クラピアを植えてはいけない?後悔する5つの理由と対策を解説

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美しい緑の絨毯に憧れてグランドカバーを探す中で、「クラピア」は非常に魅力的ですよね。しかし、同時に「クラピアは植えてはいけない」という気になる噂を耳にして、不安になっていませんか?その旺盛すぎる繁殖力や冬の見た目、そして知らなかったでは済まされない「種苗法」という法律の問題まで、クラピアには確かに知っておくべき注意点が存在します。この記事では、園芸の専門家が、なぜ「植えてはいけない」と言われるのか、その5つの理由と真相を徹底解説。さらに、後悔しないための賢い管理方法や、万が一クラピアが合わなかった場合の代替グランドカバーもご紹介します。最後まで読めば、あなたの庭にクラピアが本当に合うのか、自信を持って判断できるようになりますよ。

  • 「植えてはいけない」と言われる5つの理由とその真相
  • 後悔しないための賢い管理方法と植栽前のチェックリスト
  • 知らなかったでは済まされない「種苗法」の重要ルール
  • クラピアの代わりになるおすすめグランドカバーとの徹底比較
目次

クラピアを植えてはいけないと言われる5つの理由と真相

  • 理由1:想像を絶する繁殖力で手に負えなくなる
  • 理由2:冬枯れの見た目がグロテスクでがっかりする
  • 理由3:かわいい花にミツバチが集まりすぎる
  • 理由4:日陰や水はけが悪い場所では育たない
  • 理由5:【最重要】外来種ヒメイワダレソウと酷鴟

理由1:想像を絶する繁殖力で手に負えなくなる

クラピアが「植えてはいけない」と言われる最大の理由、それは想像を絶するほどの繁殖力にあります。クラピアは芝生の約10倍ものスピードで広がると言われ、その成長速度は驚異的です。植え付け初期は、この速さが雑草を抑制し、あっという間に緑の絨毯を作ってくれる頼もしいメリットに感じられます。しかし、一度お庭全体を覆ってしまうと、その勢いはデメリットに転じます。

クラピアは「ランナー」と呼ばれる匍匐茎(ほふくけい)を地表に這わせて広がります。このランナーが、大切に育てている花壇や家庭菜園のスペース、さらにはお隣の敷地にまで侵入してしまうことがあるのです。特に成長期である6月から9月にかけては、少し管理を怠るだけで枕木やレンガの小道が見えなくなるほど繁茂することも。この制御不能な状態を経験した方が、「クラピアは手に負えない危険な植物だ」と感じてしまうのです。まるで暴れ馬のようなその成長力を、きちんとコントロールできるかどうかが、クラピアと上手に付き合うための最初の関門と言えるでしょう。

クラピアのランナーは地表を這うため、芝生のように地下茎で広がる植物よりは管理がしやすい側面もあります。レンガや専用のシートで物理的に境界を作ってあげる「縁切り」という作業が非常に重要になります。

理由2:冬枯れの見た目がグロテスクでがっかりする

一年中美しい緑のカーペットを期待してクラピアを植えた方が、初めての冬にショックを受けるケースは少なくありません。クラピアは常緑植物ではなく、平均気温が10℃以下になると成長を止め、休眠期に入り冬枯れします。

問題なのは、その枯れた姿です。芝生が全体的に茶色くなるのとは異なり、クラピアは葉が落ちて、這いずり回るように伸びたランナーが剥き出しになります。この網目状のランナーが「血管のようで気持ち悪い」「グロテスクだ」と感じる方が多く、美しい緑のイメージとのギャップにがっかりしてしまうのです。特にランナーが太く硬くなる「木質化」という現象が起きると、その見た目はさらに悪化します。春になれば再び可愛らしい葉が芽吹き、緑の絨毯は復活するのですが、冬の数ヶ月間、この景観に耐えなければならない点は大きなデメリットと言えるでしょう。日当たりの良い暖かい場所では、冬でも部分的に緑が残ることもありますが、基本的には冬の景観は期待しない方が賢明です。

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初めてクラピアの冬枯れを見ると、本当にびっくりしますよね。「枯れてしまったのでは?」と心配になるかもしれませんが、春にはちゃんと復活するので安心してください。ただ、この見た目が許容できるかどうかは、植える前にしっかり考えておきたいポイントです。

