夏の風物詩として親しまれるほおずきですが、「ほおずき 庭に植えてはいけない」という言葉を耳にしたことはありませんか。多くの方が、ご自身の庭植えについて疑問を抱いていらっしゃるかもしれません。また、気が付かないうちに庭に勝手に生えることがあるため、その育て方や管理について知りたいという声も聞かれます。
一方で、ほおずきは魔除けの力があるとされ、玄関に飾ることで良い運気を招き入れると言われています。では、具体的にほおずきを玄関に飾るとどうなるのでしょうか?そして、庭に植える場合はほおずきを植える場所はどこがいいのか、食用ほおずきの毒性に関する懸念、ほおずきの地下茎による増殖の特性、そして古くからほおずきは縁起物としての側面も持つことなど、多角的な情報が必要とされています。
この記事では、ほおずきに関する様々な疑問や不安を解消し、正しく理解して楽しむための情報をお届けします。読み進めていただくことで、ほおずきの特性や、庭での付き合い方について深く理解を深めていただけるでしょう。
- ほおずきを庭に植えてはいけないと言われる理由とその真実
- 観賞用と食用のほおずきの違いとそれぞれの特徴
- ほおずきの毒性に関する正しい知識と注意点
- ほおずきのポジティブな側面や楽しみ方
ほおずきを庭に植えてはいけないと言われる理由
- 縁起が悪いとされる言い伝えについて
- ほおずきの花言葉が持つ意味
- 毒性成分とその影響について
縁起が悪いとされる言い伝えについて

ほおずき・イメージ
ほおずきを庭に植えてはいけないと言われる理由の一つとして、古くから伝わる言い伝えや迷信が挙げられます。特に、一部の地域では、ほおずきが「死者を招く」「霊を呼ぶ」「死人が出る」「病気になる」といった不吉な出来事を引き起こすと信じられてきたとされています。これは、ほおずきがお盆の時期に仏壇や精霊棚に飾られる盆花や仏花として用いられてきたことに由来すると考えられています。
ほおずきの提灯のような赤い袋は、ご先祖様が迷わずに家へ帰ってくるための道しるべや灯火に見立てられます。また、お盆の間は、ほおずきの空洞になった袋の中に先祖の魂が宿って過ごすという言い伝えもあるのです。このため、ほおずきを飾ること自体は、むしろご先祖様をお迎えし、魂が滞在する場所を提供するという良い意味合いを持つと言えるでしょう。
しかし、このような言い伝えの一部だけが切り取られ、「死者を招く」という部分が強調されて、縁起が悪いという誤解が広まったとされています。実際には、ほおずきが持つそのような負の側面は迷信であり、気にする必要はないと解釈されている情報があります。むしろ、ほおずきを玄関に飾ることで魔除けの効果や金運アップにつながるといった風水的な良い効果が言われることもあります。
補足:お盆に飾られるほおずきは、そのふっくらした形と炎のようなオレンジ色から、お盆に帰ってくるご先祖様や精霊を導く道しるべに見立てられ、仏壇や盆棚、精霊棚に飾られることが多いです。また、魔除けの意味を込めて玄関に飾るご家庭もあるとされています。
ほおずきの花言葉が持つ意味

ほおずき・イメージ
ほおずきを植えることを避ける理由の一つに、花言葉が持つネガティブな意味合いが挙げられることがあります。ほおずきの花言葉には「偽り」「ごまかし」「私を誘って」「私を誘惑して」「浮気」「半信半疑」といった、やや不穏な言葉が含まれているため、花言葉を重視する方々にとっては、庭に不安定なエネルギーをもたらすと感じられることがあるようです。
一方、ほおずきには「自然美」「心の平安」といったポジティブな花言葉も存在します。ほおずきは、6月から7月にかけて小さなクリーム色の花を咲かせた後、季節の移り変わりとともに特徴的な赤い袋を形成し、その見た目が変化していく様子は「自然美」という言葉にふさわしいものです。
このように、ほおずきの花言葉は多岐にわたり、解釈によってその印象は大きく変わります。ネガティブな花言葉だけを理由に植えることを避ける必要はなく、ポジティブな意味合いに焦点を当てて楽しむこともできます。
毒性成分とその影響について

