知らないと後悔!カモミールを植えてはいけない理由

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可憐な白い花とリンゴのような甘い香りで、ガーデニングやハーブティーとして人気のカモミール。しかし、その魅力的なイメージとは裏腹に、「カモミールを植えてはいけない」という声があるのをご存知でしょうか。カモミールにはどんなデメリットがありますか、という疑問や、カモミールは植えっぱなしで大丈夫ですか、といった管理の手間に関する不安を抱えている方も少なくないでしょう。また、カモミールは虫除けになりますか、という効果を期待して栽培を検討している方もいるかもしれません。特に地植えを考えている場合、その繁殖力には注意が必要で、中でもローマンカモミールの地植えは、庭の生態系を乱す可能性も秘めています。一方で、鉢植えであれば管理がしやすく、初心者でも安心して楽しむことができます。この記事では、カモミールを植える前に知っておきたいデメリットや、上手に付き合っていくための対策を詳しく解説します。

  • カモミールを植えてはいけないと言われる具体的な理由
  • 繁殖力が強いカモミールの地植えと鉢植えでの適切な管理方法
  • アブラムシなどの害虫対策やアレルギーに関する注意点
  • カモミールの虫除け効果やハーブティーとして楽しむ際のポイント
目次

カモミールを植えてはいけないと言われる理由

  • カモミールにはどんなデメリットがありますか
  • 繁殖力が強くこぼれ種で広がりすぎる
  • 地植えする際の注意点
  • 特にローマンカモミールの地植えは危険
  • アブラムシなど害虫が発生しやすい
  • キク科アレルギーの人は要注意

カモミールにはどんなデメリットがありますか

カモミールは、その愛らしい見た目と心安らぐ香りで多くのガーデナーに愛されていますが、栽培する上で見過ごせないいくつかのデメリットが存在します。これらの点を理解せずに植えてしまうと、後々管理に手間取ったり、予期せぬトラブルに見舞われたりする可能性があります。

まず最も大きなデメリットとして挙げられるのが、その驚異的な繁殖力です。特に地植えの場合、こぼれ種や地下茎であっという間に広がり、庭の他の植物の生育スペースを奪ってしまうことがあります。一度広がると根絶が難しく、雑草のように扱わなければならなくなるケースも少なくありません。

次に、害虫の問題です。「ハーブだから虫に強い」というイメージがあるかもしれませんが、カモミールはアブラムシやハダニの被害に遭いやすい植物です。特に風通しが悪い場所や、肥料の与えすぎで窒素過多になると、害虫が大量発生しやすくなります。害虫はカモミールだけでなく、周囲の植物にも広がる可能性があるため、注意が必要です。

さらに、アレルギーのリスクも無視できません。カモミールはキク科の植物であるため、キク科アレルギーを持つ人が触れたり、花粉を吸い込んだりすると、皮膚のかゆみや発疹、くしゃみなどのアレルギー症状を引き起こすことがあります。重篤な場合はアナフィラキシーショックに至る可能性も指摘されているため、アレルギー体質の方は特に慎重になる必要があります。

カモミールの主なデメリット

  • 強すぎる繁殖力:意図しない範囲に広がり、他の植物を駆逐する可能性がある。
  • 害虫の発生:アブラムシなどがつきやすく、他の植物への被害拡大のリスクがある。
  • アレルギーのリスク:キク科アレルギーの症状を誘発する可能性がある。
  • 生育環境を選ぶ:高温多湿に弱く、夏越しに失敗したり根腐れを起こしたりすることがある。

これらのデメリットは、カモミールの種類(一年草のジャーマンカモミールか、多年草のローマンカモミールか)によっても程度が異なります。栽培を始める前に、これらのリスクをしっかりと把握し、自分の庭の環境や管理能力に合った育て方を計画することが、カモミールと上手に付き合うための鍵となります。

繁殖力が強くこぼれ種で広がりすぎる

カモミールが「植えてはいけない」と言われる最大の理由の一つが、その制御不能なほどの繁殖力です。見た目の可憐さからは想像もつかないほど強健で、一度庭に根付くと、あっという間にその勢力を拡大していきます。