理由3:かわいい花にミツバチが集まりすぎる

クラピアは5月から9月頃にかけて、白やピンクの可憐な花を咲かせます。満開の時期にはまるでお花畑のようになり、その景観は非常に魅力的です。しかし、この美しい花が、ある特定の方々にとっては深刻な問題を引き起こします。それは、ミツバチがたくさん集まってくるという点です。

花の蜜を求めてミツバチが頻繁に訪れるため、小さなお子さんやペットがいるご家庭では、安心して庭で遊ばせることが難しくなるかもしれません。特に蜂にアレルギーがある方にとっては、この問題は看過できません。「庭で裸足で駆け回りたい」という夢も、蜂がたくさんいる状況ではためらわれますよね。このデメリットへの対策として、花が咲いたら芝刈り機などで刈り取ってしまう方法があります。そうすれば蜂が寄ってくるのを大幅に減らせますが、花の景観を楽しめなくなる上、定期的な刈り込みというメンテナンスの手間が増えることになります。花の美しさを取るか、蜂の来ない安心感を取るか、ご自身のライフスタイルと照らし合わせて検討する必要があるでしょう。

理由4:日陰や水はけが悪い場所では育たない

「ローメンテナンス」というイメージが強いクラピアですが、実は生育環境を選ぶ植物です。どんな場所でも元気に育つわけではなく、特に日当たりと水はけの良さが非常に重要になります。

クラピアが健全に育つためには、最低でも1日に3時間以上の日照が必要とされています。日陰や半日陰の場所では、成長が著しく悪くなるだけでなく、葉と葉の間隔が間延びして上に伸びる「徒長(とちょう)」という状態になりがちです。これでは、雑草を抑制する緻密なマット状にはならず、スカスカで見た目の悪い状態になってしまいます。また、粘土質で水はけの悪い土壌も苦手です。常に土が湿っているような環境では、根が酸素不足に陥り、根腐れを起こしたり、病気にかかりやすくなったりします。実際に、日陰のエリアに植えたクラピアが数年で他の植物に負けて消えてしまったという失敗例も報告されています。「日当たりが悪くて芝生が育たないからクラピアを」と考えている場合は、期待通りの結果にならない可能性が高いことを理解しておく必要があります。

特に芝生との混植は注意が必要です。日当たりの良い場所ではクラピアが優勢になりますが、半日陰などクラピアの生育が鈍る場所では、芝生に侵食されて負けてしまうことがあります。植える場所の環境を事前にしっかり確認しましょう。

理由5:【最重要】外来種ヒメイワダレソウと酷似

これが「クラピアを植えてはいけない」と言われる理由の中で、最も重要で、絶対に知っておかなければならないポイントです。クラピアは、日本に自生する「イワダレソウ」を品種改良して作られた、種をつけない(不稔性)安全な植物です。

しかし、クラピアと見た目がそっくりな植物に「ヒメイワダレソウ(別名:リッピア)」があります。こちらは南米原産の外来種で、クラピアと違って種子を作り、その種子やちぎれた茎から爆発的に繁殖します。そのあまりの繁殖力の強さと、在来の生態系を破壊する危険性から、環境省の「生態系被害防止外来種リスト」において「重点対策外来種」に指定されている、非常に厄介な植物なのです。一度庭に定着すると駆除は極めて困難で、河川敷などに広がると在来植物を駆逐し、景観を一変させてしまうほどの問題を各地で引き起こしています。もし間違えてヒメイワダレソウを植えてしまうと、ご自身の庭だけでなく、周辺環境にまで深刻な悪影響を及ぼす「環境テロ」になりかねません。クラピアを購入する際は、必ず信頼できる正規販売店から購入し、安価な類似品に手を出さないよう、細心の注意を払ってください。

クラピアとヒメイワダレソウの決定的な違い

  • クラピア:日本の在来種を品種改良。種をつけない(不稔性)ため、管理が可能。
  • ヒメイワダレソウ:南米原産の「重点対策外来種」。種子で繁殖し、生態系に悪影響を及ぼす危険性がある。