ほおずき・イメージ
ほおずきを庭に植えてはいけないと言われる3つ目の理由として、その毒性成分への懸念があります。観賞用のほおずきの実や葉には、アルカロイドという有毒成分が含まれていることが確認されています。具体的には、じゃがいもの芽に含まれることで知られるソラニンや、ヒストニンと呼ばれるアルカロイド系の毒性がある植物です。
これらの成分を誤って摂取した場合、腹痛や嘔吐、下痢といった消化器系の症状が現れる可能性があるとされています。さらに、めまい、瞳孔散大、幻覚、呼吸困難といった重篤な症状を引き起こし、最悪の場合は死に至る危険性もあると報告されています。特に、小さな子供やペットがいるご家庭では、好奇心から誤って口にしてしまうリスクが高いため、注意が必要だとされています。
ヒストニンには子宮収縮作用が確認されており、江戸時代には中絶や避妊薬としてほおずきの根が使われていた歴史があることも知られています。現代でも、ほおずきは「酸漿(さんしょう)」や「酸漿根(さんしょうこん)」の名で鎮静効果のある生薬として利用されることがありますが、妊娠中の女性は服用を避けるべきだとされています。
観賞用のほおずきは、手で触れたり、植えたり、生けたりする分には問題ありませんが、食用にはできないため、口にしないよう細心の注意を払う必要があります。人間に対しても重度の毒性があると考えられているため、犬や猫などのペットにとってはより一層危険度が高いと考えられています。
注意点:ほおずきは熟した果実を除くすべての部分が有毒であると考えられています。特に、成長過程で見られる未熟果は最も危険だとされているため、犬や猫の行動範囲内には配置しない、植えない、近づけないといった予防策を徹底することが非常に重要です。
ほおずきは本当に厄介な植物なのか?
- 非常に強い繁殖力と生命力を持つ特性
- 「ワルナスビ」との共通点と違い
- 駆除の難しさと対策
非常に強い繁殖力と生命力を持つ特性

ほおずき・イメージ
ほおずきは、その見た目の可愛らしさとは裏腹に、非常に強い繁殖力と生命力を持つ植物であることが知られています。特に、観賞用として流通しているほおずきは地下茎で増える多年草であり、冬には地上部が枯れても翌年には再び芽吹いてきます。この地下茎が四方に伸びるため、一度庭に植えると、他の植物が植えられている場所まで侵食し、群生する姿が見られることもあります。
また、ほおずきは種子によっても増殖します。4月から9月にかけての長い期間で発芽し続け、そのたびに花を咲かせて種子を落とすため、あっという間に広がる可能性があります。9月頃に芽生えたものでも、小さい状態で花を咲かせ、さらに種子を作ることができるため、その繁殖力は非常に高いと言えるでしょう。
このような特性から、ほおずきは一度庭に入り込むと駆除が困難になることがあります。特に畑などに侵入した場合、その強力な生命力と増殖力によって、手の打ちようがなくなるほど大繁茂してしまう恐れがあるため、警戒すべき雑草として認識されています。国立環境研究所の侵入生物データベースにも記載されているほど、その厄介さは公的に認められている情報です。
「ワルナスビ」との共通点と違い

ほおずき・イメージ
ほおずきはナス科の植物であり、同じナス科に属する「ワルナスビ(悪茄子)」と多くの共通点、特にその厄介さにおいて似ている部分があると指摘されています。ワルナスビは北アメリカ原産の多年草で、「最強レベルの厄介さ」を持つとされる外来種の雑草です。
ワルナスビは、ナスに似た白い(または薄い紫色)の花を咲かせ、ミニトマトのような実をつけます。この実には、じゃがいもの芽に含まれるソラニンという毒が含まれており、全草に毒を持つため、家畜が中毒死することもある危険な植物です。人間がよほどの量を食べない限り死に至ることはないとされていますが、注意が必要だとされています。この毒性という点において、ほおずきとワルナスビは共通の危険性を持っています。
さらに、ワルナスビは葉や茎に無数の鋭いトゲがあり、これにより抜き取って駆除することが非常に難しいとされています。除草剤も効きにくい特性があり、地下茎でも種でも増殖し、1cmほどの根の断片からも再生するほどの高い生命力を持っています。この高い繁殖力と生命力、そして駆除の難しさという点でも、ほおずきとワルナスビは似た厄介さを持っていると言えるでしょう。
しかし、ほおずき(特に観賞用)にはワルナスビのような鋭いトゲはありません。この点が両者の見た目上の大きな違いです。いずれにしても、どちらも非常に強い繁殖力と生命力を持つため、隙を見せれば大繁茂して手が付けられなくなる可能性を秘めています。
ポイント:街で見かけることがある「ヒロハフウリンホオズキ(広葉風鈴酸漿)」も、北アメリカ原産の1年草で、道端や荒地、畑に生える厄介な雑草です。これもナス科の植物であり、悪茄子と同様に非常に強い繁殖力と生命力を持つため、畑などに入ると厄介なことになると言われています。
駆除の難しさと対策