特に一年草であるジャーマンカモミールは、「こぼれ種」によって爆発的に増殖します。春から初夏にかけて無数の花を咲かせた後、その花一つひとつが大量の細かい種子をつけます。花がら摘みを怠ると、これらの種子が風や雨によって周囲にばらまかれ、翌春には庭のあちこちから無数の芽が出てくることになります。最初は可愛らしく思えても、数年後には庭の主役を乗っ取り、他の植物が育つ場所を奪ってしまうほどの「雑草」と化してしまうのです。

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アスファルトの隙間からでも芽を出すほどの生命力なので、管理できる自信がない場合は地植えは避けるのが賢明です。

一方、多年草のローマンカモミールは、こぼれ種だけでなく、地面を這うように伸びる「ランナー(匍匐茎)」によっても繁殖します。このランナーが地面に接すると、節々から根を下ろして新しい株を作り、まるで緑のカーペットのように横へ横へと広がっていきます。グランドカバーとして利用されることもありますが、これも計画的に管理しなければ、芝生や他のグランドカバー植物の領域を侵食し、手に負えなくなってしまいます。

このように、カモミールは種類によって増え方は異なるものの、どちらも非常に繁殖力が旺盛です。軽い気持ちで地植えしてしまうと、数年後には庭中がカモミール畑になり、抜き取るのに大変な労力を要することになりかねません。この強すぎる生命力こそが、「植えてはいけない」と言われる所以なのです。

地植えする際の注意点

カモミールの強大な繁殖力を理解した上で、それでも地植えに挑戦したい場合は、将来的に後悔しないための徹底した対策が不可欠です。無計画に植えることは絶対に避け、カモミールのテリトリーを厳密に管理する覚悟が必要です。

最も重要な対策は、物理的な障壁を設けて根と種の拡散を防ぐことです。植え付けたい場所の周囲を、レンガやコンクリートブロック、あるいは「ルートストッパー」と呼ばれる根の伸長を防ぐための専用シートで深く囲い込みます。これにより、ローマンカモミールのランナーが外に伸びていくのを防いだり、ジャーマンカモミールの根が広がる範囲を限定したりできます。

地植えの拡散防止策

  • 物理的障壁の設置:植栽エリアをレンガやルートストッパーで囲い、根の広がりを制限する。
  • 花がら摘みの徹底:ジャーマンカモミールは種ができる前に、こまめに花がらを摘み取る。
  • 定期的なランナーのカット:ローマンカモミールは、境界を越えそうなランナーを定期的に剪定する。

ジャーマンカモミールの場合、こぼれ種対策が最重要課題となります。花が咲き終わったら、種が熟す前に必ず花がらを摘み取る習慣をつけましょう。摘み取った花はハーブティーなどに利用できるので、楽しみながら管理するのが長続きのコツです。もし花がら摘みが間に合わず、周囲に芽が出てきてしまった場合は、小さいうちにためらわずに抜き取ることが大切です。少しでも残しておくと、そこからまた一気に広がってしまいます。

また、カモミールは高温多湿を嫌う性質があります。日本の梅雨や真夏はカモミールにとって過酷な環境であり、株が蒸れて病気になったり、根腐れを起こしたりしやすいです。そのため、植え付け場所は日当たりと風通しが良く、水はけの良い場所を選ぶことが絶対条件です。粘土質の土壌の場合は、砂や腐葉土を混ぜて土壌改良を行ってから植え付けましょう。

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「少しだけなら大丈夫だろう」という油断が、数年後の大変な作業につながります。地植えを選ぶなら、徹底した管理を続ける覚悟を持ちましょう。

特にローマンカモミールの地植えは危険

カモミールの中でも、特に地植えに際して最大限の警戒が必要なのが、多年草であるローマンカモミールです。一年草のジャーマンカモミールが「こぼれ種」で翌年にリセットされる可能性があるのに対し、ローマンカモミールは冬を越し、年々株を大きくしながら地下茎でその領域を拡大し続けるため、一度庭に定着すると根絶が非常に困難になります。

ローマンカモミールの最大の特徴は、地面を這うように伸びるランナー(匍匐茎)です。このランナーは四方八方に伸び、地面に触れた節々から根を下ろして次々と新しい株を形成します。この性質から、踏みつけに強く、香りも良いため「香る芝生」としてグランドカバーに利用されることもあります。しかし、これは明確な境界線を設けて徹底管理できる場合に限った話です。