見た目が酷似しているため、購入時は品種名を必ず確認しましょう。

後悔しない!クラピアを植えてはいけない状況と賢い管理術

  • 植える前に確認!後悔しやすい5つの状況
  • 繁殖力を制御する3つの必須テクニック
  • 【知らないと違反?】種苗法の重要ポイント
  • クラピアの代わりにおすすめのグランドカバー5選

植える前に確認!後悔しやすい5つの状況

クラピアの特性を理解した上で、ご自身の状況がクラピアに向いているか冷静に判断することが後悔を防ぐ鍵です。もし、以下の5つの状況のいずれかに当てはまる場合は、クラピアの導入を慎重に検討するか、他のグランドカバーを選んだ方が良いかもしれません。

1. こまめなメンテナンスができない
成長期には週に1〜2回、伸びすぎたランナーをチェックし、剪定するような手間をかけられない方。クラピアは「植えっぱなしでOK」ではありません。

2. 庭の日当たりが悪い
お庭の大部分が建物の影になったり、樹木で覆われたりしていて、1日に3時間以上の日照を確保できない場合。生育不良でがっかりする可能性が高いです。

3. 土壌の水はけが極端に悪い
雨が降ると長時間水たまりができるような、粘土質の重い土壌の場合。土壌改良をしないと、病気や根腐れのリスクが高まります。

4. 小さなお子さんやペットがいて、蜂が心配
蜂の存在がストレスになり、庭を自由に楽しめなくなる可能性があるご家庭。花の刈り取りを徹底できない場合は、避けた方が無難です。

5. 隣家や自然緑地との境界が曖昧
物理的な境界(ブロック塀など)がなく、ランナーの越境がご近所トラブルに発展しそうな場合や、管理されていない土地に隣接している場合。

繁殖力を制御する3つの必須テクニック

もしご自身の環境がクラピアに向いていると判断した場合でも、その旺盛な繁殖力をコントロールするための準備は必須です。以下の3つのテクニックを実践することで、クラピアを美しく保ち、トラブルを未然に防ぐことができます。

1. 物理的な「縁切り」を徹底する
クラピアを植える範囲の境界線に、あらかじめ物理的な障壁を設置します。高さ20cm程度のレンガやブロックを埋め込んだり、「畦(あぜ)シート」と呼ばれるプラスチック製の板を土中に埋設したりするのが効果的です。これにより、ランナーが隣のエリアへ侵入するのを物理的に防ぎます。

2. 定期的なランナーの刈り込み
縁切りを設置していても、それを乗り越えようとするランナーは出てきます。特に成長期はこまめに庭をチェックし、境界線からはみ出したランナーを園芸用のハサミや芝生バリカンでカットしましょう。クラピアの茎は柔らかいので、作業自体はそれほど大変ではありません。

3. 防草シートを正しく選ぶ
植え付け時の雑草対策として防草シートを併用するのは有効ですが、選び方を間違えると逆効果になります。クラピアの根が貫通できない非透水性のシートを使うと、根が十分に張れず、ランナーが木質化したり、生育不良になったりします。必ず、クラピアの根が貫通できる専用の「クラピア用防草シート」を使用してください。これにより、植え付け初期の雑草管理が格段に楽になります。

【知らないと違反?】種苗法の重要ポイント

クラピアを育てる上で、もう一つ絶対に知っておかなければならないのが「種苗法(しゅびょうほう)」という法律です。クラピアは、長い年月をかけて開発された優れた新品種として、この法律によって育成者の権利が保護されている「登録品種」です。

これは、私たちが音楽CDを買っても無断でコピーして配れないのと同じで、正規に購入したクラピアの苗であっても、許可なく増殖させて他人に譲渡(販売はもちろん、無償で分けることも含む)する行為は法律で禁止されています。具体的には、以下のような行為が違反となります。

種苗法違反となる具体例

  • 庭で増えたクラピアを株分けして、友人や知人にあげる。
  • ランナーをカットしてポットで苗を作り、フリマアプリ(メルカリなど)で販売する。
  • 自宅とは別の場所にある畑や別荘の庭に、自宅のクラピアを移植する。

これらの行為は、個人であっても「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」という重い罰則の対象となる可能性があります。庭で伸びて広がること自体は全く問題ありませんが、それを切り取って他者や他の場所に広げることは違法行為にあたる、ということを必ず覚えておきましょう。

