要な分だけ与えるように心がけましょう。
成長を制御する剪定のコツ
レッドロビンの成長速度はメリットであると同時に、手入れを怠るとすぐに形が乱れてしまう原因にもなります。美しい生垣を維持するためには、定期的な剪定が不可欠です。
剪定の理想的な頻度は、年に2回から3回です。こまめに剪定することで、1回あたりの作業負担が減るだけでなく、常に美しい状態を保つことができます。
春の剪定(3月~4月)
春はレッドロビンの成長が最も活発になる時期です。この時期には、これから伸びてくることを見越して、少し大胆に刈り込み、全体の形を整えます。こうすることで、新芽が一斉に吹き出し、密度の高いきれいな生垣になります。
初夏の剪定(6月)
5月頃に咲く白い花が終わった後が、2回目の剪定のタイミングです。春から伸びてきた枝を切り戻すことで、夏に再び美しい赤い新芽を楽しむことができます。7月以降の真夏に剪定を行うと、切り口が傷んだり、木が弱ったりする原因になるため、梅雨の時期に終わらせるのが理想です。
秋の剪定(9月)
夏に伸びた不要な枝を切り、形を整える最後の剪定です。冬の休眠期に入る前に風通しを良くしておくことで、病害虫の予防にも繋がります。10月以降の寒い時期に剪定すると、新芽が寒さで傷むことがあるため、9月中に済ませておきましょう。

挿し木で簡単に増やす方法
レッドロビンは、「挿し木」という方法で非常に簡単に増やすことができます。剪定で切った枝を利用できるので、生垣を延長したい場合や、新しい場所に植えたい場合にとても経済的です。
挿し木に最も適した時期は、湿度が高く発根しやすい梅雨の時期(6月〜7月上旬)です。
以下に簡単な手順を紹介します。
- 挿し穂の準備:その年に伸びた新しい枝を、先端から10cm〜15cmほどの長さでカットします。
- 葉の整理:先端の葉を2〜3枚残し、それ以外の下の葉はすべて取り除きます。残した葉も、蒸散を防ぐために半分ほどの大きさに切っておくと良いでしょう。
- 水あげ:切り口を斜めにカットし、コップなどに入れた水に1〜2時間ほどつけておきます。
- 挿し木:赤玉土や挿し木用の土を入れたポットに、用意した挿し穂を挿します。
- 管理:土が乾かないように水やりをしながら、明るい日陰で管理します。順調にいけば、2〜3ヶ月ほどで根が出てきます。
発根率は非常に高いと言われていますが、成功確率を上げるために、一度に何本か試してみることをお勧めします。
成長を妨げる病気と害虫
レッドロビンは比較的丈夫な樹木ですが、いくつかの病気や害虫には注意が必要です。これらが原因で成長が妨げられたり、最悪の場合枯れてしまったりすることもあります。
ごま色斑点病
レッドロビンで最もよく見られる病気の一つです。葉にゴマのような赤褐色の斑点ができ、進行すると葉が次々と落葉してしまいます。特に梅雨の時期や秋の長雨の時期など、湿気が多い環境で発生しやすいです。感染力が強いため、病気にかかった葉を見つけたらすぐに取り除き、焼却処分するなどして感染拡大を防ぎましょう。風通しを良くする剪定が最も効果的な予防策です。
ルリカミキリ
幹や枝に卵を産み付け、孵化した幼虫が木の内側を食い荒らす厄介な害虫です。被害が進むと木全体が弱ってしまいます。株元に木くずのようなもの(フン)が落ちていたら、幼虫がいるサインです。穴を見つけて、専用の殺虫剤を注入して駆除します。
その他の害虫
新芽にはアブラムシが、葉にはイラガやチャドクガなどの毛虫が付くことがあります。見つけ次第、捕殺するか薬剤を散布して早めに対処することが大切です。
病害虫対策の基本は「観察」と「風通し」
日頃から木の様子をよく観察し、異常を早期に発見することが重要です。また、定期的な剪定で風通しを良く保つことが、多くの病害虫を防ぐ最も効果的な方法と言えます。
レッドロビンの成長速度に関する問題と対策
- 生垣で後悔しないための植え付け
- レッドロビンが成長しない原因
- 下がスカスカになる問題の解決法
- 強剪定で樹形を整える時期と方法
生垣で後悔しないための植え付け
レッドロビンの成長速度は魅力ですが、植え付けの計画を誤ると、後々「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。特に生垣として植える場合は、数年後の姿をイメージして植え付け場所や間隔を慎重に決める必要があります。
最もよくある失敗例が、道路や隣家との境界線に近すぎて植えてしまうケースです。成長したレッドロビンの葉が敷地の外にはみ出してしまい、通行の妨げになったり、落ち葉の掃除で近所に気を使ったりすることになります。
これを防ぐためには、完成形をイメージした場所から、さらに50cmほど内側に植えるのがおすすめです。一度植えてしまうと移植は非常に困難なため、最初の位置決めが非常に重要です。
また、生垣にする際の苗木を植える間隔は、30cm〜50cm程度が一般的です。最初はスカスカに感じても、2〜3年もすれば枝葉が密に茂り、立派な壁となってくれます。間隔を詰めすぎると、風通しが悪くなり病害虫の原因にもなるため注意しましょう。