もし、花壇や他の植物との境界が曖昧な場所に植えてしまうと、ローマンカモミールはその強力な繁殖力でまたたく間に他の植物の根元に侵入し、養分や水分を奪い、最終的には枯らしてしまいます。芝生エリアに植えれば芝生を駆逐し、砂利のエリアに植えれば砂利を突き破って広がり、一度広がったものを手作業で完全に取り除くのはほぼ不可能です。ランナーの断片が少しでも土中に残っていれば、そこからまた再生してしまうからです。

ローマンカモミール地植えのリスク

ジャーマンカモミール(一年草)が「点」で増えるのに対し、ローマンカモミール(多年草)は地下茎で「面」で広がります。そのため、一度定着すると除去が極めて困難になり、庭全体の生態系を支配してしまう危険性があります。

このように、ローマンカモミールを安易に地植えすることは、庭のデザインや他の植物の生育環境を根本から破壊しかねない、非常にリスクの高い行為と言えます。もしグランドカバーとして利用したいのであれば、コンクリートやレンガで完全に区画された、他のエリアとは隔絶された場所に植えるなど、その侵食を100%防げるという確信がある場合のみに限定すべきです。それ以外のケースでは、地植えは絶対に避けるのが賢明な判断です。

アブラムシなど害虫が発生しやすい

「ハーブは虫除けになる」という一般的なイメージとは裏腹に、カモミールはアブラムシやハダニなどの害虫にとって格好のターゲットとなりやすい植物です。特に、特定の条件下では害虫が大量発生し、カモミール自身が弱るだけでなく、周囲の植物への感染源となってしまうため、厳重な注意が必要です。

アブラムシは、植物の新芽や若い葉、茎にびっしりと群生し、吸汁して植物を弱らせます。カモミールがアブラムシに好かれる主な原因は以下の通りです。

  • 肥料の与えすぎ(特に窒素過多):窒素分が多いと植物の組織が柔らかくなり、アブラムシが吸汁しやすくなります。良かれと思って与えた肥料が、逆に害虫を呼び寄せる原因になるのです。
  • 風通しの悪さ:株が密集して葉が茂りすぎると、内部が蒸れて風通しが悪くなります。このような環境はアブラムシの繁殖に最適です。

また、高温で乾燥した環境が続くと、ハダニが発生しやすくなります。ハダニは葉の裏に寄生し、葉の養分を吸うため、葉が白っぽくカスリ状になり、やがて枯れてしまいます。非常に小さく肉眼では見つけにくいため、気づいた時には被害が広がっていることも少なくありません。

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アブラムシの排泄物は「すす病」という黒いカビを誘発し、見た目を損なうだけでなく光合成を妨げる原因にもなります。

これらの害虫対策としては、まず予防が第一です。肥料は控えめにし、特に窒素分の多いものは避けます。株が混み合ってきたら適宜剪定を行い、風通しを良く保つことが最も重要です。定期的に葉の裏をチェックする習慣をつけ、害虫の早期発見に努めましょう。

もし害虫が発生してしまった場合は、初期段階であれば被害部分を切り取ったり、牛乳を水で薄めたスプレー(乾くと膜になりアブラムシを窒息させる)や、粘着テープで取り除くなどの物理的な方法が有効です。大量に発生してしまった場合は、他の植物への影響も考慮し、ハーブにも使用できる安全な薬剤の使用を検討する必要があります。

キク科アレルギーの人は要注意

カモミールの持つリスクの中で、特に健康に直接関わる重要な問題がキク科アレルギーです。カモミールはキク科に属する植物であり、キク科の植物に対してアレルギー反応を示す体質の人にとっては、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

キク科アレルギーの人がカモミールに接触すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 接触性皮膚炎:葉や花に触れることで、皮膚にかゆみ、赤み、発疹、水ぶくれなどが生じます。
  • 花粉症の症状:開花期に花粉を吸い込むことで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血といった症状が出ます。
  • 経口摂取によるアレルギー:カモミールティーとして飲むことで、口の中や喉の違和感、かゆみ、腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状や、じんましんが現れることがあります。

特に注意が必要なのは、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応です。これは非常に稀なケースですが、血圧低下、呼吸困難、意識障害などを引き起こし、命に関わる危険な状態に陥る可能性もゼロではありません。

キク科の代表的な植物

キク、マーガレット、デイジー、ガーベラ、ヒマワリ、タンポポ、ヨモギ、ブタクサなど、身近な植物が多く含まれます。これらの植物でアレルギー症状が出た経験がある方は、カモミールにも同様に反応する可能性が高いと考えられます。

