爽やかなレモンの香りで、ハーブティーや料理に人気のレモンバーム。その魅力に惹かれて、お庭やベランダで育ててみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、インターネットで検索すると「レモンバーム 植えてはいけない」という気になる言葉を目にすることがあります。本当にレモンバームを育てることには問題があるのでしょうか?実は、その背景にはレモンバーム特有の強い繁殖力というデメリットが関係しています。この記事では、レモンバームの育て方で後悔しないために、地植えに伴うリスクや、鉢植え、さらには育て方として注目される室内での栽培や水耕栽培といった安全な楽しみ方を詳しく解説します。また、植える場所はどこがいいのか、茶色く枯れる原因は何なのか、といった具体的な疑問にもお答えし、あなたのハーブ栽培を成功に導きます。
- レモンバームを植えてはいけないと言われる本当の理由
- 地植えのリスクを回避し安全に楽しむための育て方
- 室内や鉢植えでレモンバームを育てる具体的な方法
- レモンバームが枯れる原因と誰でもできる対処法
レモンバームを植えてはいけないと言われる理由
- 繁殖力が強すぎることのデメリット
- 地植えで後悔する前に知っておくべきこと
- 植える場所はどこがいいか考える
- 茶色く枯れる原因は何?
繁殖力が強すぎることのデメリット
レモンバームを「植えてはいけない」と言われる最大の理由は、その驚異的な繁殖力にあります。ミントと同じシソ科の植物であるレモンバームは、地下茎(ちかけい)と呼ばれる地中の茎を四方八方に伸ばして増える性質を持っています。このため、一度地植えにすると、あっという間に庭のあちこちから芽を出し、コントロールが非常に難しくなるのです。
この強すぎる繁殖力は、いくつかのデメリットを引き起こします。
他の植物の生育を妨げる
最も大きな問題は、レモンバームが他の植物の生育スペースを奪ってしまうことです。地下茎で広がったレモンバームは、周囲の草花の根が張る場所を占領し、栄養や水分を横取りしてしまいます。また、地上部もこんもりと茂るため、背の低い植物に日光が当たらなくなり、結果的に大切に育てていた他の植物を枯らしてしまう可能性があります。このように、庭の生態系のバランスを崩しかねない点が、植えてはいけないと言われる大きな理由です。
ミツバチを呼び寄せる
レモンバームは、ギリシャ語で「ミツバチ」を意味する「メリッサ」という別名を持つほど、ミツバチを引き寄せる植物です。初夏に咲く白い小さな花には、多くのミツバチが集まります。ミツバチは受粉を助ける益虫ではありますが、小さなお子さんやペットがいるご家庭、あるいはハチが苦手な方にとっては、庭で過ごす際に刺されるリスクが気になるところでしょう。これもデメリットの一つとして挙げられます。
- 地下茎でどんどん広がり、庭を占領してしまう
- 他の植物の成長を妨げ、枯らしてしまうことがある
- ミツバチを大量に引き寄せ、刺されるリスクが高まる
地植えで後悔する前に知っておくべきこと
「少しだけなら大丈夫だろう」と安易に地植えしてしまうと、後で大変な後悔をすることになりかねません。レモンバームの繁殖力は、ガーデニング初心者が想像するレベルをはるかに超えることがあります。
一度庭に広がってしまうと、完全に駆除するのは非常に困難です。地上部を刈り取っても、地中に残ったわずかな地下茎から再び芽を出して復活します。根絶やしにするには、庭の土を深く掘り返し、地下茎を一つ残らず取り除くという、途方もない労力が必要になるのです。

また、繁殖力が強いということは、お隣の敷地に越境してしまうリスクも伴います。自分の庭だけでなく、ご近所にも迷惑をかけてしまう可能性があることを、地植えする前によく理解しておく必要があります。
植える場所はどこがいいか考える
それでも地植えでレモンバームを楽しみたい場合、植える場所と方法を慎重に選ぶ必要があります。繁殖力をコントロールするための対策が必須です。
地植えする場合の対策
最も効果的な方法は、根の広がりを物理的に制限することです。具体的には、「根止めブロック」や「土留め(どどめ)プレート」と呼ばれる園芸資材を、植えたい場所の周囲に30cm以上の深さで埋め込みます。これにより、地下茎が外に広がるのを防ぐことができます。
ただし、この方法でもプレートの上を越えたり、隙間から地下茎が伸びたりする可能性はゼロではありません。定期的に周囲をチェックし、はみ出してきた芽はすぐに抜き取るなどの管理が求められます。
鉢植えやプランターを置く場所
最も安全で推奨されるのは、やはり鉢植えやプランターでの栽培です。これなら根が広がる心配は一切ありません。鉢植えを置く場所としては、レモンバームの好む環境を整えてあげることが大切です。
レモンバームは、強い直射日光を嫌い、半日陰くらいの場所を好みます。特に夏場の西日は葉焼けの原因になるため避けた方が良いでしょう。木漏れ日が差すような場所や、午前中だけ日が当たる東向きのベランダなどが理想的です。また、多湿を嫌うため、風通しの良い場所を選ぶことも重要なポイントになります。
茶色く枯れる原因は何?
