コシアブラを庭に植えてはいけない5つの理由と育て方

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春の味覚として人気の高いコシアブラですが、その美味しさから自宅の庭で育ててみたいと考える方が増えています。しかし、インターネット上では「コシアブラは庭に植えてはいけない」という意見も多く見られます。コシアブラの販売が禁止されている理由は何なのか、もし植えるならコシアブラを植える場所はどこがいいのか、また枯れる原因や日陰でのコシアブラ栽培は可能なのか、管理がしやすいプランター栽培の方法、そもそも苗木はホームセンターで手に入るのかなど、栽培前には多くの疑問が浮かぶことでしょう。この記事では、コシアブラを庭で育てる際に知っておくべきデメリットから、上手に付き合っていくための具体的な栽培方法まで、詳しく解説していきます。

  • コシアブラを庭に植えてはいけないと言われる具体的な理由
  • プランターなどを活用した上手な育て方のコツ
  • 苗木の入手方法や枯れる原因への対策
  • 収穫量を増やすための剪定や増やし方
目次

コシアブラを庭に植えてはいけないと言われる理由

  • 成長が早く10m以上の大木になる
  • 根が広がり建物に影響を与える可能性
  • コシアブラの販売が禁止されている理由は何?
  • 苗木はホームセンターで手に入る?
  • コシアブラが枯れる原因と対策

成長が早く10m以上の大木になる

コシアブラを庭に植えてはいけないと言われる最大の理由の一つは、その驚異的な成長スピードと、最終的に10mから20mにも達する大木になる点です。山菜として楽しむための小さな苗木からは想像もつかないかもしれませんが、コシアブラは本来、山林に自生する落葉高木です。適切な環境下では1年に1メートル以上も成長することがあり、数年で一般家庭の庭では手に負えないサイズになってしまう可能性があります。

大木になることによるデメリット

  • 日照問題: 大きな木は庭に広い日陰を作り、他の植物の生育を妨げたり、家の中への日当たりを悪くしたりします。
  • 管理の困難さ: 高木になると、新芽の収穫はもちろん、剪定作業も非常に困難で危険を伴います。専門業者に依頼する必要が出てきて、高額な費用がかかることも少なくありません。
  • 近隣トラブル: 枝が隣家の敷地に越境したり、大量の落ち葉が迷惑をかけたりと、近隣トラブルの原因になる可能性があります。

このように、将来的な管理の手間やリスクを考えると、特にスペースの限られた庭に安易に地植えすることは推奨されません。

根が広がり建物に影響を与える可能性

コシアブラの成長は地上部だけではありません。地中に広がる根も非常に強力で、広範囲にわたって成長する性質を持っています。この力強い根が、住宅の基礎や地中の配管に深刻なダメージを与える可能性があるため、庭に植える際には細心の注意が必要です。

本来、岩場や山の斜面でも生育できるほどの強靭な根を持つため、その力はコンクリートをも持ち上げることがあります。家のすぐ近くに植えてしまうと、根が基礎の下に潜り込んでひび割れを広げたり、水道管や排水管を圧迫・破損させたりするリスクが考えられます。

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実際に、庭木の根が原因で排水管が詰まったり、駐車場のコンクリートが盛り上がってしまったりするケースは少なくありません。

一度広がってしまった根を後から取り除くのは非常に困難な作業となります。そのため、もし地植えをするのであれば、建物や構造物から最低でも5メートル以上は離れた場所に植えるなど、十分な距離を確保することが不可欠です。

コシアブラの販売が禁止されている理由は何?

コシアブラの販売が一部の地域で禁止、または出荷自粛となっているのは、主に食品に含まれる放射性物質の基準値を超える放射性セシウムが検出されたことがあるためです。これは、2011年の福島第一原子力発電所事故の影響によるものです。

コシアブラは、根を地表近くに浅く張るという性質を持っています。このため、土壌の表面に沈着した放射性セシウムを吸収しやすい植物の一つとされています。公式サイトの情報によると、国や自治体は安全性を確保するために、山菜を含む様々な食品のモニタリング検査を継続的に実施しています。その検査の結果、基準値(一般食品で100Bq/kg)を超過した場合には、該当する市町村に対して出荷の自粛などが要請される仕組みです。

購入・採取時の注意点

スーパーや直売所で購入する際は、産地情報を確認することが大切です。また、山菜採りに出かける際には、訪れる山が採取禁止区域に指定されていないか、自治体のホームページなどで事前に確認するようにしましょう。(参照:厚生労働省「食品中の放射性物質への対応」

なお、これはあくまで一部地域の野生のコシアブラに関する問題であり、市場に流通している全てのコシアブラが危険というわけではありません。適切に管理された場所で栽培されたものや、検査を経て安全が確認されたものは安心して食べることができます。

苗木はホームセンターで手に入る?