もし自分がキク科アレルギーであるかどうかわからない場合でも、ブタクサやヨモギの花粉症を持っている方は注意が必要です。これらのアレルゲンとカモミールのアレルゲンは構造が似ているため、「交差反応」を起こしやすいとされています。

ご自身やご家族にアレルギー体質の方がいる場合は、カモミールを庭に植えることは慎重に検討すべきです。また、良かれと思って来客にカモミールティーを勧める際も、相手がキク科アレルギーを持っていないか確認する配慮が求められます。安全に楽しむためにも、アレルギーのリスクは常に念頭に置いておくことが重要です。

カモミールを植えてはいけない場合の対策と管理

  • カモミールは植えっぱなしで大丈夫ですか
  • 鉢植えで管理するのがおすすめ
  • こまめな花がら摘みと剪定が重要
  • カモミールは虫除けになりますか
  • お茶として楽しむ際の注意点
  • まとめ:カモミールを植えてはいけない理由

カモミールは植えっぱなしで大丈夫ですか

「カモミールは丈夫だから植えっぱなしでも大丈夫」という話を耳にすることがありますが、これは半分正解で半分間違いです。確かにカモミールは強健な性質を持っていますが、美しい花を長く楽しんだり、健康な状態を維持したりするためには、完全な放任栽培はおすすめできません。植えっぱなしにすることで、様々な問題が生じる可能性があります。

一年草のジャーマンカモミールの場合、植えっぱなしにしておくとこぼれ種で翌年も芽を出しますが、どこにどれだけ生えてくるかは予測できません。密集して生えすぎると、風通しが悪くなり病害虫の原因になりますし、逆に全く生えてこない年もあります。毎年安定して楽しむためには、意図的に種を採取して適切な場所に蒔くか、花がら摘みで繁殖をコントロールする必要があります。

多年草のローマンカモミールは、植えっぱなしにすると年々株が古くなり、中心部が枯れ込んできて見苦しくなります。また、ランナーで周囲に広がり続けるため、数年もすれば株が密集しすぎて蒸れやすくなり、やはり病害虫のリスクが高まります。健康な状態を保ち、美しいグランドカバーとして維持するためには、数年に一度、株を掘り上げて古い部分を取り除き、元気な部分だけを植え直す「株分け」という作業が不可欠です。

植えっぱなしのリスク

  • 株の老化と衰弱:株の中心部が枯れ込み、花つきが悪くなる。
  • 病害虫の温床化:密集・過密状態により風通しが悪化し、病気や害虫が発生しやすくなる。
  • 景観の悪化:意図しない場所に広がり、庭全体のバランスを崩す。
  • 雑草化:管理が行き届かなくなり、他の植物の生育を妨げる雑草のような存在になる。

結論として、カモミールは「植えっぱなしでも枯れにくい」植物ではありますが、「植えっぱなしで美しく健康に育つ」植物ではありません。最低限の管理(剪定、花がら摘み、株分けなど)を行うことが、カモミールと長く上手に付き合っていくための秘訣です。もし、そうした手間をかけたくないという場合は、そもそも栽培自体を再検討する必要があるかもしれません。

鉢植えで管理するのがおすすめ

これまで述べてきたカモミールの様々なデメリット、特にその制御不能な繁殖力を考慮すると、最も安全かつ確実にカモミールを楽しむ方法は「鉢植え」での栽培です。鉢植えは、カモミールの暴走を物理的に封じ込め、管理を容易にするための最善の策と言えます。

鉢植えで管理するメリットは数多くあります。

  • 繁殖の完全なコントロール:鉢という限られたスペースの中では、こぼれ種が庭に拡散したり、ランナーが地面を這って広がったりする心配がありません。カモミールのテリトリーを完全に限定できます。
  • 移動が可能:カモミールは高温多湿が苦手です。鉢植えであれば、梅雨の長雨の時期は軒下に、真夏の強すぎる日差しが当たる時間帯は半日陰に、といったように最適な環境へ簡単に移動させることができます。
  • 土壌管理の容易さ:水はけの良い土を好むカモミールにとって、理想的な用土を配合して用意することができます。地植えのように大掛かりな土壌改良は必要ありません。
  • 病害虫の管理のしやすさ:万が一、アブラムシなどが発生しても、鉢を隔離して対処できるため、他の植物への蔓延を防ぎやすいです。観察もしやすく、早期発見につながります。
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ベランダや玄関先など、ちょっとしたスペースでも気軽に始められるのが鉢植えの魅力ですね。

