アルストロメメリアは植えてはいけない?理由と育て方のコツ

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美しく花持ちが良いことで人気のあるアルストロメリアですが、「植えてはいけない」という言葉を耳にして、育てるのをためらってはいませんか。確かに、アルストロメリアは植えっぱなしにすると驚くほど増える性質があり、正しい球根の植え方や育て方を知らないと管理が難しくなることもあります。また、アルストロメリアの花が咲く時期はいつなのか、花が終わったらどうすれば良いのか、といった疑問も多いでしょう。この記事では、アルストロメリアを植えてはいけないと言われる理由を解説するとともに、苗の植え付け方法から、増えすぎを防ぐ株分けのやり方、そして管理がしやすいアルストロメリアの鉢植えの育て方まで、あなたの不安や疑問に徹底的にお答えします。正しい知識を身につければ、アルストロメリアの魅力を存分に楽しむことができますよ。

  • アルストロメリアを植えてはいけないと言われる3つの主な理由
  • 増えすぎを防ぎ安全に楽しむための育て方のコツ
  • 正しい苗や球根の植え付け方法と日々の管理
  • 花後の手入れや株分けで長く楽しむための秘訣
目次

アルストロメリアを植えてはいけないと言われる理由

  • 地下茎で増えすぎて庭を占拠する
  • 球根に含まれる毒性に注意が必要
  • 高温多湿に弱く根腐れしやすい

地下茎で増えすぎて庭を占拠する

アルストロメリアを植えてはいけないと言われる最大の理由は、その驚異的な繁殖力にあります。アルストロメリアは地下茎(ちかけい)と呼ばれる茎を地中で横に伸ばし、次々と新しい株を作って増えていきます。このため、一度地植えにすると、想像以上の速さで庭の広範囲を占拠してしまう可能性があるのです。

例えば、庭の一角に植えたつもりが、数年後には他の植物の生育スペースを奪い、庭全体の景観を損ねてしまうケースも少なくありません。また、地下茎は深く、そして強靭に張るため、増えすぎた後に完全に取り除くのは非常に困難な作業となります。言ってしまえば、庭中を掘り返すような大掛かりな作業が必要になることも考えられます。

このように、コントロールが難しいほどの旺盛な繁殖力が、「アルストロメリアは気軽に植えてはいけない」と言われる大きな要因となっています。

増えすぎのリスク

アルストロメリアの地下茎は、放置すると他の植物の成長を妨げるだけでなく、庭のデザインを根本から崩してしまう可能性があります。植え付け前に、その繁殖力を十分に理解しておくことが重要です。

球根に含まれる毒性に注意が必要

アルストロメリアの球根(塊茎)や茎の汁には、「ツリパリン」や「ツリポシド」といった有毒な成分が含まれているとされています。これが、植えてはいけないと言われる二つ目の理由です。

これらの成分は、人の皮膚に触れるとアレルギー性の皮膚炎を引き起こすことがあり、かぶれやかゆみの原因となる場合があります。特に、肌が敏感な方は注意が必要です。球根の植え付けや株分けなど、直接手で触れる作業を行う際には、必ず手袋を着用することが推奨されます。

さらに、小さな子供やペットがいるご家庭では、誤食のリスクも考えなければなりません。もし誤って球根を食べてしまうと、嘔吐や腹痛などの中毒症状を引き起こす可能性があるという報告もあります。もちろん、これは大量に摂取した場合の話ではありますが、リスクはゼロではありません。

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ペットや小さなお子さんがいる庭では、植える場所を工夫したり、鉢植えで管理するなど、安全への配慮が特に大切ですね。

毒性に関する注意点

アルストロメリアを扱う際は、必ず防水性のガーデニンググローブを着用しましょう。作業後は、手や使用した道具を石鹸でよく洗い流すことを習慣づけることで、安全にガーデニングを楽しむことができます。

高温多湿に弱く根腐れしやすい

アルストロメリアが植えてはいけないと言われるもう一つの理由は、日本の夏のような高温多湿の環境が苦手だという点です。アルストロメリアの原産地は、南米の比較的乾燥した冷涼な気候の地域が多く、ジメジメとした環境を嫌います。