「コシアブラを育ててみたい」と思ったときに、まず気になるのが苗木の入手方法です。コシアブラの苗木は、一部のホームセンターや園芸店で取り扱いがありますが、いつでも手に入るわけではないのが現状です。

苗木が店頭に並ぶのは、主に植え付けの適期である11月頃から翌年の2月頃にかけての、秋から冬の期間に限定されることが多いです。タラの芽などに比べるとまだ知名度が低いため、そもそも取り扱いがない店舗も少なくありません。

もし近所のホームセンターで見つからない場合は、以下のような方法で探してみるのがおすすめです。

苗木の入手方法

  • 園芸専門店に問い合わせる: 地域の園芸専門店や植木市などでは、山菜苗を専門的に扱っている場合があります。
  • インターネット通販を利用する: 楽天市場やAmazon、園芸専門のオンラインショップでは、年間を通して苗木や分根用の根が販売されていることが多く、最も確実な入手方法と言えるでしょう。

ネット通販で購入する際は、レビューや評価を確認し、信頼できる店舗から購入することが大切です。特に、根が乾燥しないように丁寧に梱包・発送してくれる業者を選ぶと、植え付け後の成功率が高まります。

コシアブラが枯れる原因と対策

せっかく手に入れたコシアブラの苗が枯れてしまうのは非常に残念です。コシアブラが枯れる主な原因は、その生育環境と管理方法にあります。原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

最も一般的な原因の一つが、水の管理ミスによる「根腐れ」です。コシアブラは乾燥を嫌いますが、だからといって水をやりすぎると土の中が過湿状態になり、根が呼吸できずに腐ってしまいます。特に、水はけの悪い土壌に植えた場合に起こりやすいです。

また、日照条件が合わないことも枯れる原因になります。若木のうちは強い直射日光に弱く、葉が焼けてしまう「葉焼け」を起こしやすいです。山林の木漏れ日の下のような環境を好むため、西日が強く当たる場所などは避けるべきです。

他にも、以下のような原因が考えられます。

枯れる原因 対策方法
過湿による根腐れ 鹿沼土や軽石を混ぜた水はけの良い土を使う。鉢植えの場合は鉢底石を必ず入れる。水のやりすぎに注意し、土の表面が乾いてから与える。
直射日光による葉焼け 若木や苗のうちは、半日陰や明るい日陰で管理する。夏場の強い西日を避ける。
肥料の与えすぎ 基本的に肥料はあまり必要ない。もし与える場合は、冬の休眠期に有機肥料を少量施す程度にする。
植え付け時の根へのダメージ 植え付けの際に根鉢を崩しすぎないように丁寧に扱う。細い根(細根)を傷つけないように注意する。
害虫の被害 ヨトウムシなどが葉を食べることがある。見つけ次第、手で取り除く。

これらのポイントを押さえて、コシアブラにとって快適な環境を整えてあげることが、元気に育てるための鍵となります。

コシアブラを庭に植えてはいけない場合の育て方

  • コシアブラを植える場所はどこがいいか
  • コシアブラ栽培は日陰でも大丈夫?
  • プランター栽培なら管理がしやすい
  • 収穫量を増やす剪定のコツ
  • 挿し木や分根での増やし方

コシアブラを植える場所はどこがいいか

コシアブラを庭で育てる上で、植える場所の選定は最も重要なポイントと言っても過言ではありません。前述の通り、地植えは成長しすぎることや根張りの問題があるため、基本的には鉢植えやプランターでの栽培を強く推奨します。