レッドロビンが成長しない原因
「レッドロビンは成長が速いと聞いていたのに、うちのは全然大きくならない」という悩みも意外と多く聞かれます。成長しない原因はいくつか考えられます。
1. 日照不足
レッドロビンは日光を好む植物です。日当たりが悪い場所では、成長が著しく遅れたり、葉の色が鮮やかな赤にならなかったりします。少なくとも半日以上は日が当たる場所が理想的です。
2. 水はけが悪い
水はけの悪い土壌では、根が十分に呼吸できず、根腐れを起こしてしまうことがあります。植え付ける際に、腐葉土などを混ぜて土壌を改良することが大切です。
3. 肥料不足
前述の通り、レッドロビンの成長には多くの栄養が必要です。特に植え付けから数年間は、定期的に肥料を与えて成長をサポートしてあげましょう。
4. 病害虫の被害
ごま色斑点病で葉が落ちてしまったり、カミキリムシの幼虫に幹の中を食べられていたりすると、当然ながら成長は阻害されます。木の様子をよく観察し、異常がないかチェックする習慣をつけましょう。



下がスカスカになる問題の解決法
レッドロビンの生垣で最も多い悩みが、「上ばかり茂って、下のほうの枝が枯れてスカスカになってしまう」という問題です。これはレッドロビンの性質上、非常によく起こる現象です。
レッドロビンは上へ上へと伸びる力が非常に強く、上部の枝葉に栄養が集中しがちです。その結果、下の方の枝には栄養が行き渡りにくくなり、さらに上部の葉に日光を遮られてしまうことで、徐々に枯れて隙間ができてしまうのです。
この問題を解決する唯一の方法は、定期的な剪定です。
特に重要なのが、生垣の上面(天端)をしっかりと刈り込み、高さを制御することです。上への成長を止めることで、エネルギーが横や下の枝へと分散され、下枝の成長を促すことができます。
また、生垣の側面を刈り込む際は、少し台形になるように、上部を狭く、下部を広く刈るのがコツです。こうすることで、下の枝にも日光が当たりやすくなり、枯れ込むのを防ぐことができます。
スカスカ対策の剪定のコツ
- 高さを抑える:天端を定期的に刈り込み、上に伸びるエネルギーを横に分散させる。
- 形を工夫する:側面を台形に刈り、下の枝にも日光が当たるようにする。
一度スカスカになってしまうと回復には時間がかかります。早め早めの対策が肝心です。
強剪定で樹形を整える時期と方法
手入れを長年怠ってしまい、大きくなりすぎたり、形が大きく乱れてしまったりしたレッドロビンは、「強剪定」で仕立て直すことが可能です。強剪定とは、太い枝まで切り詰めて、樹形を大幅に小さくする剪定のことです。
レッドロビンは萌芽力(新しい芽を出す力)が非常に強いため、強剪定にも耐えることができます。
強剪定に最も適した時期は、本格的に成長を始める前の2月下旬から3月中旬です。この時期に剪定を行うと、春からの成長期に新しい枝葉が一斉に吹き出し、回復がスムーズに進みます。
方法は、まず理想の大きさをイメージし、それよりも一回り小さく、太い幹や枝をノコギリなどで大胆に切り詰めます。最初は枯れ木のようになるため不安になるかもしれませんが、春になれば切り口の周辺からたくさんの新芽が出てきます。
強剪定の注意点
強剪定は木にとって大きな負担となります。剪定後は、回復を助けるために必ずお礼肥として肥料を与えましょう。また、真夏や真冬に強剪定を行うと、木が弱って枯れてしまうリスクが高まるため、必ず適期に行うようにしてください。
まとめ:レッドロビンの成長速度を活かす育て方
- レッドロビンの成長速度は速く、日当たりの良い場所なら苗木から約2年で2mの生垣になる
- 成長を支えるため、冬(1月~2月)に寒肥として有機質肥料を与える
- 剪定は年に2~3回(春・初夏・秋)行うのが理想で、美しい樹形を保つコツ
- 春の剪定(3~4月)は、成長を見越して大胆に刈り込み形を整える
- 初夏の剪定(6月)は花後に行い、夏に再び赤い新芽を楽しむために行う
- 秋の剪定(9月)は冬に備えて風通しを良くするために行う
- 剪定で切った枝は、梅雨の時期に挿し木にすることで簡単に増やせる
- ごま色斑点病は湿気が多い時期に発生しやすく、風通しを良くすることが予防になる
- 株元に木くずがあればルリカミキリの幼虫がいるサインなので早急な駆除が必要
- 生垣にする際は、将来の成長を考え、境界線から50cmほど内側に植えると後悔しにくい
- 成長しない原因は、日照不足、水はけの悪さ、肥料不足などが考えられる
- 生垣の下がスカスカになるのは、上部の成長が旺盛で下に栄養と光が届かないため
- スカスカを防ぐには、高さを抑える剪定と、側面を台形に刈ることが有効
- 大きくなりすぎた場合は、冬の終わり(2月下旬~3月中旬)に強剪定で仕立て直せる
- レッドロビンは剪定に非常に強いので、初心者でも挑戦しやすい樹木である