元気に育つはずのレモンバームが茶色く枯れてしまう場合、いくつかの原因が考えられます。主な原因を知っておくことで、すぐに対処できるようになります。
原因 | 症状 | 対策 |
---|---|---|
葉焼け | 葉のフチや表面が茶色くパリパリになる | 強い直射日光が当たらない、半日陰の場所に移動させる。夏場は遮光ネットを使うのも有効。 |
水切れ(乾燥) | 株全体がしんなりし、下の葉から黄色や茶色に変色して枯れていく | 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。特に夏場は乾燥しやすいので注意。 |
根腐れ | 水のやりすぎや土の水はけが悪い場合に発生。株全体が元気がなくなり、葉が黄色や茶色に変色する。根が黒く変色していることも。 | 水やりの頻度を見直す。水はけの良い土に植え替える。鉢皿に溜まった水はすぐに捨てる。 |
肥料焼け | 肥料の与えすぎで発生。葉先が茶色く縮れたように枯れる。 | 肥料の規定量を守る。特に液体肥料は薄めすぎかな、と思うくらいで丁度良い場合も。調子が悪い時は一旦肥料を中止する。 |
これらの原因は、主に栽培環境や管理方法に起因します。レモンバームの状態をよく観察し、原因に合った対処をしてあげることが大切です。
レモンバームを植えてはいけない、は嘘?安全な育て方
- 基本的なレモンバームの育て方
- 安全に楽しむなら鉢植えがおすすめ
- 育て方で注目される室内での栽培
- 水耕栽培なら室内でもっと手軽に
基本的なレモンバームの育て方
「植えてはいけない」と言われるレモンバームですが、その性質を理解し、適切に管理すれば、誰でも安全に育てられる魅力的なハーブです。ここでは、基本的な育て方のポイントをご紹介します。
土づくり
レモンバームは、水はけと保水性のバランスが良い土を好みます。市販のハーブ用の培養土を使えば手軽で確実です。自分で配合する場合は、「赤玉土6:腐葉土3:パーライト1」などの割合がおすすめです。
日当たり・置き場所
前述の通り、強い直射日光は苦手です。半日陰から日当たりの良い場所で、風通しを良くしてあげましょう。室内で育てる場合も、レースのカーテン越しの明るい窓辺などが適しています。
水やり
乾燥に弱い一面もあるため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、常に土がジメジメしている状態は根腐れの原因になるため、水のやりすぎには注意が必要です。鉢皿に溜まった水はこまめに捨てましょう。
肥料
植え付け時に元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込んでおけば、あとは基本的に追肥はあまり必要ありません。もし生育が悪いと感じたら、春から夏の成長期に、薄めた液体肥料を2週間に1回程度与えるくらいで十分です。肥料の与えすぎは「肥料焼け」を起こし、かえって株を弱らせるので注意してください。
剪定・収穫
レモンバームは生育旺盛なので、定期的な剪定が不可欠です。特に梅雨前は、株が蒸れないように全体の半分くらいの高さまで大胆に切り戻しをすると、風通しが良くなり夏越ししやすくなります。剪定した葉は、そのままハーブティーや料理に使え、収穫も兼ねることができます。花を咲かせると葉の香りが落ちてしまうため、葉を長く楽しみたい場合は、花が咲く前にこまめに摘み取るのがおすすめです。
- 土はハーブ用の培養土が手軽で安心
- 場所は半日陰で風通しの良いところ
- 水やりは「乾いたら、たっぷり」が基本
- 肥料は控えめに。与えすぎはNG
- 梅雨前に切り戻し剪定をすると元気に育つ
安全に楽しむなら鉢植えがおすすめ
これまで述べてきたように、レモンバームの暴走する繁殖力を考えれば、最も安全で確実な育て方は鉢植え(プランター栽培)です。鉢植えにすることで、地下茎が広がるのを完全に防ぐことができます。