それでも、どうしても地植えに挑戦したい場合は、以下の条件を考慮して場所を慎重に選ぶ必要があります。

地植えする場合の場所選びのポイント

  • 建物や構造物から十分に離す: 根による影響を避けるため、家の基礎やコンクリート、水道管などから最低でも5m以上離れた場所を選んでください。
  • 日照条件: 若木の間は直射日光を嫌うため、「明るい日陰」や「半日陰」が理想的です。例えば、午前中だけ日が当たる場所や、大きな木の木漏れ日が差すような場所が適しています。
  • スペースの確保: 将来的に大木になることを見越して、枝が広がっても問題ない、十分なスペースがある場所を選びましょう。隣家との境界近くは避けるべきです。
  • 水はけ: 水はけの悪い場所では根腐れを起こしやすいため、水たまりができるような場所は避け、水はけの良い土壌を選びます。
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家の北側や、シンボルツリーの足元なども候補になりますが、いずれにしても成長を管理し続ける覚悟が必要です。

これらの条件をクリアできる広い庭がない場合は、無理に地植えせず、次にご紹介するプランター栽培を選択するのが賢明です。

コシアブラ栽培は日陰でも大丈夫?

「うちの庭は日当たりが悪いから…」と心配される方もいるかもしれませんが、コシアブラはある程度の日陰に耐えることができる植物です。むしろ、若木の段階では強い日差しを嫌うため、半日陰や明るい日陰は栽培に適した環境と言えます。

コシアブラは元々、山林の中で他の木々と共に生きています。そこでは、一日中直射日光が当たるわけではなく、木漏れ日のような柔らかい光を浴びて育ちます。この自生環境をイメージすると、栽培場所のヒントになります。

「半日陰」「明るい日陰」とは?

  • 半日陰: 1日のうち、数時間(午前中など)だけ日が当たる場所。
  • 明るい日陰: 直射日光は当たらないものの、空からの光で一日中明るさが保たれる場所。建物の北側などがこれにあたります。

ただし、全く光が当たらない真っ暗な日陰では、さすがに生育が悪くなります。光合成ができないため、ひょろひょろと弱々しく育ったり、最悪の場合枯れてしまったりします。ある程度の明るさが確保できる場所を選ぶことが大切です。

鉢植えで栽培すれば、季節や成長段階に合わせて最適な日照条件の場所に移動できるため、日当たりに不安があるご家庭でも挑戦しやすいでしょう。

プランター栽培なら管理がしやすい

これまで述べてきたコシアブラのデメリット、つまり「大きくなりすぎること」と「根が広がりすぎること」を解決する最も効果的な方法が、プランターや鉢植えでの栽培です。スペースが限られている一般的なご家庭では、この方法が最も現実的で安全と言えるでしょう。

プランター栽培には、地植えにはない多くのメリットがあります。

プランター栽培のメリット

  • 成長の抑制: 鉢の大きさに合わせて根の広がりが制限されるため、木の大きさをコンパクトに保つことができます。
  • 管理の容易さ: 剪定や収穫が手の届く範囲で簡単に行えます。害虫の発見や対処もしやすいです。
  • 移動が可能: 季節や天候に応じて、日当たりの良い場所や雨の当たらない軒下などに移動させることができます。
  • 根による心配がない: 建物や配管を傷つける心配が一切ありません。
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まさに、コシアブラの「美味しいところ」だけを楽しむための最適な方法ですね!

プランターで栽培する際は、直径・深さともに40cm以上ある大きめの鉢を用意しましょう。土は市販の野菜用培養土に、鹿沼土や軽石を2〜3割混ぜて水はけを良くしたものがおすすめです。2〜3年に一度、一回り大きな鉢に植え替えることで、根詰まりを防ぎ元気に育てることができます。

収穫量を増やす剪定のコツ

コシアブラを育てる大きな楽しみは、春の新芽の収穫です。この収穫量を増やすためには、適切な剪定が非常に重要になります。剪定には、木が高くなりすぎるのを防ぐだけでなく、枝数を増やして、収穫できる芽の数を増やすという積極的な目的があります。

植物には、一番先端の芽(頂芽)に優先的に栄養を送る「頂芽優勢」という性質があります。この頂芽を摘み取る(収穫する)か、剪定で切り詰めることで、頂芽に行くはずだった栄養が下の脇芽に分散され、そこから新しい枝が伸びてくるのです。