特に、水はけの悪い土壌に植えられていると、過剰な水分で根が呼吸できなくなり、「根腐れ」を起こしやすくなります。根腐れを起こすと、株は水分や養分を吸収できなくなり、葉が黄色くなったり、株全体が弱って最終的には枯れてしまいます。

梅雨の長雨や、風通しの悪い場所での栽培は、アルストロメリアにとって大きなストレスとなります。そのため、日本の多くの地域では、夏越しが栽培の大きな課題となるのです。この栽培の難しさが、「植えてはいけない」という言葉に繋がっている側面もあります。

「アルストロメリアは植えてはいけない」は嘘?育て方のコツ

  • 基本的な育て方と管理のポイント
  • 苗の植え付け方法
  • 正しい球根の植え方
  • アルストロメリアの鉢植えの育て方
  • 植えっぱなしで管理する際の注意点
  • アルストロメリアの花が咲く時期はいつ?
  • 花が終わったらどう手入れする?
  • 増えすぎを防ぐ株分けのやり方

基本的な育て方と管理のポイント

アルストロメリアを上手に育てるための最も重要なポイントは、日当たり、風通し、そして水はけの良い場所を選ぶことです。前述の通り、高温多湿を嫌うため、ジメジメした場所は避けなければなりません。

土壌については、弱酸性を嫌う傾向があるため、地植えの場合は植え付け前に苦土石灰などを混ぜて土壌の酸度を調整しておくと良いでしょう。pH6.0〜6.5程度の中性に近い土壌が最適です。市販の草花用培養土を使用する場合は、水はけを良くするために赤玉土や軽石を少し混ぜ込むと、より良い環境を作れます。

栽培環境の3大要素

  • 日当たり:生育期である春と秋は、たっぷりと日光に当てて株を丈夫に育てます。ただし、夏の強すぎる直射日光は葉焼けの原因になるため、半日陰になる場所が理想です。
  • 風通し:株が密集すると蒸れて病気の原因になります。風がよく通る場所を選び、適度に間引くことも大切です。
  • 水はけ:水が溜まるような場所は厳禁です。鉢植えなら鉢底石をしっかり敷き、地植えなら土を盛り上げて畝(うね)のようにする「高畝」にすると効果的です。

これらの基本的な環境を整えてあげることが、アルストロメリアを健康に育て、美しい花を咲かせるための第一歩となります。

苗の植え付け方法

アルストロメリアの苗を植え付けるのに最適な時期は、気候が穏やかな春(3月〜4月)か、秋(9月〜10月)です。真夏や真冬の厳しい時期を避けることで、苗がスムーズに根付き、その後の成長が安定します。

植え付けの手順

  1. 場所選び:日当たりと水はけの良い場所を選びます。地植えの場合は、事前に腐葉土や堆肥を混ぜて土を耕しておきましょう。
  2. 植え穴を掘る:苗のポットよりも一回り大きな穴を掘ります。
  3. 苗を取り出す:ポットから苗を優しく取り出します。このとき、根鉢(根と土が固まった部分)を崩しすぎないように注意してください。
  4. 植え付け:苗を植え穴に入れ、元の土の高さと揃うように植え付けます。深植えにならないように気をつけましょう。
  5. 水やり:植え付け後は、鉢底から水が流れ出るまで、または地面にしっかりと水が染み込むまで、たっぷりと水を与えます。

地植えの場合、株同士の間隔は、品種にもよりますが20cm〜30cm程度空けるのが一般的です。これにより、成長した際の風通しが確保され、病害虫の予防に繋がります。

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秋に植え付けると、冬の寒さが来る前に根をしっかり張ることができ、春からの生育がとても良くなるのでおすすめですよ。

正しい球根の植え方

アルストロメリアの球根は、サツマイモのような形をした「貯蔵根」と、芽が出る部分である「クラウン」から構成されています。この独特の形状を理解することが、正しい植え方の第一歩です。