ほおずき・イメージ
ほおずきが一度庭に根付いてしまうと、その駆除は容易ではありません。前述の通り、ほおずきは地下茎と種子の両方で増殖するため、地上部を抜き取っても地下に残った茎や根から再生することがあります。この「抜いても抜いても出てくる」という厄介さが、ほおずきを「悪茄子」と同様に駆除しきれない植物と認識させる理由となっています。
ほおずきを地植えにする場合、まず連作障害に注意が必要です。ピーマンやトマトなどナス科の植物を以前育てた場所では病気が発生しやすく、ほおずきが育ちにくいことがあります。そのため、場所を変えるか、鉢植えで育てることを検討すべきでしょう。
地下茎による過剰な広がりを防ぐためには、地中にコンクリートブロックや塩ビ板を深さ20cm程度まで埋め込み、仕切りとなる壁を作ることが有効です。これにより、地下茎が必要以上に広がってしまうのを防ぐことができます。鉢植えで育てることは、地下茎の広がりをコントロールする最も簡単な方法と言えるでしょう。
また、ほおずきはカメムシが非常に付きやすい植物でもあります。カメムシは茎について植物の養分を吸い取り、株を弱らせるだけでなく、ひどい場合には枯らしてしまうこともあるため、梅雨から夏にかけて特に注意が必要です。殺虫剤の散布などによる予防策を講じることも、健康な株を維持するためには大切です。
これらの特性から、ほおずきを庭に導入する際は、その繁殖力や駆除の難しさを理解した上で、適切な管理計画を立てることが不可欠です。畑などには絶対に侵入させないよう、早期発見と早期駆除を心がけることが重要だとされています。
ほおずきのポジティブな側面と楽しみ方
- 魔除けや縁起物としての意味
- 食用ほおずきとその安全性
- ほおずきの様々な遊び方と活用法
魔除けや縁起物としての意味
ほおずきは、一方で「縁起物」としてのポジティブな側面も持っています。特に、お盆の時期に飾られる提灯のような赤い実の姿は、ご先祖様の魂が迷わずに家に戻ってこられるように足元を照らす灯火、あるいは家の場所を知らせる灯りとして大切にされてきました。
また、古くから薬用としても利用されてきた歴史があるため、その薬効にあやかって「病除け」や「無病息災」を願う縁起の良い植物と考えられています。毎年7月9日と10日に開催される浅草寺のほおずき市は特に有名であり、この市ではほおずきが無病息災の縁起物として販売され、夏の風物詩として多くの人々に親しまれています。
風水においても、ほおずきは魔除け効果があり、良い運気を招き入れると言われています。特に金運アップの効果が期待できるとされており、生きたほおずきを玄関に飾ることでその効果が得られると考えられています。これらのことから、ほおずきは単なる観賞用の植物や雑草としてだけでなく、文化や信仰に深く根ざした縁起の良い存在として捉えられていることがわかります。
食用ほおずきとその安全性

ほおずき・イメージ
前述の通り、観賞用のほおずきには毒性がありますが、食用として栽培されているほおずきも存在します。食用ほおずきは、観賞用のように赤く熟すことはなく、黄色いミニトマトのような実をつけることが特徴です。
ヨーロッパでは古くから食用として親しまれており、特にフランスでは料理の付け合わせやスイーツの材料として使われ、美容や健康に良いとされているそうです。日本でも1990年代から栽培が行われており、スーパーフードとして注目を集めているとのことです。
食用ほおずきの果実は独特の甘酸っぱくフルーティーな味わいが楽しめ、生でそのまま食べることも可能です。ビタミンや鉄分が豊富に含まれており、ジャムやシロップ漬けにして楽しむこともできます。品種も多様で、それぞれ異なる大きさや風味を持つものがあります。ネクスファームでは「島ほおずき」という品種を栽培しており、ビニールハウスでの栽培により、通常7月から10月頃が収穫ピークであるところを、12月下旬から8月上旬にかけて長期的に収穫を行っていると述べられています。
ただし、食用ほおずきにも微量のアルカロイド成分が含まれている可能性があるとされています。人間にとっては微量であるため、食べても問題ないとされていますが、体の小さい犬や猫が摂取することは想定されていないため、影響は明確ではありません。そのため、犬や猫に食用ほおずきを与えることは避けるべきだと考えられています。
以下に、観賞用ほおずきと食用ほおずきの主な違いをまとめました。
項目 | 観賞用ほおずき | 食用ほおずき |
---|---|---|
主な用途 | 観賞、お盆飾り | 食用(生食、ジャムなど) |
実の色 | 赤く熟す(袋も赤) | 黄色く熟す(袋は緑のまま) |
毒性 | アルカロイド系の毒性あり(全草に毒) | 微量のアルカロイド成分を含む可能性があるが、人間にとっては概ね安全とされる |
味 | 食べられない | 甘酸っぱくフルーティー |
主な品種 | 不明 | 島ほおずきなど |
繁殖力 | 地下茎で広がりやすい | 通常は観賞用ほどではないが、品種による |
ほおずきの様々な遊び方と活用法