収穫量を増やすための剪定のポイントは以下の通りです。

剪定の時期と方法

  • 時期: 収穫が終わった後の5月下旬から6月頃が適期です。また、葉が落ちた後の冬(12月〜2月)にも行うことができます。
  • 方法(切り戻し剪定): 各枝の長さを1/3から1/5程度残して切り詰めます。これにより、切った箇所の下から複数の新しい枝が伸びてきます。
  • 収穫と剪定を兼ねる: 春に頂芽を収穫すること自体が、頂芽優勢を崩す一種の剪定になります。ただし、全ての芽を摘んでしまうと木が弱るので、いくつかの芽は残すようにしましょう。

この作業を毎年繰り返すことで、枝数が増え、こんもりとした樹形になり、手の届く範囲でたくさんの新芽を収穫できるようになります。剪定をマスターして、毎春の収穫をより豊かなものにしましょう。

挿し木や分根での増やし方

コシアブラを1本育てることに成功したら、次はそれを増やしてみたくなるかもしれません。コシアブラは、「挿し木」や「分根」といった方法で増やすことが可能です。

挿し木

挿し木は、枝の一部を切って土に挿し、発根させて新しい株を作る方法です。剪定した枝を再利用できるメリットがありますが、コシアブラの挿し木は成功率があまり高くないと言われており、少し上級者向けの方法です。

  • 時期: 6月頃が適期です。
  • 方法: その年に伸びた新しい枝を10〜15cmほどの長さに切り、下の葉を取り除いて数時間水に浸けます。その後、鹿沼土や赤玉土などの清潔な土に挿し、乾かさないように半日陰で管理します。

分根(ぶんこん)

分根は、根の一部を切り取って土に埋め、そこから新しい芽を出させる方法です。挿し木よりも成功率が高く、家庭で増やすにはおすすめの方法です。

分根の手順

  1. 時期: 植え替えと同じく、休眠期の冬(12月〜2月)が適期です。
  2. 根の採取: 親株の根を傷つけないように丁寧に掘り、直径1cm以上の太い根を10cm程度の長さに切り取ります。
  3. 植え付け: 切り取った根を、プランターや育苗箱に横に寝かせるように置き、2〜5cmほど土を被せます。
  4. 管理: 土が乾かないように水やりをしながら管理していると、1〜2ヶ月で発根・発芽してきます。
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山に自生しているコシアブラの根元から生えている若木(ひこばえ)を根ごと掘り取ってきて育てるのも、分根の一種で成功しやすい方法です。ただし、必ず土地の所有者の許可を得てから行いましょう。

これらの方法で株を増やせば、収穫量をさらに増やしたり、知人におすそ分けしたりする楽しみも広がります。

まとめ:コシアブラを庭に植えてはいけない理由

  • コシアブラは成長が非常に早く、10mを超える大木になる可能性がある
  • 大きくなると日陰を作り、他の植物の生育や日当たりに影響する
  • 強力な根が広範囲に張り、建物の基礎や配管を破損させるリスクがある
  • これらの理由から、特にスペースの限られた庭への地植えは推奨されない
  • 一部地域では放射性物質の影響で出荷・販売が自粛されていることがある
  • 苗木はホームセンターでは入手しにくく、ネット通販が確実な方法である
  • 枯れる主な原因は、過湿による根腐れや、若木期の強い直射日光
  • 庭で安全に育てるには、鉢植えやプランターでの栽培が最もおすすめ
  • * プランター栽培は、成長を抑制でき、移動や管理が容易になる

  • 栽培場所は、若木の間は直射日光を避けた半日陰や明るい日陰が適している
  • 収穫量を増やすには、収穫後や冬に剪定を行い、枝数を増やすことが有効
  • 挿し木や分根で株を増やすことができ、特に分根は成功率が高い
  • デメリットを正しく理解し、プランター栽培などの適切な管理を行えば、家庭でも安全に美味しい山菜を楽しむことができる
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この記事を書いた人

植物を愛するガーデニングブロガー。
植物と暮らす楽しさを、みんなにわかりやすくお届けします。

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