植え付けの時期は苗と同様に、春(3月〜4月)か秋(9月)が適期です。

球根の植え付けで最も重要なこと

球根を植える際は、必ず芽が出る部分である「クラウン」を上に向けます。また、貯蔵根は非常に折れやすいため、取り扱いには細心の注意を払ってください。

植え付けの深さ

植え付ける深さは、鉢植えと地植えで少し異なります。

植え方 適切な深さの目安
鉢植え 球根の上に2〜3cmほど土がかぶる程度の深さ。
地植え 球根の上に5〜8cmほど土がかぶる深さ。少し深めに植えることで、夏の地温上昇や冬の凍結から球根を守ります。

植え付け後は、たっぷりと水を与え、土を落ち着かせます。球根は乾燥を嫌うため、掘り上げたらすぐに植え付けるようにしましょう。

アルストロメリアの鉢植えの育て方

「地下茎で増えすぎるのが心配…」という方に最もおすすめなのが、鉢植えでの栽培です。鉢植えであれば、地下茎が広がる範囲を物理的に制限できるため、管理が非常に楽になります。

鉢の選び方

アルストロメリアは根が下方向に長く伸びる性質があるため、標準的な鉢よりも深さのある「深鉢」を選びましょう。6号(直径18cm)程度の鉢であれば、深さが20cm以上あるものが理想的です。

用土と肥料

用土は、市販の草花用培養土で問題ありません。水はけをさらに良くしたい場合は、赤玉土小粒を2割ほど混ぜ込むと良いでしょう。植え付けの際には、元肥として緩効性化成肥料を土に混ぜ込んでおきます。追肥は、生育期である春と秋に、月に1回程度の置き肥、または月に3〜4回程度の液体肥料を与えると花付きが良くなります。

夏の管理が重要

鉢植えは地植えに比べて土が乾燥しやすく、また鉢自体が熱を持ちやすいです。夏場は直射日光が当たる場所を避け、風通しの良い涼しい半日陰に移動させましょう。水のやりすぎは根腐れの原因になりますが、夏の水切れにも注意が必要です。

鉢植えの場合、1〜2年に一度は植え替えを行い、根詰まりを防ぎましょう。植え替えの際に、株分けをして増やすこともできます。

植えっぱなしで管理する際の注意点

アルストロメリアは比較的丈夫な植物なので、地植えで植えっぱなしにすることも可能です。しかし、何もせずに放置しておくと、いくつかの問題が発生する可能性があります。

最も大きな問題は、やはり株が混み合ってくることです。植えっぱなしにして3〜4年も経つと、地下茎が密集し、株の中心部への日当たりや風通しが悪くなります。その結果、株が蒸れて病気にかかりやすくなったり、養分が分散して花付きが悪くなったりします。

また、前述の通り、地下茎がどんどん広がって、庭の他の植物の領域を侵食してしまうリスクも常に伴います。

植えっぱなしでも美しく保つ秘訣

植えっぱなしで管理する場合でも、3〜4年に一度は株を掘り上げて「株分け」を兼ねた植え替えを行うことを強くおすすめします。これにより、株が若返って再び元気に花を咲かせるようになり、同時に増えすぎをコントロールすることもできます。

もし地植えで増えすぎるのを物理的に防ぎたい場合は、植え付けの際に「根止めシート」というプラスチックの板を土中に埋め込む方法も有効です。

アルストロメリアの花が咲く時期はいつ?

アルストロメリアの主な開花時期は、春から初夏にかけての5月〜7月頃です。この時期になると、すらりと伸びた茎の先に、エキゾチックな斑点模様が特徴的な美しい花を次々と咲かせ、庭を華やかに彩ります。

近年では品種改良が進み、開花時期も多様化しています。中には、春と秋の二季咲きの性質を持つ品種や、適切な管理をすれば春から晩秋まで長く咲き続ける「四季咲き性」の強い品種も登場しています。

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「インディアンサマー」のような品種は、春と秋に見事な花を咲かせてくれるので、長い期間楽しめますよ。

花の色も、白、ピンク、赤、オレンジ、黄色、紫など非常に豊富で、複数の色が混じった複色の品種もあります。花持ちが非常に良いため、切り花としても大変人気があり、フラワーアレンジメントにもよく利用されます。

花が終わったらどう手入れする?