ほおずき・イメージ
ほおずきは、そのユニークな形状から昔から様々な遊びや活用法が親しまれてきました。
最もよく知られている遊びの一つに「ほおずき笛」があります。これは、実をくるくると回しながらガクから外し、中の果肉を取り除いて果皮だけにしたものを口に含んで鳴らす遊びです。うまく成功すると、ぎゅっぎゅっとカエルの鳴き声のような音が鳴るそうです。実の果肉をきれいに取り除くのは少し難しい作業ですが、成功したときの喜びは大きいでしょう。
また、「透かしほおずき」という美しい飾りも作ることができます。これは、よく熟したほおずきの袋状のガクを10日前後水に浸けておくと、柔らかい組織が溶けて葉脈だけが網状に残り、非常に美しい網目状のオブジェとなるものです。自宅で簡単に作ることができ、オブジェとして飾るだけでも可愛らしいですし、お子様と一緒に作って楽しむこともできます。
透かしほおずきをさらに活用して、「ほおずきランプ」を作ることも可能です。透かしほおずきの中に豆電球を入れることで、幻想的なインテリアとして楽しむことができます。子供の頃に、お盆が過ぎたほおずきを割って中に豆電球を入れ、ランプにして遊んだ思い出を語る方もいらっしゃいます。
さらに、切り花のほおずきは、花瓶に生けずにそのまま置いておくだけで、きれいにドライフラワーになる特性も持っています。中の実はシワシワになりますが、美しい赤いガクはそのまま残り、長く飾って楽しむことができます。
このように、ほおずきは観賞だけでなく、様々な方法で私たちの暮らしに彩りを加え、楽しませてくれる魅力的な植物です。
まとめ
この記事では、ほおずきを庭に植えてはいけないと言われる理由や、その多角的な側面について解説いたしました。
- ほおずきを庭に植えてはいけないと言われるのは、主に縁起が悪いという迷信、毒性、そして強い繁殖力に由来します
- 縁起が悪いという言い伝えは、お盆に先祖を導く役割を持つほおずきが、その一部だけを切り取られて誤解されたものです
- ほおずきは魔除けや病除けの効果がある縁起物としても知られています
- ほおずきの花言葉にはネガティブなものもありますが、「自然美」や「心の平安」といったポジティブな意味合いも持ち合わせています
- 観賞用のほおずきには、アルカロイド(ヒストニンやソラニン)という毒性成分が含まれています
- 誤って摂取すると、腹痛、嘔吐、下痢、めまい、呼吸困難などの症状が現れる可能性があり、最悪の場合死に至ることもあります
- 特に小さな子供やペットがいる家庭では、誤飲の危険性があるため厳重な注意が必要です
- 犬や猫にとって、ほおずきは命の危険も考えられる非常に危険な植物です
- 食用ほおずきも存在し、人間にとっては安全に食べられますが、ペットへの影響は明確ではないため与えるべきではありません
- ほおずきは地下茎と種子で増殖し、非常に強い繁殖力と生命力を持つ多年草です
- 一度庭に根付くと、駆除が困難になる厄介な特性があります
- 「ワルナスビ(悪茄子)」はほおずきと同様にナス科の厄介な雑草であり、毒性と強い繁殖力が共通しています
- 地植えにする場合は連作障害に注意し、地下茎の広がりを防ぐための対策を講じることが推奨されます
- ほおずきはカメムシがつきやすいため、害虫対策も重要です
- ほおずき笛、透かしほおずき、ほおずきランプ、ドライフラワーなど、様々な方法で楽しむことができます
- ほおずきは、その特徴を正しく理解し適切に管理すれば、私たちの暮らしに彩りを与えてくれる魅力的な植物です