クラピアの代わりにおすすめのグランドカバー5選

ここまで読んで、「うちの庭にはクラピアは合わないかもしれない」と感じた方もいらっしゃるでしょう。ご安心ください。グランドカバープランツには、クラピア以外にも素晴らしい選択肢がたくさんあります。ここでは、あなたの庭の条件やライフスタイルに合うかもしれない、代表的な5つの植物を比較してご紹介します。

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それぞれの植物に得意なこと、苦手なことがあります。下の比較表を見ながら、ご自身の庭にぴったりのパートナーを見つけてくださいね。

芝生(高麗芝など)
グランドカバーの王道。踏圧に非常に強く、管理をすれば美しい景観を保てます。ただし、芝刈りや施肥、雑草対策など、年間を通じたこまめなメンテナンスが必要です。

タマリュウ
日陰に強く、非常に丈夫でほとんど手がかからない常緑性が魅力。和風・洋風問わず合わせやすいですが、踏圧には弱いため、人があまり歩かない場所の植栽に向いています。

クリーピングタイム
踏むと爽やかな香りが広がるハーブの一種。乾燥に強く、可愛らしい花も楽しめます。蒸れに弱い側面があるため、風通しの良い場所を好みます。

ダイカンドラ(ディコンドラ)
ハート型の葉が可愛らしい植物。日向から日陰まで適応範囲が広く、繁殖力も旺盛です。比較的安価に導入できますが、踏圧にはあまり強くありません。

シバザクラ
春に地面を覆い尽くすように咲く花のカーペットは圧巻。乾燥や寒さに強く、育てやすいのが特徴です。開花期以外は緑の葉が地面を覆いますが、踏圧には弱いです。

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特徴 クラピア 芝生(高麗芝) タマリュウ クリーピングタイム ダイカンドラ
耐踏圧性 ◎ 非常に強い ◎ 非常に強い × 弱い ○ 比較的強い △ やや弱い
耐陰性 × 弱い(日向向き) × 弱い(日向向き) ◎ 非常に強い ○ 比較的強い ◎ 強い
冬の状態 冬枯れ(地上部が枯れる) 冬枯れ(地上部が枯れる) 常緑 常緑(寒冷地では紅葉) 常緑
管理の手間 △(縁切り・刈込が必要) ×(芝刈り・施肥など多い) ◎ 非常に少ない ○ 少ない ○ 少ない
病害虫リスク △(蒸れによる病気に注意) △(病害虫の発生あり) ◎ 非常に少ない △(蒸れに注意) ◎ 少ない
導入コスト目安(1㎡あたり) 1,000円~2,200円 1,500円~ 2,000円~10,000円 1,500円~3,000円 500円~1,500円

総括:クラピアを植えてはいけないは誤解!正しい知識で最高の庭に

この記事のまとめです。

  • クラピアは芝生の約10倍の速度で成長する驚異的な繁殖力を持つ
  • 成長力を制御できない場合、花壇や隣家へ侵入するリスクがある
  • クラピアは常緑ではなく、冬は地上部が枯れてランナーが剥き出しになる
  • 冬枯れの見た目は「グロテスク」と感じる人も多く、事前の理解が重要である
  • 開花期にはミツバチが多く集まるため、子供やペットがいる家庭は注意が必要である
  • 健全な生育には1日3時間以上の日照が必須で、日陰には適さない
  • 水はけの悪い粘土質の土壌では、根腐れや病気のリスクが高まる
  • 最重要事項として、外来種「ヒメイワダレソウ」との混同に注意が必要である
  • ヒメイワダレソウは種で増え、生態系に悪影響を及ぼす「重点対策外来種」である
  • クラピアは種をつけないよう改良された安全な品種であり、購入は正規店で行うべきである
  • クラピアは「種苗法」で保護された登録品種である
  • 許可なく増殖させ、他人に譲渡・販売する行為は法律違反となり、重い罰則がある
  • 繁殖力の制御には、物理的な「縁切り」や定期的なランナーの刈り込みが不可欠である
  • クラピアが適さない場合は、芝生、タマリュウ、クリーピングタイムなどが代替候補となる
  • グランドカバー選びは、見た目だけでなく、管理の手間や環境適性を総合的に判断することが成功の鍵である
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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