アルストロメリアの花が終わった後の手入れは、次のシーズンの花付きを良くするために非常に重要です。手入れのポイントは、咲き終わった花茎の処理方法にあります。

一般的な草花のようにハサミで切り取るのではなく、花が終わった茎は、地面の根元をしっかりと手で持ち、真上にゆっくりと引き抜きます。スポッと気持ちよく抜けるはずです。

なぜ引き抜くの?

これには二つの大きな理由があります。

  1. 病気の予防:ハサミなどの刃物を使うと、切り口からウイルス病などに感染するリスクがあります。引き抜くことで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
  2. 新芽の促進:古い茎を引き抜くことで、地下の株に刺激が与えられ、新しい芽の発生が促されると言われています。

注意点

まだ青々としている茎や、他の花が咲いている茎を無理に引き抜かないように注意してください。あくまで、花が全て咲き終わり、茎が少し黄色っぽくなってきたものが対象です。また、花の咲かない細くて弱々しい茎も、同様に引き抜いて整理すると、株全体の風通しが良くなり、太くて丈夫な茎の成長を助けます。

このひと手間が、アルストロメリアを健康に保ち、毎年たくさんの花を楽しむための秘訣です。

増えすぎを防ぐ株分けのやり方

株分けは、増えすぎたアルストロメリアを整理し、同時に株を若返らせるための最も効果的な方法です。植え替えと同時に行うのが効率的で、適期は苗の植え付けと同じく春(3月〜4月)か秋(9月)です。

株分けの手順

  1. 掘り上げ:株の周囲を大きく、そして深く掘り、地下茎や貯蔵根を傷つけないように慎重に株全体を掘り上げます。
  2. 土を落とす:根を傷つけないように、優しく土を落とします。
  3. 分割する:地下茎をよく観察し、芽(クラウン)が2〜3個つくように、手や清潔なハサミで分割します。必ず各株に芽と貯蔵根が付いている状態にしてください。太い貯蔵根だけでは芽は出ません。
  4. 植え付け:分割した株は、乾燥しないうちにすぐに新しい場所や鉢に植え付けます。

株分け作業の重要注意点

アルストロメリアの球根や茎の汁には、皮膚炎を引き起こす可能性のある成分が含まれています。株分け作業を行う際は、必ずゴム手袋や園芸用手袋を着用し、素手で触れないようにしてください。

この株分けを3〜4年に一度行うことで、庭がアルストロメリアに占拠されるのを防ぎつつ、常に元気で美しい花を楽しむことができます。

まとめ:アルストロメリアを植えてはいけない理由を知り楽しもう

  • アルストロメリアが「植えてはいけない」と言われる主な理由は、地下茎による旺盛な繁殖力、球根の毒性、高温多湿への弱さの3点
  • 地下茎は放置すると庭を占拠し、他の植物の生育を妨げることがある
  • 球根や茎の汁には「ツリパリン」などの成分が含まれ、皮膚炎の原因になることがあるため手袋着用が必須
  • ペットや小さな子供がいる家庭では、誤食のリスクにも注意が必要
  • 日本の梅雨や夏のような高温多湿な環境では、根腐れを起こして枯れやすい
  • これらの理由を知り、対策を講じれば、アルストロメリアは安全に育てられる
  • 増えすぎ対策には、物理的に範囲を制限できる「鉢植え」での栽培が最も効果的
  • 地植えの場合は、根止めシートの設置や、3〜4年に一度の「株分け」が有効
  • 栽培場所は、日当たり・風通し・水はけの良い場所を選ぶことが最も重要
  • 用土は水はけの良いものを使い、地植えでは苦土石灰で酸度を調整すると良い
  • 植え付けの適期は、気候の穏やかな春(3〜4月)か秋(9〜10月)
  • 球根を植える際は、芽(クラウン)を上にし、折れやすい貯蔵根を傷つけないよう注意する
  • 花が終わった茎は、ハサミで切らずに根元から引き抜くと、病気予防と新芽促進に繋がる
  • 主な開花期は5月〜7月だが、品種によっては秋にも咲くものがある
  • 正しい知識と適切な管理を行えば、アルストロメリアはその美しい花で庭を長く彩ってくれる魅力的な植物である
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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