鉢のサイズは、苗の大きさにもよりますが、最初は5〜6号(直径15〜18cm)程度のものから始め、株の成長に合わせて一回りずつ大きくしていくのが良いでしょう。最終的には8〜10号ほどの大きさがあれば、株も大きく育ち、たくさんの葉を収穫できます。



ただし、鉢植えでも注意点が一つあります。それは、鉢の底穴から地下茎が伸びて地面に根付いてしまうことです。これを防ぐため、鉢を直接地面に置かず、レンガやブロック、スタンドなどの上に置くようにしましょう。
育て方で注目される室内での栽培
レモンバームは、室内での栽培にも適したハーブです。室内栽培には、以下のようなメリットがあります。
- 天候に左右されず、安定した環境で育てられる。
- 病害虫の被害に遭いにくい。
- キッチンなどに置けば、いつでも気軽に摘んで料理に使える。
室内で育てる際の最大のポイントは日照の確保です。レモンバームの生育には日光が不可欠なため、できるだけ明るい窓辺に置いてください。もし日当たりが悪い場合は、植物育成用のLEDライトなどを活用するのも一つの手です。
また、室内は空気がこもりがちなので、風通しを良くすることも大切です。定期的に窓を開けて換気したり、サーキュレーターで空気を循環させたりすると、病気の予防になります。
水耕栽培なら室内でもっと手軽に
「室内で土を使いたくない」「もっと手軽に始めたい」という方には、水耕栽培がおすすめです。水耕栽培は、土の代わりに水と液体肥料で植物を育てる方法で、近年家庭でも手軽に楽しめるキットが販売されています。
水耕栽培のメリット
- 土を使わないので清潔で、虫が発生しにくい。
- 成長が早く、収穫までの期間が短い傾向がある。
- 水の管理が楽で、土栽培よりも手間がかからない。
ペットボトルや空き容器、スポンジなどを使えば、専用のキットがなくても簡単に始めることができます。種からでも苗からでも栽培可能です。液体肥料の濃度管理と、根が呼吸できるように水位を調整することが成功のコツです。
500mlのペットボトルの上部3分の1をカットし、逆さにして飲み口部分を本体に差し込みます。飲み口部分に、切り込みを入れたスポンジを詰め、そこにレモンバームの種をまくか、土を洗い流した苗をセットします。本体部分に規定量に薄めた液体肥料を入れれば、簡易的な水耕栽培装置の完成です。
このように、レモンバームは「植えてはいけない」と言われるほどの強い性質を持っていますが、それは裏を返せば「非常に生命力が強く育てやすい」ということでもあります。その特性を正しく理解し、鉢植えや室内栽培、水耕栽培といった適切な方法を選べば、誰でも安全にその爽やかな香りを楽しむことができるのです。
まとめ:レモンバームを植えてはいけない理由
- レモンバームを植えてはいけないと言われる最大の理由は強すぎる繁殖力にある
- 地植えにすると地下茎でどんどん広がり庭を占領してしまう
- 周囲の植物の栄養や日光を奪い枯らしてしまうデメリットがある
- 駆除が非常に困難で一度広がると根絶は難しい
- ミツバチを多く引き寄せるため小さな子供がいる家庭では注意が必要
- 安全に育てるなら鉢植えやプランターでの管理が最もおすすめ
- 鉢植えは根の広がりを完全に防ぐことができ管理が容易になる
- 地植えする場合は根止めブロックなどで物理的に範囲を制限する必要がある
- レモンバームが茶色く枯れる原因は葉焼け、水切れ、根腐れ、肥料焼けが主
- 基本的な育て方は水はけの良い土と半日陰の環境を好む
- 水のやりすぎは根腐れを招くため土が乾いてから与えるのが基本
- 肥料は与えすぎず成長期に薄めた液体肥料を少量与える程度で十分
- 室内栽培は病害虫のリスクが低くキッチンハーブとして楽しむのに最適
- 室内では日照不足と風通しに注意し明るい窓辺で管理する
- 土を使わない水耕栽培は清潔で手軽なため初心者にも向いている