もちろん、鉢植えならではの注意点もあります。地植えに比べて土が乾燥しやすいため、特に夏場は水切れに注意が必要です。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。また、数年育てていると鉢の中で根が詰まる「根詰まり」を起こすため、1〜2年に一度は一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行う必要があります。

しかし、これらの手間は、地植えで際限なく広がるカモミールを管理する労力に比べれば、はるかに軽微なものです。カモミールの魅力を享受しつつ、そのデメリットを最小限に抑える。このバランスを考えたとき、鉢植えは最も賢明で現実的な選択肢と言えるでしょう。

こまめな花がら摘みと剪定が重要

カモミールを健康で美しく保ち、かつ意図しない繁殖を防ぐためには、「花がら摘み」と「剪定」という二つの手入れが極めて重要になります。これらは単なる美観維持のためだけでなく、カモミールの生態をコントロールするための必須作業です。

花がら摘みの重要性

「花がら摘み」とは、咲き終わった花を摘み取ることです。特に一年草のジャーマンカモミールにおいて、この作業は以下の目的のために絶対に行うべきです。

  1. こぼれ種の防止:最大の目的は、種を作らせないことです。花が終わると、カモミールはそこに栄養を集中させて種子を形成しようとします。花がらを摘むことで、種が地面に落ちて翌年無秩序に発芽するのを防ぎます。
  2. 開花期間の延長:植物は子孫を残す(種を作る)ことが最大の目的なので、種ができてしまうと安心してしまい、新しい花を咲かせようとしなくなります。花がらをこまめに摘むことで、植物は「まだ種が作れていない」と勘違いし、次々と新しい花を咲かせようと努力するため、結果的に長く花を楽しむことができます。
  3. 株の消耗を防ぐ:種子を作る作業は、植物にとって非常にエネルギーを消耗します。そのエネルギーを新しい花や株自体の成長に向けさせることで、株が弱るのを防ぎます。

剪定の重要性

「剪定」は、伸びすぎた茎や葉を切り戻して、株全体の形を整える作業です。この作業は、特に梅雨時期や夏越しにおいて、カモミールの生死を分けることもあります。

  1. 風通しの改善(蒸れ防止):カモミールは高温多湿を非常に嫌います。葉が密集して茂りすぎると、株の内部に湿気がこもり、病気(うどんこ病など)や害虫(アブラムシ、ハダニなど)の温床となります。梅雨入り前に思い切って半分くらいの高さに刈り込むことで、風通しを劇的に改善し、これらのトラブルを予防できます。
  2. 株姿を整える:放置すると茎が間延びして倒れやすくなり、だらしない印象になります。定期的に切り戻すことで、こんもりとした美しい株姿を維持できます。

これらの手入れを面倒だと感じるか、植物との対話として楽しめるかが、カモミール栽培の向き不向きを判断する一つの指標になるかもしれません。美しい花と香りには、それ相応のケアが必要なのです。

カモミールは虫除けになりますか

「カモミールを植えると虫除けになる」という話は、コンパニオンプランツの世界でよく語られます。しかし、この効果については過度な期待は禁物であり、限定的なものであると理解しておくことが重要です。場合によっては、逆に虫を呼び寄せる原因にもなり得ます。

カモミールが持つとされる虫除け効果は、その特有の香り成分によるものです。この香りを嫌う特定の虫を遠ざける効果が期待されています。特に、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリーなど)やタマネギの近くに植えると、モンシロチョウやアブラムシを寄せ付けにくくする効果があると言われています。これは、カモミールの香りが害虫の嗅覚を混乱させ、本来の目的である野菜を見つけにくくさせる「バンカープランツ」として機能するためです。

また、カモミールは「植物のお医者さん」とも呼ばれ、近くに植えられた他の植物の健康を促進し、病気に対する抵抗力を高める効果があるとも言われています。

コンパニオンプランツとしてのカモミール

カモミールは、特定の野菜と一緒に植えることで、害虫を遠ざけたり、生育を助けたりする効果が期待できます。しかし、これはあくまで補助的な役割であり、完璧な防虫効果を保証するものではありません。

しかし、その一方で、前述の通りカモミール自体がアブラムシやハダニの好物であるという大きな矛盾を抱えています。風通しが悪かったり、肥料を与えすぎたりすると、虫除けどころか、カモミールが害虫の発生源となり、そこから周囲の野菜や花に被害が拡大してしまうという本末転倒な事態に陥る危険性があります。

結論として、カモミールを虫除け目的で利用することは可能ですが、それはカモミール自身を害虫から守るための適切な管理(風通しの確保、無肥料栽培など)が徹底されているという大前提の上で成り立つ、補助的な効果に過ぎません。「植えておくだけで虫が来なくなる魔法の植物」ではないことを、くれぐれも忘れないでください。

お茶として楽しむ際の注意点

自家栽培したカモミールで淹れるハーブティーは、格別の風味とリラックス効果をもたらしてくれますが、その一方で、安全に楽しむためにはいくつかの重要な注意点があります。特に口に入れるものだからこそ、細心の注意を払う必要があります。

第一に、アレルギーの確認です。これは最も重要な注意点であり、繰り返しになりますが、キク科アレルギーを持つ人がカモミールティーを飲むと、喉のかゆみやじんましん、重篤な場合は呼吸困難などのアレルギー症状を引き起こす危険性があります。初めて飲む場合や、アレルギー体質の方は、ごく少量から試すか、事前に医師に相談することが賢明です。また、妊娠中や授乳中の方の飲用についても、安全性が確立されていないため、専門家に相談することが推奨されています。

第二に、農薬や化学肥料を使用しないことです。お茶として利用する花を収穫する予定の株には、殺虫剤や殺菌剤などの化学農薬は絶対に使用してはいけません。害虫対策は、手で取り除いたり、牛乳スプレーなどの自然な方法で行うようにしましょう。肥料も、化学肥料ではなく有機肥料を少量施す程度にとどめるのが安全です。

第三に、収穫と乾燥のプロセスです。

  • 収穫タイミング:花の中心の黄色い部分がぷっくりと盛り上がり、花びらが少し反り返るくらいが、香りも成分も最も充実しているベストタイミングです。晴れた日の朝、露が乾いた後に摘み取りましょう。
  • 洗浄:摘み取った花には、目に見えないホコリや小さな虫が付着している可能性があります。軽く水で振り洗いし、キッチンペーパーなどで優しく水気を拭き取ります。
  • 乾燥:直射日光は香りや成分を劣化させるため、必ず風通しの良い日陰で、重ならないように広げて完全に乾燥させます。カラカラになるまで数日間、じっくりと乾かしましょう。
  • 保存:完全に乾燥したら、湿気を防ぐために密閉できるガラス瓶などに乾燥剤と一緒に入れて、冷暗所で保存します。

生乾きの状態はカビの原因となり、非常に危険です。保存する前には、指で軽く潰してみて、パリパリと砕けるくらい乾燥しているか必ず確認してください。これらの注意点を守ることで、安全で美味しい自家製カモミールティーを心ゆくまで楽しむことができます。

まとめ:カモミールを植えてはいけない理由

  • カモミールは驚異的な繁殖力を持ち、特に地植えは注意が必要
  • 一年草のジャーマンカモミールはこぼれ種で爆発的に増える
  • 多年草のローマンカモミールは地下茎で広がり根絶が困難
  • 安易に地植えすると庭全体が占領され雑草化する恐れがある
  • 対策として物理的な障壁の設置やこまめな花がら摘みが不可欠
  • ハーブのイメージとは異なりアブラムシなどの害虫が発生しやすい
  • 肥料の与えすぎや風通しの悪さが害虫を呼び寄せる原因になる
  • キク科アレルギーの人が触れたり摂取したりするとアレルギー症状を誘発する危険がある
  • ブタクサ花粉症の人は交差反応を起こす可能性があるため特に注意が必要
  • 「植えっぱなし」では株が老化し、病害虫の温床となり景観も悪化する
  • 繁殖のコントロールや環境管理が容易な鉢植えでの栽培が最もおすすめ
  • 蒸れを防ぎ健康を保つために、梅雨前の剪定が非常に重要
  • 虫除け効果は限定的で、コンパニオンプランツとして補助的に利用する程度に留めるべき
  • お茶として利用する際は、無農薬栽培を徹底し、アレルギーに注意する
  • 収穫後の乾燥を完全に行わないとカビが発生し危険
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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